Joint Initial Velocity: Cylindrical

Model ElementJointInitialvel_Cyl要素は、円筒ジョイント要素の初速度を定義します。並進と回転の両方の自由度について、初速度を指定できます。

フォーマット

<JointInitialvel_Cyl
       joint_id  = "integer"
       trans_iv  = "real"
       rot_iv    = "real">
</JointInitialvel_Cyl>

属性

joint_id
初速度を指定する円筒ジョイントのID。
trans_iv
円筒ジョイントの初期並進速度。指定する値は、ジョイントのJマーカーに対するジョイントのIマーカーの並進速度です。単位は、モデルの時間単位あたりのモデルの長さ単位です。

正の値は、J Reference_Markerのz軸に沿った速度を意味します。負の値は、負のz軸に沿った速度を意味します。

rot_iv
円筒ジョイントの初期回転速度。指定する値は、ジョイントのJマーカーに対するジョイントのIマーカーの回転速度です。単位は、モデルの時間単位あたりのラジアンです。
正の値は、その座標系でReference_Marker Jから測定されたReference_Marker Iの角速度が反時計回り方向であることを意味します。

下の図に概略的に示したジェームズワットのフライボールガバナーについて考えます。黄色の円はヒンジを、2つの赤い球はフライボールを、青いボディはスリーブを表しています。


図 1. ジェームズワットのフライボールガバナー

Kevin Kelly氏は、その書籍Out of Controlで、フライボールガバナーについて次のように説明しています:

“剛体振り子の各端にある2つの鉛の球が、ポールからつるされています。ポールが回転する際、そのシステムの回転が速いほど、球はスピンアウトしてより高く浮遊します。回転する振り子との間ではさみのように動くリンクが、ポール上のスリーブを上にスライドさせ、蒸気を調整することで回転速度を制御するバルブを動かします。”

スリーブとガバナーのシャフトとの間の結合は、円筒ジョイント要素を使用してモデル化できます。

シミュレーションの初期状態は以下のとおりとします:
  • ガバナーのアーム(およびスリーブ)は、角速度3.147ラジアン / 秒で回転します。
  • スリーブはシャフト上を4.5mm / 秒の速度で上向きにスライドします。

システム全体の初速度は、id 1のスリーブとシャフト間の円筒ジョイントの初速度を、次のように指定するだけです。

<JointInitialvel_Cyl
     joint_id  = "1"
     trans_iv  = "4.5"
     rot_iv    = "3.147">
</JointInitialvel_Cyl>

コメント

  1. MotionSolveモデルでは、ジョイントのほかに、2つの方法で初速度を指定できます:1つはMotion_JointまたはMotion_Marker要素を使用する方法、もう1つはBody_FlexibleBody_Rigid、またはBody_Point要素を使用する方法です。
  2. これらのさまざまな要素で指定した初速度の間で競合が発生した場合は、次の優先順位規則が適用されます:ボディ要素よりジョイント要素が優先され、さらにジョイント要素よりモーション要素が優先されます。
  3. 初期条件の数が、モデル内の自由度の合計数を超えることはできません。
    • したがって、自由度が1のシステムの速度の初期条件は1つのみです。拘束により、モデル内の残りの状態に一定速度が適用されます。
    • 自由度がゼロのシステムには、速度の初期条件はありません。