MoMの計算リソースのスケーリング

MoMで密行列を使用すると、解析できる問題のサイズに制限が発生します。この制限は、使用できる計算リソースで決まります。

MoMでは、境界サーフェスのみをメッシングすることでモデルを効率的に離散化できますが、使用する行列は密行列です。その結果、必要なメモリ量はN2に比例して増加し、必要なCPU時間はN3に比例して長くなります。Nは未知数の数です。

この様子を確認するには、ある周波数とその2倍の周波数でモデルを解析して、メモリ量とCPU時間の変化に現れる漸近的挙動を比較します。
  • 高周波では、三角形パッチのエッジ長を、低い方の周波数の場合の半分にする必要があります。これにより、要素数は4倍に増加します。未知数の数は要素数に比例して増加し、問題の解析に必要なメモリ量は16倍に増大します。
  • 2倍の周波数で問題を解析する場合は、シミュレーション時間は64倍に増大します。

周波数が高くなり、構造のサイズが大きくなると、効率的な解析を実現するには、マルチレベル高速多重極法、高次基底関数、漸近技法などの特殊な技法が必要になります。

また、三角形要素に高次基底関数を使用する方法もあります。高次基底関数では、要素当たりの未知数が多くなりますが、通常より大きいメッシュ要素を使用できるようになります。これにより、実質的には必要なメモリ量が少なくなります。
Note: 三角形を大きくしてもモデルの形状を正確に記述できるのであれば、大きい三角形を使用します。
高次基底関数の要素は、三角形パッチの境界を2次曲線で記述できる曲線構成の三角形パッチで表現できます。曲線構成の要素を使用すると、モデルを正確に表現するために必要な要素の数をさらに削減できます。