接触に基づく熱解析
接触を含むOptiStruct構造モデルは、微小変位の非線形解析を使用して解きます。
この解析では、接触のクリアランスや圧力など、接触の状態を見つける必要があります。接触のクリアランスはメイン(旧称“マスター”)とセカンダリ(旧称“スレーブ”)の間の距離です。一方、接触の圧力は接触する2つのサーフェス間で発生します。
PCONTHTとPGAPHTを介した熱接触解析は、線形定常熱伝動解析、線形非定常熱伝動解析、非線形定常熱伝動解析および非線形非定常熱伝動解析にサポートされています。Thermal Contactは、ワンステップ非定常熱応力解析(One-Step Thermal Transient Stress Analysis: OSTTS)にもサポートされています。
図 1. 温度結果が構造問題に影響
図 2. 接触の状態が熱問題に影響
図 1では、接触の状態は熱問題に影響していません。熱伝導係数が接触の状態に依存する場合、これは不正確な解を導く可能性があります。図 2では、準静的な非線形解析の実行中に接触のクリアランスまたは圧力(あるいは両方)が変化しており、それに対応する熱伝導係数の変化が温度問題の解に影響します。
熱接触ソルバー
熱解析は、最初は、初期の接触状態を使用して実行されます。
図 3に示すように、完全な連成の非線形の温度構造問題を解決するために、反復ソリューションプロセスが展開されます。接触の状態を見つけるには、非線形構造解析が使用されます。接触のインターフェースにおける熱伝導係数は、接触のクリアランスまたは圧力、あるいはユーザー定義の値に基づいて計算されます。接触の状態を使用して熱伝導係数が決定されるので、連成は不可欠です。熱解析による温度結果は、収束基準として使用されます。
- CGAP/CGAPGの熱接触問題では、PGAPHTが必要です。PGAPHTエントリにはPGAPと同じPIDが必要です。CONTACTおよびPCONTの問題では、PCONTHTエントリを使用する必要があり、このエントリにはPCONTと同じPIDが必要です。
- AUTOオプション(PCONTHT/PGAPHTエントリのKCHTC/KCHTフィールド)に基づく熱伝導係数を温度解析で使用して、OptiStructが周辺要素の伝導率に基づいて伝導率の値を自動的に決定できるようにすることができます。AUTOの伝導係数は、閉じたギャップ / 接触用の完全な伝導体および開いたギャップ / 接触用として機能するよう選択されます。
- PCONTがない問題では、PCONTHTは必要ありません。熱伝導係数は、AUTO法で自動的に計算されます。
- インターフェースにおける高い伝導値は自動的にFREEZE接触に強制されます。
図 3. 接触に基づく完全な熱構造連成解析
理論的に、高い値の伝導値により強制的に完全な伝導体となりますが、極端に高い値は伝導マトリックスの条件を悪化させます。このような状況が見られた場合は、接触面間の伝導値を減少させるか、または接触のクリアランスと圧力に基づいた伝導を用いるのが有効です。
クリアランスに基づく熱伝導係数(PCONTHT/PGAPHTのTCID、TABLED#を使用)
図 4. 接触のクリアランスに基づく熱伝導係数値
圧力に基づく熱伝導係数(PCONTHTのTPID、TABLED#を使用)
図 5. 接触の圧力に基づく熱伝導係数値
クリアランスと圧力に基づく熱伝導係数(PCONTHTのTCIDとTPID、TABLED#を使用)
図 6. 接触クリアランスの圧力に基づく熱伝導係数値
FREEZE状態の熱接触
FREEZE状態の熱接触の場合、実際の接触状態を閉じた状態として熱伝導解析を行います。閉じた状態の接触におけるFREEZE状態の熱接触は、クリアランスを0.0に設定する必要ありません。
静解析を使用しない熱接触
熱接触を含む純粋な熱伝導解析は、初期の接触状態に基づいて計算されます。接触のクリアランスと面積は、形状に基づいて計算されます。
、KBHT、TCID(PGAPHTバルクデータエントリ)、およびKCHTC、KOHTC、TCID(PCONTHTバルクデータエントリ)が使用可能です。静解析なしでは、接触の圧力は使用できません。したがって、そのような設定においてはTPIDは使用され得ません。