Force: Beam

Model ElementForce_Beamは、2つの異なるボディに属している2つのReference_MarkerIJ)の間で作用する一様な断面のまっすぐな質量のないビームを定義します。

説明

ビームの質量は、IマーカーとJマーカーの原点に集中しています。ビームの剛性プロパティは、ティモシェンコ梁理論を使用して求められます。ビームの軸は、J Reference_Markerのx軸に沿っているとします。また、J Reference_Markerのx軸は、非変形ビームの中立軸になるように定義されます。ビームは、わずかな回転振れが生じるものとします。大きな回転はサポートされません。

フォーマット

<Force_Beam
     id                  = "integer"   
   [ label               = "string" ]     
     i_marker_id         = "integer"     
     j_marker_id         = "integer"     
     length              = "real"     
     E                   = "real"     
     G                   = "real"     
     area                = "real"     
     ixx                 = "real"     
     iyy                 = "real"     
     izz                 = "real"     
     ASY                 = "real"     
     ASZ                 = "real"     
     cratio              = "real"     
     preload_x           = "real"     
     preload_y           = "real"     
     preload_z           = "real"     
     preload_tx          = "real"     
     preload_ty          = "real"     
     preload_tz          = "real"
</Force_Beam>

属性

id
要素識別番号(整数 > 0)。この番号は、Force_Beam要素の中で一意であり、要素を一意に特定します。
label
Force_Beam要素の名前。
i_marker_id
力が適用されるReference_Markerを指定します。これは力の作用点として指定されます。
j_marker_id
反力および反モーメントが適用されるReference_Markerを指定します。これは力の反作用点として指定されます。j_marker_idのx軸は、ビームの中立軸を定義します。y軸とz軸の向きは、断面の主軸に沿っている必要があります(断面相乗モーメントが0)。コメント2をご参照ください。
length
ビームの自由長を指定します。これは、j_marker_idの原点からi_marker_idの原点までの距離です。対応するベクトルは、j_marker_idのx軸に沿っている必要があります。下記のコメント2をご参照ください。
E
ビーム材料のヤング率を指定します。ビームは、その材料プロパティ内で均一であると見なされます。E > 0。
G
ビームの弾性率を指定します。これは、次の式によるヤング率とポアソン比に関係します:
G = E/2(1+v)、ここでvはポアソン比です。G > 0。
area
ビームの中立軸に垂直な断面の面積を指定します。これは、ビームの長さ方向に沿って一定であると想定されています。area > 0
ixx
断面のねじり剛性形状係数を指定します。
円形断面の場合、ixxは極慣性モーメントと一致します。非円形断面の場合、ねじり剛性定数は極慣性モーメントと一致しません。通常は、ねじりに関連するそりの影響により大幅に小さくなります。詳細については、コメント11をご参照ください。ixx > 0。
iyy
j_marker_idのy軸と平行な断面上の軸に関する、ビーム断面の断面2次モーメントを定義します。iyy > 0。
izz
j_marker_idのz軸と平行な断面上の軸に関する、ビーム断面の断面2次モーメントを定義します。izz > 0
ASY
ティモシェンコ梁のy方向のせん断面積比を指定します。この値では、Y方向のせん断たわみが考慮されます。これは次のように定義されています:
(1)

Qy は、y方向の力によってせん断される断面の断面1次モーメントです。lzは、z方向の断面寸法です。Iyyは、ビームのy軸に関する断面2次モーメントです。y方向のせん断変形を無視するには、ASY=0を設定します。詳細については、コメント14をご参照ください。ASY ≥ 0
ASZ
ティモシェンコ梁のz方向のせん断面積比を指定します。この値では、Z方向のせん断たわみが考慮されます。これは次のように定義されています:
(2)

Qz は、z方向の力によってせん断される断面の断面1次モーメントです。lyは、y方向の断面寸法です。Izzは、ビームのz軸に関する断面2次モーメントです。

z方向のせん断変形を無視するには、ASZ=0を設定します。詳細については、コメント14をご参照ください。ASZ > 0。

cratio
ビームの減衰比を定義します。ビーム減衰マトリクスは、ビーム剛性マトリクスにcratioを乗算することによって計算されます。言い換えると、次のようになります:
[C] = cratio * [K]
通常は、0.01(1%)の値がcratioに使用されます。
cratio≥ 0。
preload_x, preload_y, preload_z
ビームに対するプリロードとして適用されるX、Y、またはZ方向の力を定義します。シミュレーション時にX、Y、またはZ方向に沿って計算された力に加えて、指定されたプリロード力がビーム要素に適用されます。
プリロードは、1方向、2方向、または3方向すべてに指定できます。
どの方向のプリロードのデフォルトもゼロです。つまり、ビームはデフォルトでは事前に荷重がかけられていません。
preload_tx, preload_ty, preload_tz
ビームに対するプリロードとして適用されるX、Y、またはZ軸に関するモーメントを定義します。X、Y、またはZ方向について計算されたモーメントに加えて、指定されたプリロードモーメントがビーム要素に適用されます。
プリロードは、1方向、2方向、または3方向すべてに指定できます。
どの方向のプリロードのデフォルトもゼロです。つまり、ビームはデフォルトでは事前に荷重がかけられていません。

この例では、2つの剛性体間のコネクターとして使用される短くて太いビームを示します。このビームは、Rigid_Body 3上のReference_Marker 37とRigid_Body 4上のReference_Marker 47を結合します。このビームのプロパティは次のとおりです:
  • ビームの長さ = 57.55mm。
  • 円形断面の半径 = 10mm。
  • 材料 = 鋼鉄。
  • 減衰比は0.001です。

これらの仕様に従ったForce_Beam定義は次のとおりです:

<Force_Beam
     id                  = "7"
     i_marker_id         = "37"
     j_marker_id         = "47"
     length              = "57.55"
     E                   = "200000."
     G                   = "76923.08."
     area                = "314.1593"
     ixx                 = "15707.96"
     iyy                 = "7853.982"
     izz                 = "7853.982"
     ASY                 = "1.2"
     ASZ                 = "1.2"
     cratio              = "0.001">
</Force_Beam>

コメント

  1. ティモシェンコ梁では、せん断応力が面外せん断変形に及ぼす影響が考慮されますが、Euler-Bernoulli梁では考慮されません。ビームの高さ方向に対して、せん断は一定と見なされます。

    図 1 は、Force_Beam要素に関する定義を示しています。

  2. J_Reference_Markerのx軸は、ビームの中立軸を定義します。J_Reference_Markerのy軸とz軸は、断面の主軸を定義します。言い換えると、これらの方向に沿った慣性乗積Iyzはゼロです。
  3. 変形がゼロの状態で、I_Reference_Markerは、J_Reference_Markerのx軸に沿って、ビームの自由長に等しい距離だけオフセットされます。この向きはJ_Reference_Markerと同じです。

    以下の力がビームに作用します。

  4. 軸力S1、S7。
    • せん断力S2、S3、S8、S9。
    • 曲げモーメントS5、S6、S11、S12。
    • ねじりモーメントS4、S10。


    図 1. Force_Beamの定義
  5. 3つのたわみ角AX(I,J)AY(I,J)AZ(I,J)は、常に小さい必要があります。そうでない場合、角度AX()AY()AZ()は物理的意味を失い、梁理論は無効になります。小さいとは10度未満を意味します。
  6. 剛性マトリクスは、以下の式に従って入力値から計算されます:
    (3)

    (rz/l)(ry/l)は、ビームの細長さの指標です。細長いビームの場合、この比は非常に小さいため、はゼロと見なすことができます。このためには、AsyとAszをゼロに設定します。

    剛性マトリクス(Przemieniecki, J.S、“Theory of Matrix Structural Analysis”、Dover Publications, Inc.、ISBN 0-486-64948-2、70-82ページ参照)は、物理特性から次のように計算できます:

    (4)
    K = [ E A l 0 0 0 0 0 0 12 E I Z Z l 3 ( 1 + Φ Y ) 0 0 0 6 E I Z Z l 2 ( 1 + Φ Y ) 0 0 12 E I Y Y l 3 ( 1 + Φ Z ) 0 6 E I Y Y l 2 ( 1 + Φ Z ) 0 0 0 0 G I X X l 0 0 0 6 E I Y Y l 2 ( 1 + Φ Z ) 0 ( 4 + Φ Z ) E I Y Y l ( 1 + Φ Z ) 0 0 6 E I Z Z l 2 ( 1 + Φ Y ) 0 0 0 ( 4 + Φ Y ) E I Z Z l ( 1 + Φ Y ) ]
  7. IJには、大きさが同じで向きが逆の力が作用しています。JIの間は分離されており、力は分離ベクトルに沿って作用しないため、ボディIに作用するトルクは、ボディJに作用するトルクと同じではありません。
  8. 力とトルクの符合規則は次のとおりです:
    • 正の力は、IJReference_Markerを遠ざけます。負の力は、IJReference_Markerを引き寄せます。
    • 正のトルクは、J Reference_Markerを基準にしてI Reference_Markerを反時計回りに回転させます。したがって、TXTYTZの正の値は、それぞれAXAYAZの値を増大させます。
  9. Force_Beamは線形要素です。非線形の力の関係を定義する場合は、Force_FieldまたはForce_Vector_TwoBodyモデリング要素を使用してください。
  10. Force_Beamでは、反り、非均質材、湾曲したビーム、断面が不均一なビームはモデル化されません。
  11. 不均一な断面は、それぞれ異なる断面プロパティを持つビームのグループでモデル化します。
  12. 図 2 は、2つのボディ間に作用するForce_Beamの立体分解図を示しています。この立体分解図を使用して、Force_Beamの実装について詳しく説明します。
    • 方程式1-4は、変形の計算方法を示しています。
    • 方程式5-6は、力の実装を定義します。
    • 残りの4つの方程式7-10は、Force_Beam要素によって生成された力とトルクが2つのボディに適用されることを示しています。


    図 2. Force_Beamの実装
  13. ビームの断面が円形でない場合、ビームにねじり荷重がかかると、ビームがねじれます。このねじれによって端部が反り、放射状のラインは必ずしも直線のままになりません。このため、抵抗する断面のねじれは低減されます。よく使用される断面については、ねじり形状係数があらかじめ計算されています。

    詳細については、“Formulas for Stress and Strain”、Raymond J. RoarkおよびWarren C. Young、McGraw-Hill Book Company、ISBN 0-07-053031-9、290-296ページ、表20をご参照ください。

  14. せん断スパン比が小さい、すなわち(rz > 0.3L)または(ry > 0.3L)であるビームの場合、せん断応力によって大きなたわみが生じる可能性があり、実際、せん断応力によって曲げ効果がほぼ決まる可能性があります。Force_Beamステートメント内の2つの係数ASYASZでは、せん断たわみが考慮されます。以下の表は、鋳鉄の場合のASYASZの標準値を示しています。
    断面
    ASYまたはASZ
    円形
    1.2
    矩形
    1.111(10/9)
    薄肉の中空円形断面
    2.0

    他の形状または材料のASYASZを取得するには、“Formulas for Stress and Strain”、Raymond J. RoarkおよびWarren C. Young、McGraw-Hill Book Company、ISBN 0-07-053031-9、200-201ページ、表15をご参照ください。