非線形静解析

この解析タイプでは、非線形静解析を行います。静解析とは本質的に、リアルタイムで起こるプロセスが非常にゆっくりシミュレーションされることを意味します。

これにより、各ステップにおいて釣り合い方程式が満たされ、慣性、運動量効果は無視されます。したがって、動的である可能性のある問題が、静的問題として解かれることが可能です(静的)。

非線形性ソース

幾何学的非線形性

幾何学的非線形性を含む解析では、構造変形としての形状変化は構成方程式と釣り合い方程式の定式化に基づいて考慮されます。多くの工学的分野において、幾何学的非線形性に基づく大変位解析を使用する必要があります。金属成形、タイヤ解析、医療装置解析などの応用例がこれに該当します。幾何学的非線形性に基づく微小変形解析は、ケーブル、アーチ、シェルに関係する解析などの一部の応用例で必要とされます。こうした応用例においては、大きな変位または回転を除く微小変形の現象が関連します。

材料の非線形性

材料の非線形性には、現在の変形状態、変形の履歴、変形率、温度、圧力などに基づく材料の非線形挙動が関係します。

拘束と接触の非線形性

システム内の拘束の非線形性は、モデル内に運動学的拘束条件が存在する場合に発生します。モデルの運動学的自由度は、その動きに制約を課すことで拘束できます。OptiStructでは、拘束条件はラグランジュ乗数によって適用されます。

接触の場合、拘束条件は不等式に基づいており、一般的にこうした拘束では、接触する2つのボディ間の貫通は許可されません。

追従荷重

大変形が含まれる際、適用される荷重は構造の変形に依存することがあります。幾何学的には、適用される荷重(力または圧力)は、荷重のかかる位置においてモデルがどのように変形するかに基づき、その初期方向から変化し得ます。OptiStructでは、適用される荷重が追従荷重として扱われる場合、その荷重の向きまたは統合された大きさ、またはその両方は、解析全体を通して幾何形状の変化と共に更新されます。

非線形静解析のタイプ

OptiStructでは、以下の解析タイプが、静解析領域で非線形モデルを解くために利用可能です。

微小変位解析は、先のセクションで示されている非線形性をすべて扱うことはできません。そのようなケースでは、大変位解析が用いられます。現時点では、微小変位解析がデフォルトで使用され、大変位解析は必要に応じてアクティブ化することができます(LGDISP)。

微小変位解析

微小変位解析では、非線形性が接触、GAP要素およびMATS1弾塑性材料によってもたらされる場合に限られます。幾何学的非線形性、追従荷重、および大きなひずみの弾塑性は、微小変位解析で扱うことはできません。一般的なガイドラインとして、微小変位解析は平行移動と回転の両方において微小なひずみ(5%程度のひずみ)に限られるべきです。変形によるギャップ / 接触要素の位置または方向は更新されません。これは、非線形性の計算全体を通して同じです。ただし、最適化の実行で形状が変化すると、方向は変わる可能性があります。

大変位解析

大変位非線形静解析(LGDISP)は、荷重と応答の関係が非線形で構造の大変位を含む問題のソリューションに使用されます。非線形性は、たとえば材料、形状、非線形の荷重と拘束など、システムの複数の特性に起因するものがあります。現時点でOptiStructでは、大ひずみ弾塑性(MATS1)、多項式形式の超弾性(MATHE、微小すべりの接触、変形依存の荷重(追従荷重)、剛体拘束などを含む大変位の特性を使用できます。

非線形解法

非線形問題は一般的に履歴に依存します。一定レベルの精度を達成するには、一連の小さい増分において解を得る必要があります。

このためには増分ごとに釣り合い方程式を解く必要があります。これにより対応する増分サイズが選択されます。OptiStructでは、非線形釣り合い方程式を解くためにニュートン法が使用されます。解法がスムーズであれば、他の方法と比較したときに2次の収束率を達成できます。さらに、この方法は高度な非線形状況において非常にロバストでもあります。

適切な時間増分の選択は非常に重要です。OptiStructでは、時間増分の自動制御が可能です。これは広範囲の非線形問題に適用可能で、一般的には非常に信頼性の高いアプローチです。今後のOptiStructバージョンでは、自動時間増分のユーザー制御をセットアップするためのオプションが追加される予定です。

時間増分の自動制御機能では、現在の増分での収束の難度が測定されます。計算された反復数が収束のために最適な反復数と等しい場合、OptiStructは同じ増分サイズで処理を進めます。収束の達成のために必要な反復数がもっと少ない場合、次の増分のために増分サイズが増加します。同様に、非常に多くの反復が必要だと判断された場合、現在の増分がもっと小さい増分サイズで再試行されます。

Newton法は、微小変位解析と大変位解析の両方について、非線形問題の解法として使用されます。1次元の問題について、この方法の原理を図 1に示します。また、微小変位解析については、以下のような式で表わすことができます:


図 1.
非線形問題を次のように考えます:(1) L ( u ) = f
ここで、 u は変位ベクトル、 f はグローバルな荷重ベクトル、 L ( u ) はシステムの非線形応答(節点の反力)を示します。線形静解析の説明のとおり、線形問題では L ( u ) は単に(線形静解析で示すとおり) K u となります。この式にニュートン法を適用すると、次のような反復的な解法を使用した手順となります:(2) K n Δ u n = R n (3) u n + 1 = u n + Δ u n
ここで、(4) K n = ( L ( u ) u ) u n (5) R n = f L ( u n )
上の式において、 K n は“勾配”マトリックスを示し、 u n の点における曲線 L ( u ) に対する接線として定義されます。また、 R n は非線形残差です。特定の収束条件でこの手順を繰り返すことにより、残差 R n が系統的に減少して収束します。
注: 註:微小変位非線形解析に限っては、上記の図式は、多少変更して等価な形式にしています。この形式では、 Δ u n を計算せずに、直接新しい解 u n + 1 が得られます:(6) K n u n + 1 = R n + K n u n

この形式はニュートンの式の両側に K n u n を加えることにより簡単に生成できるので、実用の面で好都合です。

増分荷重

安定性および平滑性に関する一定の条件を満足するような大分類の問題では、最初の推定が真の力-変位経路 L ( u ) に十分に近い場合に、ニュートンの反復法は収束することが証明されています。したがって、非線形性の強い問題の収束性を向上させるには、図 2に示すように全体荷重を少しずつ増分させることが普通です。それぞれの中間荷重、 f 1 f 2 、...で、標準的なニュートン反復が実行されます。


図 2.

増分荷重と呼ばれるこの手順により、繰返し計算を続けることで真の荷重経路に対するより良い近似が得られ、その結果、最終的な収束解を得る可能性が向上します(ただし、通常、繰返し計算の合計回数は増加します)。

非線形収束基準

非線形プロセスが収束したかどうかを確認するために、さまざまな収束条件を利用できます。これらの条件とそれぞれの許容値は、NLPARMバルクデータカードで選択できます。

非線形プロセスの収束を確認する基本的な原理は、解の誤差の大きさを、あらかじめ指定した許容値レベルと比較するというものです。誤差が指定した許容値を下回っている場合、問題は収束していると見なされます。同時に複数の収束基準を使用した場合、解が収束するには、すべての基準が満たされることが必要です。

相対的な変位誤差

相対的な変位誤差(収束サマリーではEUIと出力されます)は、次のように計算されます:(7) E U = k A · Δ u A · u

ここで、 A は、剛性マトリックス K の対角要素の平方根とベクトルのノルムIIで構成される正規化ベクトルで、 A i = K i i

ベクトルのノルムは次のように計算されます:(8) A · u = i | A i u i |

k = q 1 q (微小変位非線形解析の場合)で、 q は次のように計算されます:

q は、非線形の解に発生する実際の誤差をより正確に表わすため、解 Δ u n の増分を修正する縮約係数で、次のように表現されます:(9) q = Δ u n Δ u n 1
実計算において q の挙動を安定させるためには、次の式に従って反復的に更新します:(10) q n = 2 3 Δ u n Δ u n 1 + 1 3 q n 1
初期値 q 1 = 0.99 から開始します。
注: 縮約係数の値は、解が収束に近い場合に意味があるものとなります。これは、微小変位非線形解析に残る実際の誤差をかなり正確に推算します。

k = 1 (大変位非線形解析の場合)

相対的な荷重誤差

相対的な荷重誤差(収束サマリーではEPIと出力されます)は、残差 R の相対的な大きさから次のように計算されます:(11) E P = R · u f · u

この式の荷重ベクトル f には、強制変位による節点反力が含まれます。

相対的な仕事誤差

相対的な仕事誤差(収束サマリーでEWIと出力されます)は、解のエネルギーの相対的な変化から次のように計算されます:(12) E W = R · Δ u f · u
注: 上記のノルムでは、非線形反復プロセスの誤差のみが測定されます。これらの値は、有限要素解の正確さを表わすものではなく、非線形プロセスが正常に収束したという事実を表わしているに過ぎません。

問題の設定

微小変位非線形解析

微小変位非線形解法の設定は以下のように行います。静的荷重および境界条件は、入力ファイルのバルクデータエントリセクションで定義します。これらをサブケース情報エントリセクション内で参照する必要があり、これにはSUBCASESPCおよびLOADステートメントを使用します。各SUBCASEは、1つの荷重ベクトルを定義します。GAPまたはCONTACT要素がモデル内に存在している場合、荷重または強制変位は非線形疑似静解析に必須ではありません。

任意のサブケースで非線形解が必要であることを示すには、そのサブケースについてサブケース情報エントリコマンドNLPARMが存在している必要があります。このコマンドは、収束許容値およびその他の非線形パラメータを含むバルクデータエントリNLPARMカードを参照します。

NLOUTバルクデータエントリとNLOUTサブケース情報エントリは、大変位非線形および微小変位非線形解析で増分出力を制御するために使用できます。
SUBCASE 10
SPC = 1
LOAD = 2
NLPARM = 99
.
.
BEGIN BULK
NLPARM 99                  12      UPW+1.1e-5
.
注:
  1. 非線形ギャップおよび接触解析は、最適化でもサポートされています。
  2. 慣性リリーフは、非線形静解析ではサポートされています。あらゆる非線形性(接触、形状、材料)を、慣性リリーフを用いた非線形静解析に含めることができます。
  3. 塑性は、小変位および大変位非線形静解析用の膜要素(1次・2次)でサポートされています。MATS1エントリで利用可能な硬化則のうち、等方性、動特性、および混合硬化タイプは、膜要素でサポートされています。

Large Displacement Nonlinear Analysis

大変位非線形静解析の設定は以下のように行います。
  1. PARAM, LGDISP,1は、モデル内にNLPARMサブケース情報エントリを含むすべてのサブケースについて、大変位解析をアクティブ化するために使用されます。サブケース固有の大変位解析は、NLPARM(LGDISP)=SIDを介してアクティブ化できます。SIDは、NLPARMバルクデータエントリを参照します。
  2. サブケースに対して非線形解法が必要であることを示すには、NLPARMサブケース情報エントリを対応するサブケースに含める必要があります。
  3. このサブケースエントリは、収束トレランスおよびその他の非線形パラメータを含むNLPARMバルクデータエントリを参照します。
  4. NLADAPTバルク / サブケースエントリは、カットバックの数、MAX/MIN時間増分をコントロールするために使用できます。また、NLADAPTによって、収束条件内で接触状態の変更を追加し、ニュートン-ラプソン法での線形外挿をアクティブにすることも可能です。
  5. モデルで拘束条件または接触が定義されている場合は、時間の経過とともにマトリックスプロファイルが更新されるので、非線形解析にはハッシュアセンブリの使用が推奨されます。これは、PARAM,HASHASSM,YESを使用してアクティブ化します。
  6. 荷重は、FLLWERバルクデータエントリおよびFLLWERサブケース情報エントリを使うことにより、追従荷重として扱うことができます。追加的に、追従荷重の大域的なアクティブ化 / 非アクティブ化に、PARAM, FLLWERが使用できます。追従荷重は大変位非線形解析についてのみアクティブ化でき、PARAM,LGDISP,1(またはサブケース固有のNLPARM(LGDISP)=SID)が入力ファイルに追加される必要があります。大変位非線形サブケースがFLLWERを含み、デック内にPARAM,FLLWERが存在する場合、FLLWERバルクデータエントリ(FLLWERコマンドにより参照される)によって定義される追従荷重計算パラメータは、このサブケースのPARAM,FLLWER,<-1, 0, 1, 2, 3>の大域的な追従荷重設定よりも優先されます。

    追従荷重:

    FORCE1/FORCE2バルクデータエントリは、追従荷重を定義するために使用できます。PARAM, FLLWER上のFLLWERバルクデータエントリ / 値のOPTフィールドは、追従荷重のコンフィギュレーションを制御するために使用できます。

    追従圧力:

    PLOADPLOAD2およびPLOAD4バルクデータエントリは、追従圧力を定義するために使用できます。PLOAD4では、継続行が使用されない場合、初期圧力は常に要素の法線方向に向かいます。PARAM, FLLWER上のFLLWERバルクデータエントリ / 値のOPTフィールドは、追従圧力のコンフィギュレーションを制御するために使用できます。

    方向追従圧力:

    PLOAD4上のCIDN1N2N3継続行は、方向追従圧力荷重の定義に使用できます。方向追従圧力荷重が従荷重サブケース内で定義されている場合、材料の座標軸に合わせた局所座標系が構築されます。OPT=1または3が指定されている場合、圧力は、局所座標系の初期方向を保持します。OPT=2が指定されている場合、圧力は、基準座標系の初期方向を保持します。

    所与のPLOAD4エントリについてOPT=1または2である場合、圧力のかかる領域は、変形形状について計算されます。そうでない場合は、圧力のかかる領域は、初期形状について計算されます。
    PARAM,LGDISP,1
    PARAM,FLLWER,1
    PARAM,HASHASSM,YES
    SUBCASE 10
    SPC = 1
    LOAD = 2
    FLLWER = 31
    NLPARM = 99
    BEGIN BULK
    FLLWER,31
    +,LOADSET,-1,101
    +,LOADSET,0,102
    +,LOADSET,1,103
    +,LOADSET,2,104
  7. NLOUTバルクデータエントリとNLOUTサブケース情報エントリは、大変位非線形および微小変位非線形解析で増分出力を制御するために使用できます。
  8. PARAM,SHELLLG,YESは、非線形大変位解析用の別の1次シェル要素をアクティブにするために使用できます。これは、感度モデルに用いることが可能です。
注:
  1. 大変位非線形解析は、ソリッド要素、シェル(1次のみ)要素、CBUSHCBEAMCBARRRODCELAS1i、CWELD, CFASTCONRODRBARRBE2RBE3バルクデータエントリについてサポートされています。また、MPCもサポートされています。PCOMPPCOMPGPCOMPPエントリを使用した複合材は、大変位非線形解析でサポートされるようになりました。

    RBE3バルクデータエントリの従属節点にSPCを適用できます。

  2. マトリックスの直接入力(DMIGエントリを使用)は現時点では大変位非線形解析でサポートされていませんが、DMIGは微小変位とみなされます。
  3. 線形座屈解析と初期荷重解析は、大変位非線形解析でサポートされていません。
  4. エキスパートシステムを含む適応荷重増分テクニック(PARAM, EXPERTNL)は、現時点では大変位非線形解析でサポートされていません。ただし、PARAM,EXPERTNL,CNTSTBでの安定化は、大変位非線形解析でサポートされています。
  5. 非線形熱伝導解析は、現時点では大変位非線形解析でサポートされていません。
  6. 大変位非線形解析と次の要素との組み合わせはサポートされていません:
    1. ガスケット要素はモデルに存在することはできますが、微小変位非線形理論(塑性を伴うANALYSIS=NLSTATと同等)を使用して解析されます。以下の要素に大きな平行移動または回転が起こり得る場合、結果は正確ではないこともあります:
    2. 以下の要素はLGDISPで許可されていますが、微小変位非線形理論を使用して解析されます:

      CGAPCGAPGCSEAMおよびCSHEAR

    3. RBE1要素はLGDISPでは許可されず、存在する場合はOptiStructからエラーが返されます:
  7. シェルの大ひずみ定式化は、大変位非線形解析でサポートされています。
  8. 慣性リリーフは、非線形静解析ではサポートされています。あらゆる非線形性(接触、形状、材料)を、慣性リリーフを用いた非線形静解析に含めることができます。
  9. 塑性は、小変位および大変位非線形静解析用の膜要素(1次・2次)でサポートされています。MATS1エントリで利用可能な硬化則のうち、等方性、動特性、および混合硬化タイプは、膜要素でサポートされています。
  10. 大変位非線形解析の場合、ブッシュ要素の局所座標系は変形に伴って移動します。

出力

一般的な出力エントリ(DISPLACEMENT、STRESSおよびSTRAINなど)を使用して、非線形陽解法解析の対応する出力を要求できます。NLOUTサブケースおよびバルクデータエントリを使用して、中間結果を要求できます。

エネルギー出力はデフォルトで利用でき、NLENRG バルク / サブケースペアによる追加制御が可能です。

微小変位非線形解析の収束について考慮すべき点

微小変位非線形解析の場合、ニュートン法は非線形問題の解析にとって信頼できるツールであり、高速な2次の収束率を実現できます。

しかし、すべての状況で収束が保証されるわけではありません。

接触を含む問題、特に摩擦のある場合には、しばしば収束が困難となります。前後に振動して収束しない問題において、解が収束する可能性を高めるために有効な手法がいくつか組み込まれています。その1つでは“粘着性ギャップ”を採用し、“未確定”の節点が接触点の前後で振動しないよう、わずかな粘着性が残るようにしています。ギャップ / 接触の状態のフリーズを採用している手法もあります。この場合は、振動回数の多い節点があると、ギャップ要素の開閉状態を変更できないようにします。
注: これらの手法は、ほぼ収束しているものの完全な収束までは至らずに停滞している問題に対してのみ作用し、収束する(または完全に発散している)ケースには影響しません。

問題の設定

解が実在すると思われる現実的な物理的状況を非線形問題が表わしていることを確認します。ギャップ要素の方向を選択する際には、特に注意し、適切な方向を選択する必要があります。指定のギャップ座標系を使用する場合には、特に重要です。詳細については、CGAPおよびCGAPG要素の説明をご参照ください。

十分な支持

ギャップ / 接触要素は1方向の動きのみを支持しているので、特定の荷重条件下では、個々の成分が剛体自由度を持つような問題設定も可能になります。これは、解析過程でゼロピボットとして現れます。このような状況を回避するには、ギャップ / 接触要素がなくても剛体モードが発生しないように、すべての自由度を十分に支持します。すべての部品を“しっかり”支持することが不可能な場合(この部品は動く必要があります)、非常に弱いばねを使用することで、ギャップ / 接触要素が関与しない場合でも、この部品が“無制限に自由に動く”ことがないようにします。このような補助的なばねの剛性は、モデル全体のサイズに見合う、部品の大きな動きを考慮して選択します。ギャップ要素や接触インターフェースが適切に設定されていれば、解が収束したとき、このような弱いばねが解に与える影響はほとんどありません。

適切なギャップ剛性

ギャップ剛性の値 K A および K T が本質的に表しているのは、接触する節点が無視できないほど接触点の内側に侵入することを阻止できる強さを持つペナルティばねです。理論的には剛性が高ければ接触条件を厳密に設定できますが、過度に高いと収束が困難になったり、剛性マトリックスの条件設定が制限されたりする可能性があります( K T では特にこの可能性があります)。このような現象が見られた場合、ギャップ剛性を低くすると効果的なことがあります。基本的な推奨値として、適切なギャップ剛性の範囲は、ほぼ以下のようになります。(13) ( 10 3 t o 10 6 ) E h MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aadaqadaqaaiaaigdacaaIWaWaaWbaaSqabeaacaaIZaaaaOGaaGjb VlaadshacaWGVbGaaGjbVlaaigdacaaIWaWaaWbaaSqabeaacaaI2a aaaaGccaGLOaGaayzkaaGaeyyXICTaamyraiabgwSixlaadIgaaaa@4A87@

ここで、 E MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaWGfbaaaa@39A1@ は一般的な弾性率の値、 h MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaWGfbaaaa@39A1@ はギャップ要素周辺の一般的な要素サイズです。このような範囲であれば、一般的にギャップの侵入をそれぞれ要素サイズの1/1000、1/1000000未満に抑えることができます。適切な K T の値は、 0.1KA MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaaIWaGaaiOlaiaaigdacqGHflY1caWGlbGaamyqaaaa@3EDE@ 程度です。

K A および K T の妥当な値を容易に決定するため、OptiStructではこれらのパラメータの自動計算をサポートしています。具体的には、次のとおりです:
  • オプション K A =AUTOでは、周囲にある要素の剛性を使用して、各ギャップ要素の K A の値を決定します。追加オプションSOFTおよびHARDを使用すると、それぞれ、より穏やかなペナルティ、より厳しいペナルティを生成できます。SOFTは収束が困難な場合に使用し、HARDは望ましくない貫通が解に検出された場合に使用します。
  • オプション K T =AUTOでは、 K T の値を自動的に計算します。MU1>0の場合、ここでの結果は K T が空白である場合と同じになり、その値は、 M U 1 K A MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaWGnbGaamyvaiaaigdacqGHflY1caWGlbGaamyqaaaa@3F1E@ として計算されます。MU1=0または空白の場合、 K T =AUTOと設定することで、ゼロでない K T が生成され、その値は K T = 0.1 K A MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaaIWaGaaiOlaiaaigdacqGHflY1caWGlbGaamyqaaaa@3EDE@ となります。したがって、強制的な粘着条件を指定する場合に、 K T =AUTOを使用できます。

摩擦

摩擦が存在すると、その強い非線形と非収束性のために、非線形収束が困難になる可能性があります。特にすべりが存在する場合に顕著です。したがって、摩擦を考慮せずに問題を解くと、摩擦がある場合にはうまくいかない問題が収束することがよくあります。また、摩擦抵抗を考慮する必要があって、わずかなすべりが予想される場合には、STICK条件を適用することで実用的な解が得られる場合があります。また、クーロン摩擦を考慮した場合に比べ、良好に収束することもよくあります(詳細については、PGAPPCONTバルクデータカードを参照)。すべり量が多い場合には、固着条件を適用することによって“タンブル”モードを経て発散することがあります。

ギャップのオフセット

理論上の正確さを得るために、長さがゼロでないギャップ / 接触要素で、摩擦による曲げモーメントを生成します(これは接触面から端点に摩擦力が伝達されることによって発生します)。ただし、このオフセット操作により、収束上の問題、および直感に反した結果が生じる場合があります。摩擦のある問題では、次のようにパラメータでオフセット操作をオフにすることをお奨めします。

GAPPRM,GAPOFFS,NO

これにより、摩擦が存在する条件下で、より直感に即した結果が得られます。ただし、これは物体の剛体バランスを乱す場合があり、特に全面的なSPC支持がない問題では、注意して使用する必要があります。詳細については、PGAPおよびPCONTバルクデータカードの項をご参照ください。

増分荷重

上記の手段を講じても非線形プロシージャが発散する場合には、増分荷重の手順(荷重をいくつかに分けて段階的にかける方法)を使用して、収束させることができます。詳細については、NLPARMバルクデータカードの項をご参照ください。ただし、問題が誤って構成されている(解が、過度な変形、剛体の自由な動き、不適切な条件に設定した剛性マトリックス、非常に大きな非線形誤差などを示す)場合は、増分荷重を適用しても収束解を得ることは期待できません。

非線形エキスパートシステム

収束が困難な場合、エキスパートシステムを使って収束を達成することが可能です:

PARAM,EXPERTNL,YES

エキスパートシステムは、荷重の増分およびその他の非線形パラメータを調整し、収束を得るよう試みます。ただし、問題が誤って構成されている(解が、過度な変形、剛体の自由な動き、不適切な条件に設定した剛性マトリックス、非常に大きな非線形誤差などを示す)場合は、エキスパートシステムを使っても収束解を得ることは期待できません。

また、長い時間がかかった挙句、収束に至らない場合もあり得ます。このような場合、非常に小さい荷重増分の使用、もしくは、修正された非線形パラメータを使ってソリューションを再実行したことが原因となっている可能性があります。

非線形(静的および動的)解析時の PARAM、EXPERTNL、AUTO/YESと 他の非線形制御の相互作用をまとめると、以下のようになります。
オプション 制御コマンド EXPERTNL AUTO/YESによる影響
DT, NINC NLPARM NO、最初の増分サイズだけを制御します。
MAXITER YES,MAXITERPARAM, EXPERTNL, AUTO/YESで上書きされます。
MAXLS, LSTOL, TTERM NO

PARAM, EXPERTNL, AUTO/YESは、NLADAPTTSTEPオプションに影響しません(非線形過渡解析の場合)。

弧長法

弧長法は、非線形静解析で座屈後問題に使用できます。これは、NLPCIバルクデータエントリを介してアクティブ化できます。

解析時の収束のプロット

非線形静解析と非線形過渡解析の全サブケースにわたるすべての非線形反復計算について、Altair Compute Console(ACC)を使用して収束プロットを取得できます。

すべての最適化反復計算の進行状況をモニターすることもできます。

詳細については、実行時監視セクションの解析時の収束のプロットをご参照ください。