NLFEボディでのフォース、ジョイント、およびモーション

MotionSolveでは、ほとんどすべてのタイプのフォース、ジョイント、およびモーションをNLFEコンポーネントで使用できますが、以下は例外となります。
  1. 3次元 / 2次元の汎用接触は現在サポートされていません。
  2. ポイントと変形可能サーフェスの間の接触および拘束もサポートされていません。
  3. NLFEコンポーネント上の分布荷重の適用はサポートされていません。

サポートされている他のすべてのフォース、ジョイント、およびモーションのタイプは、マーカーを使用してNLFEコンポーネントに適用されます。例えば、NLFE片持ち梁の一端が地面に固定されているケースを考えます(図 1)。このビーム(NLFEBody 0)の一端と地面(Ground Body)の間に固定ジョイントが作成されます。この際、マーカーが自動的に作成され、このマーカーが結合ポイント(beam_ground)においてNLFEボディにしっかりと結合されます。



図 1. 固定ジョイントを介して地面に固定された片持ち梁
このマーカーは、NLFEコンポーネントの対応する節点においてしっかりと結合されます。ここでのしっかりととは、節点の6つの自由度が拘束されるという意味です。これらの自由度は、節点のX、YおよびZ方向の並進と、X、YおよびZ軸を中心とした節点の相対的な(マーカーを基準とした)回転です。ただしBEAM要素で述べたとおり、これにより6つの自由度(X、YおよびZ方向の勾配ベクトルの長さと、これら3つの勾配ベクトル間の角度)がBEAM節点に残されます。これらの自由度は拘束されないため、変化できます。この結果、次のシナリオが得られます。
節点の自由度
拘束されるかどうか
X軸に沿った節点の剛体並進
はい
Y軸に沿った節点の剛体並進
はい
Z軸に沿った節点の剛体並進
はい
X軸を中心とした節点の剛体回転
はい
Y軸を中心とした節点の剛体回転
はい
Z軸を中心とした節点の剛体回転
はい
X軸に沿った変形(軸ひずみ)
いいえ
Y軸に沿った変形(軸ひずみ)
いいえ
Z軸に沿った変形(軸ひずみ)
いいえ
XY平面における変形(せん断ひずみ)
いいえ
YZ平面における変形(せん断ひずみ)
いいえ
ZX平面における変形(せん断ひずみ)
いいえ
X軸に沿った節点の剛体並進
いいえ
拘束されない追加の6つの自由度の影響は、一部のシナリオでは顕著になることがあります。例えば、100キログラム重という荷重が終端にかかっている同じ片持ち梁を考えます。図 2に、このビームの固定端の変形を図示します。灰色のフィーチャーラインは、モデルのコンフィギュレーションまたは時刻 = 0におけるコンフィギュレーションを表しています。




図 2. 終端に荷重がかかる片持ち梁の変形

ビームが地面に固定されている終端をよく見ると(図 2)、ビームの断面がY軸を中心として回転しているように見えます。このビームは地面に固定され、どの軸を中心にしても回転しないはずなので、これは正しくない挙動のようです。

このケースでビームがY軸を中心に回転しているように見えるのは、固定ジョイントによって拘束されていない追加の6つの自由度によるものです。このため、固定端におけるビームの勾配ベクトルが相互に自由に伸びたりねじれたりできます。このことは、ビームの先端でビームに平行な方向と垂直な方向に勾配ベクトルをプロットすることで確認できます。



図 3. 固定端におけるビームに平行な勾配ベクトルとビームに垂直な勾配ベクトル

上記のプロットからわかるように、ビームに平行な勾配ベクトルは(1,0,0)から(0.998574, 0, -0.0466717)に変化しています。NLFE要素は、ビームの軸に平行な勾配ベクトルがこの要素に対して常に垂直になるように描画されているため、この結果として、先端のビームの断面が回転しているように見えます。

この問題を緩和するには、ビームの固定端における節点を地面に“完全に”固定する必要があります。このためには、CONN0要素を使用します。CONN0要素は、単一節点の勾配ベクトルを固定できるようにするコネクター要素です。この詳細については、NLFEのリファレンスマニュアルをご参照ください。

このモデルでは、CONN0要素を追加し、ビームの固定端における節点を地面に“完全に”固定することで、以下の図 4に示す想定どおりのシミュレーション結果が得られます。





図 4. CONN0要素を使用した、終端に荷重がかかる片持ち梁の変形

さらに、この終端においてビームを地面に固定している場合に想定されるように、固定端における勾配ベクトルもシミュレーション中に変化しません。



図 5. CONN0要素を使用した、固定端におけるビームに平行な勾配ベクトルとビームに垂直な勾配ベクトル
注: MotionViewには、お使いのモデルにインポートできるCONN0要素を簡単に作成するためのシステム定義が用意されています。この方法を使用した場合は、XMLデックを手動で編集する必要はありません。