陽解法動解析(Radioss連携)
OptiStructの陽解法動解析は、トランスレーターを介したRadioss StarterとRadioss Engineとの連携によって提供されます。Radioss連携によって、陽解法積分スキームが利用可能です。
OptiStructの入力データはRadioss入力データに直接変換され、送られます。更にRadioss StarterとRadioss Engineが実行され、結果はOptiStructの出力モジュールに戻されて様々な出力フォーマットで書き出されます。
解法
各解法の特徴に注目して基本的なコンセプトを考察し、収束制御のための一部のパラメーターの使用法について確認します。解法では一般化Newmark積分スキームを利用しています。
- 質量マトリックス
- 減衰マトリックス
- 剛性マトリックス
- ベクトルは、外部荷重を表します。
- 変位ベクトル
図 1. 時系列
マトリックスは動的剛性です。非線形時間依存問題では、この系は非線形となり、その解を求めるためにはNewtonタイプの方法を用いてそれぞれの時間ステップで付加的な反復計算が必要となります。
図 2. 陽解法積分
ここでは要素の限界長さで、は与えられた材料に対する音速になります。
それぞれの要素の限界長さに基づいた要素時間ステップも利用可能です。この選択はXSTEPバルクデータエントリで行うことができます。
問題の設定
陽解法動解析は、SUBCASEを通して定義されます。
XSTEPステートメントとともに、ANALYSIS=EXPDYNがサブケース内に存在しなければなりません。終了時間を定義するTTERMサブケースエントリは不可欠です。XSTEPはXSTEPバルクデータエントリを参照します。時間ステップコントロールはXSTEPバルクデータエントリでコントロールできます。
DTI, UNITSまたはUNITSバルクデータエントリステートメントによる単位系定義が必要です。
陽解法動解析荷重および境界条件は、入力ファイルのバルクデータエントリセクションで定義します。これらはSUBCASEの下で、SUBCASE内のSPC、NLOAD、LOAD、ICおよびRWALL文を用いて参照される必要があります。それぞれのSUBCASEは別々に実行される1つの荷重条件を定義します。
サブケースの継続は、CNTNLSUBの利用を通して可能です。任意の数の陽解法と陰解法解析をリンクすることができます。しかしながら、幾何学的非線形(ANALYSIS=EXPDYN)解析サブケースは微小変形の準静的非線形(ANALYSIS=NLSTAT)解析サブケースとリンクさせることはできません。逆も同様です。
例:陽解法解析
SUBCASE 3
ANALYSIS = EXPDYN
SPC = 1
NLOAD = 2
XSTEP = 3
TTERM = 1.0
DISP = ALL
STRESS = ALL
BEGIN BULK
XSTEP,3
NLOAD1,2,2,,L,88
TABLED1,88,
+,0.0,0.0,1.0,1.0,ENDT
DTI,UNITS,1,kg,N,m,s
例:サブケースの継続
DISP = ALL
STRESS = ALL
SUBCASE 1
ANALYSIS = EXPDYN
IC = 5
XSTEP = 4
TTERM = 1.0
SUBCASE 2
ANALYSIS = EXPDYN
IC = 5
XSTEP = 4
TTERM = 1.1
CNTNLSUB = 1
ユーザーの考慮点
陽解法動解析のプロパティと材料
陽解法動解析に対する特別な要素タイプと非線形材料が利用可能です。一般的なルールとして、陽解法動解析にのみ適用可能なプロパティと材料定義はそれぞれ、オリジナルのプロパティとMAT1材料の拡張として定義されます。この拡張はベース入力と同じPIDまたはMIDを共有するものとしてグループ化されます。陽解法動解析を含まないサブケースの場合は、これらの拡張は無視されます。プロパティのデフォルトはシェル(XSHLPRM)とソリッド(XSOLPRM)に設定でき、プロパティ拡張の利用を置き換えることができます。
PSHELL, 3, 7, 1.0, 7, , 7
PSHELLX, 3, 24, , , 5
MAT1, 102, 60.4, , 0.33, 2.70e-6
MATX02, 102, 0.09026, 0.22313, 0.3746, 100.0, 0.175
座標系
陽解法動解析では、移動座標系と固定座標系があります。節点を通して定義された直交座標系(CORD1R、CORD3R)は、モデルの変形とともに移動します。点の座標で定義される座標系(CORD2R、CORD4R)は固定されます。
荷重の挙動は参照する座標系に依存します。荷重FORCEおよびMOMENTを変形に追随する荷重としたい場合は、CIDに移動座標系(CORD1R、CORD3R)を定義する必要があります。そうでない場合は、これらの荷重は変形には追随しません。PLOADは常に変形に追随します。
Characteristics
- 一般的に、対角質量マトリックスが用いられる
- マトリックスの三角化を必要としない
- 釣り合いは常に保証される
- 最大安定時間ステップが常に尊重される必要がある
- 小さな時間ステップ
- 単期間の現象
制限事項
- 以下のバルクデータプロパティと要素は現在変換されません。
- PBUSHT(部分的にKNは変換される)
- PDAMP、CDAMPi
- PGAP、CGAP、CGAPG(部分的に、摩擦は許されない)
- PMASS、CMASSi
- PSHEAR、CSHEAR
- PVISC、CVISC
- 現在変換されない追加のバルクデータ入力関連(荷重を除く):
- CORD1C、CORD1S、CORD2S
- DMIG
- MAT2、MAT4、MAT5、MAT8、MAT9、MAT10
- MATTi、TABLEST
- MPC、MPCADD
- RBE1、RROD
- 現在変換されない荷重関連:
- PLOAD1、PLOAD2
- PLOAD4(部分的に、N1、N2、N3を用いることはできない)
- RFORCE(部分的に、RACCはサポートされていない)
- TLOAD1、TLOAD2