OS-T:5020 フリー形状手法を用いた3Dブラケットモデル

本チュートリアルでは、フリー形状最適化手法を用いてソリッドブラケットモデルの形状最適化を行います。最適化の目的は、ブラケットモデルの形状を変化することで応力を軽減させることです。

フリー形状最適化の本質的な観念は、他の形状最適化技術とは異なり、外側境界(形状輪郭線)の許容動作(変形)は自動的に決定され、形状基底ベクトルを定義するユーザーの負担を軽減します。

5020_model
図 1.
本チュートリアルにおける最適化問題の設定は以下の通りです:
目的関数
最大フォンミーゼス応力の最小化
制約条件
制約条件なし
設計変数
節点群はサーフェスに垂直に移動

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルのオープン

  1. File > Open > Modelをクリックします。
  2. optistruct.zipファイルから自身の作業ディレクトリに保存したfree_shape3D.hmファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  3. Openをクリックします。
    free_shape3D.hmデータベースが現在のHyperMeshセッションに読み込まれます。

最適化のセットアップ

フリー形状設計変数の作成

  1. Analysisページからパネルoptimizationをクリックします。
  2. free shapeパネルをクリックします。
  3. name =欄にshapeと入力します。
  4. 節点セレクターを使って、図 2に示す節点を選択します。シェル要素上の表面節点のみを選択します。

    5020_design_space
    図 2. フリー形状設計領域
  5. createをクリックします。
  6. returnをクリックし、メインメニューに進みます。

最適化の応答の作成

  1. Analysisページからoptimizationをクリックします。
  2. Responsesをクリックします。
  3. 静的応力の応答を作成します。
    1. responses=欄に、Stressと入力します。
    2. response typeをstatic stressに設定します。
    3. プロパティセレクターを使って、stress_facesを選択します。
    4. response セレクターをvon misesにセットします。
    5. von misesの下で、both surfacesを選択します。
    6. createをクリックします。
  4. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

目的関数の定義

  1. 目的関数の参照値を作成します。
    1. obj referenceパネルをクリックします。
    2. dobjref=欄にMAX_STRと入力します。
    3. response=をクリックしstressを選択します。
    4. pos reference=を選択します。
      値1.0がデフォルトで割り当てられます。
    5. createをクリックします。
    6. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。
  2. 目的関数を定義します。
    1. objectiveパネルをクリックします。
    2. minmaxを選択します。
    3. dobjrefs=セレクターを使って、MAX_STRを選択します。
    4. createをクリックします。
    5. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

SHAPEカードの定義

デフォルトでは、変位と応力の結果のみが_s#.h3dファイルに得られます。HyperViewで、モデルに加えられた形状変化に重ねた結果(変位 / 応力 / 温度)を得るには、SHAPEカードを定義する必要があります。
  1. Analysisページからパネルcontrol cardsをクリックします。
  2. Card Imageダイアログで、SHAPEをクリックします。
  3. FORMATをH3Dに設定します。
  4. TYPEをALLに設定します。
  5. OPTIONをALLに設定します。
  6. returnを2回クリックし、メインメニューに戻ります。

最適化の実行

  1. AnalysisページからOptiStructをクリックします。
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてFree_Shape3Dと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをoptimizationにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックして最適化を実行します。
    ジョブが完了すると、ウィンドウ内に次のようなメッセージが現れます:
    OPTIMIZATION HAS CONVERGED.
    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED).
    エラーがある場合、OptiStructはエラーメッセージも出します。エラーに関する詳細は、テキストエディタでファイル Free_Shape3D.outを開いて確認することができます。このファイルは同じディレクトリ内に.femファイルとして書き出されます。
  9. Closeをクリックします。

結果の表示

形状結果の可視化

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperMesh Desktop内でHyperViewが起動し、Free_Shape3D_des.h3dファイルがpage 2に、Free_Shape3D.h3dファイルがpage 3に開かれます。
  2. 上部右側にあるナビゲーションボタンを使って、Design History(page 2)に移動します。

    page_nav
    図 3.
  3. Resultsブラウザから、最終反復計算(Iteration 8)を選択します。

    os5010_iteration8
    図 4.
  4. ResultsツールバーでresultsDeformed-24をクリックし、Deformedパネルを開きます。
  5. Result typeをShape changeに設定します。
  6. Applyをクリックします。
形状最適化の結果はモデルに適用されます。

os-5010_design_history
図 5.

応力のコンタープロットの表示

  1. 上部右側にあるナビゲーションボタンを使って、Subcase 1 - step(page 3)に移動します。

    page_nav
    図 6.
  2. Resultsブラウザから、最終反復計算(Iteration 8)を選択します。

    os5010_iteration8
    図 7.
  3. ResultsツールバーでresultsContour-24をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. Result typeをElement Stresses [2D & 3D]に設定します。
  5. stress typeをvon Misesに設定します。
  6. Applyをクリックします。
応力コンターが、モデルに加えられた形状変化に重ねて表示されます。

5020_view_contour_plor
図 8.

移動する制約条件を伴う新規フリー形状最適化のセットアップ

前回の実行時には、DSHAPEの節点の動きを制約条件として適用しませんでした。したがって、節点は自由に動き、部品の板厚は増加します。

5020_results_no_constraints
図 9. 制約条件なしのフリー形状結果

練習では、製造しやすくするために節点の動きにいくらかの制約を課します。このチュートリアルのモデルでは、他の部品との干渉を防ぐために板厚を変更しないままとします。

本ステップでは、設計領域の板厚を変更しないままDSHAPEの節点について制約を定義します。

フリー形状設計の節点制約は、設計領域の湾曲した部分とフラットな部分に分けて作成します。湾曲した部分とフラットな部分としてそれぞれグループ化された設計領域の部品。

5020_curved_part_flat_part
図 10. 湾曲およびフラットな部分の設計領域

湾曲した部分の制約は、局所直交座標系を使用して作成します(フラットな部分の制約は、局所座標系を必要としません)。したがって、まずz軸がDSHAPE面に垂直な局所直交座標系を作成する必要があります。

  1. アプリケーションの上部右側にあるpagePrevious-24/pageNext-24をクリックしてPage 1とHyperMeshクライアントに戻ります。
  2. HyperMeshreturnをクリックします。
  3. 局所座標系を定義します。
    1. 1Dページからパネルsystemsをクリックします。
    2. create by axis directionサブパネルを選択します。
    3. nodes > by idをクリックし、id=欄に20999と入力します。
    4. originをクリックし、id=欄に20999と入力します。
    5. x-axisをクリックし、id=欄に15989と入力します。
    6. xy-planeをクリックし、id=欄に19462と入力します。
    7. createをクリックします。
    8. returnをクリックします。

    5020_local_coordinate
    図 11. 局所座標系
  4. Analysisページからパネルoptimizationをクリックします。
  5. free shapeパネルをクリックします。
  6. gridconサブパネルを選択します。
  7. フラットな部分の制約を、座標系なしに作成します。
    1. desvar=をクリックしshapeを選択します。
    2. 制約タイプをplanarにセットします。
    3. 節点セレクターを使って、図 12に示す節点を選択します。

      5020_constraints
      図 12. フリー形状設計領域の制約条件
    4. ベクトル定義をvectorsにセットします。
    5. N1、N2、N3セレクターを使って、平面形状の3つの節点を選択します。

      5020_nodes_defined
      図 13. 面を定義する3つの節点
    6. addをクリックします。
    これらの節点は、指定された平面上でのみ移動します。
  8. 湾曲した部分の制約を、局所座標系を用いて作成します。
    1. 制約タイプをvectorにセットします。
    2. 節点セレクターを使って、図 14に示す節点を選択します。
      湾曲部分にある節点のみを選択します

      constraints_on_curved
      図 14. フリー形状設計領域の湾曲部分の制約条件
    3. 方向セレクターをlocal systemにセットし、続いて、作成した局所座標系をクリックします。
    4. ベクトル定義をvectorに切り替えます。
    5. ベクトルの下の方向セレクターをz-axisにセットします。
    6. addをクリックします。
  9. returnを2回クリックし、メインメニューに戻ります。

最適化の実行

  1. AnalysisページからOptiStructをクリックします。
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてFree_Shape3D_constと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをoptimizationにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックして最適化を実行します。
    ジョブが完了すると、ウィンドウ内に次のようなメッセージが現れます:
    OPTIMIZATION HAS CONVERGED.
    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED).
    エラーがある場合、OptiStructはエラーメッセージも出します。エラーに関する詳細は、テキストエディタでファイル Free_Shape3D_const.outを開いて確認することができます。このファイルは同じディレクトリ内に.femファイルとして書き出されます。
  9. Closeをクリックします。

結果の表示

先に説明したHyperViewを用いた結果(制約なしの最適化結果)のポスト処理手順に従って、最終形状変化と応力結果を比較してください。

5020_new_free_shape
図 15.