過渡応答解析

過渡応答解析は、自由度がゼロまたはそれ以上のシステムについて実施することができます。自由度がゼロであるモデルには運動学解析が使用されます。自由度が1以上のモデルには動解析が使用されます。

運動学解析

自由度がゼロであるモデルはkinematic(運動学的)と定義されます。様々なジョイントやモーションによる拘束を定義する代数方程式がシステムのモーションを特定します。システムの変位、速度および加速度を計算するには、拘束条件とその時間の導関数が使用されます。次に、力平衡式を使って、拘束の反力が代数的に計算されます。したがって、ソリューションは代数によるものとなります。

正確な反力を得るには、ボディについての現実的な質量、慣性モーメント、重心位置の情報を与える必要があります。これらのパラメータに誤った値を使用しても、正しい物理量は得られますが、反力は正しくありません。これらのパラメータは、運動学解析の主たる目的である運動の結果に直接影響を与えないため、ソルバーは警告を出しません。

動解析

Dynamic(動)解析とは、常微分方程式または微分代数方程式の数値積分を言います。代数方程式は、モデル内の拘束条件に起因します。このシミュレーションは、自由度が1以上のモデルに適用されます。

動解析では、すべての加速度(線形加速度、角加速度、遠心加速度およびコリオリの加速度)の影響を求めます。すなわち、非線形効果を含め、最も一般的な形式で運動方程式を解きます。これによって、複雑な機構システムの正確なシステムレベルのシミュレーションが展開可能となります。

MotionSolveは、次の3種類の方程式の定式化を動解析用にサポートしています:
ODE定式化
ODE(Ordinary Differential Equations)定式化は、stiff積分器とnon-stiff積分器の両方をサポートします。MotionSolveは、coordinate partitioning法を用いてDAE形式の運動方程式をODE形式に変換し、そのうえで、ODE積分器を使って結果の方程式を解きます。stiff積分器とnon-stiff積分器の両方がサポートされています。この定式化によってサポートされるstiff積分器は、(a) VSTIFFと(b) MSTIFFです。non-stiffソリューションを積分するには、積分器ABAMが使用されます。
Index-3 (I3)定式化
I3定式化は、DAE(Differential Algebraic Equations)形式の運動方程式を、この形式の運動方程式を解くことのできる積分器に提供します。DASPKが、MotionSolveでI3形式の運動方程式を解くことのできる唯一の積分器です。I3定式化では、積分器は、速度の状態での積分のローカルエラーを監視しません。したがって、I3ソリューションは通常、非常に高速ですが、速度に関して多少正確さに欠ける傾向があります。
Stabilized Index-1 (SI1定式化
SI1定式化は、“安定化させた”index-1 DAE形式の運動方程式を、この形式の運動方程式を解くことのできる積分器に提供します。DASPKが、MotionSolveでSI1形式の運動方程式を解くことのできる唯一の積分器です。SI1定式化では、積分器は、変位と速度の両方の状態での積分のローカルエラーを監視します。したがって、SI1ソリューションは通常、非常に正確であると言えます。SI2ソリューションのスピードはI3ソリューションのスピードに比較すると若干遅くなります。

各積分器の詳細については、RADIOSS, MotionSolve, and OptiStructオンラインヘルプのReference Guide内、XML FormatのトピックParameters: Solverをご参照ください。