サイクルカウントはランダム荷重履歴から離散的で単純な "等価"な一定振幅サイクルを取り出すために用いられます。
注: ランダム応答疲労および正弦波掃引疲労の場合、このセクションで説明する従来のレインフローカウント法は実行されません。代わりに、応力範囲とサイクル数の概念が、疲労計算の一部として考慮されます。詳細については、
ランダム応答疲労解析と
正弦波掃引疲労解析をご参照ください。
"サイクルカウント"を理解する1つの方法は応力-ひずみ関係を、時刻との対比に変更したものとして捉えることです。サイクルカウントは応力-ひずみ関係のヒステリシスループの数をカウントし、その範囲/平均値または最大値および最小値の記録をつけます。
レインフローサイクルカウントがサイクルカウントの方法として最も広く用いられています。それには応力の時刻歴がピーク(山)だけか谷だけを含み、(どちらが絶対値として大きい場合でも)最も高い山または最も低い谷からスタートするように再編成されます。続いて、3つの連続する応力点(1、2および3)で2つの連続するレンジ
と
|を定義します。1から2へのサイクルが、
の場合のみ取り出されます。サイクルが取り出されると、サイクルと構成する2点は捨てられ、残りの点が相互に繋げられます。このプロセスが、残りのデータの点がなくなるまで繰り返されます。
- 単純な荷重履歴:

図 1. 連続した荷重履歴
この荷重履歴は連続的であるため、山と谷のみから成る荷重履歴に変換されます。

図 2. レインフローカウントについての山と谷. 1、2、3および4は4つの山と谷です。
荷重履歴においてポイント4は応力の山(最大)であることが明らかであり、再配列中に前面に移動されます(
図 3)。再配列後、山と谷は便宜のため再番号付けされます。

図 3. 再配列および再番号付け後の荷重履歴
次に、最初の3つの応力値(1、2および3)をピックし、サイクルが存在するかを見極めます。
が応力値、ポイント
を表すとすると:
(1)
(2)
図 3で分かるとおり、
; したがって、ポイント1から2までのサイクルは抽出されません。ここで、次の3つのポイント(2、3および4)について考えます。
(3)
(4)
であるため、ポイント2から3までのサイクルが抽出されます。これで1つのサイクルが抽出され、2つのポイントがグラフから消去されます。

図 4. 残りのポイントの消去と再結合
残りのポイントについて、同じプロセスが適用されます:
(5)
(6)
この場合、
であるため、ポイント1から4までの別のサイクルが抽出されます。これら2つのポイントも破棄された後は、ポイント5だけが残ります; したがって、レインフローカウントプロセスは完了となります。
2つのサイクル(2→3および1→4)が、この荷重履歴から抽出されました。最も高い山 / 谷を選択し、荷重履歴を再配列する主な理由の1つは、最も大きなサイクルが常に抽出される(この場合は1→4)ことを確実にすることにあります。再配列の前に荷重履歴を見て同じレインフローカウントプロセスを実行すると、1→4のサイクルが抽出されないことは明らかです。
- 複雑な荷重履歴
レインフローカウントプロセスは、荷重履歴のポイント数にかかわらず同じです。しかしながら、再配列に使用される最も高い山 / 谷の位置によっては、再配列プロセスがどのように行われるかがはっきりしない場合もあります。
図 7 は、より複雑な荷重履歴の再配列プロセスを示しています。後続のレインフローカウントは、上記の単純な例で挙げているプロセスの外挿に過ぎず、ここでは繰り返しません。

図 5. 連続した荷重履歴
この荷重履歴は連続的であるため、山と谷のみから成る荷重履歴に変換されます。

図 6. レインフローカウントについての山と谷
明らかに、荷重ポイント11は荷重の最大値であり、したがって、荷重履歴はここで再配列、再番号付けされます。

図 7. 再配列および再番号付け後の荷重履歴
荷重履歴は、最大荷重後も含めすべてのポイントが荷重履歴の最初に移動され、荷重履歴の最後から消去されるよう再配置されます。
レインフローサイクルカウントに関係するパラメータは、FATPARMバルクデータエントリで定義することができます。疲労サブケース定義からFATPARMサブケース情報エントリを通して、適切なFATPARMバルクデータエントリを参照することができます。