ランダム応答解析
構造に非決定的で継続した荷重がかかっている場合に使用されます。
非決定的な荷重を含む可能性のあるケースとしては、航空機構造に対する乱気流、自動車構造に対する路面の不整、与えられた構造に対する騒音荷重といった条件に関連したものが挙げられます。
ランダム応答解析は入力として、周波数応答解析からの複素周波数応答および非決定的加振ソースのパワースペクトル密度関数を要します。複素波数応答は、直接法およびモーダル法による周波数応答解析によって得ることができます。
異なる加振(aおよびb)
ここで、は2つの(異なる、)ソースのクロスパワースペクトル密度で、個別ソースは加振荷重ケース、は適用荷重ケースです。この値は複素数であり得ます。は、の複素共役です。
同じ荷重ケース(a)
単一のランダム応答解析における異なる(a,b)荷重ケースと同じ(a,a)荷重ケースの組み合わせ
ランダム応答解析について荷重ケースの組み合わせがある場合、応答の全パワースペクトル密度は、個々のすべての(同じ)荷重ケースとすべての(異なる)クロス荷重ケースによる応答のパワースペクトル密度の和になります。
自己相関関数
- 自己相関のタイムラグ
自由度“x”の応答のパワースペクトル密度のRMS
図 1.
自由度“x”の自己相関関数出力
RANDT1バルクデータエントリは、特定の自由度の各応答についての自己相関関数の計算で、ラグタイム()を指定するために使用することができます。
自己相関関数は、周波数領域[0, ]全体で指定されたRANDT1セット内の各タイムラグ値について計算されます。
正のゼロクロッシングの数
XYPLOT、XYPEAKまたはXYPUNCH出力リクエストが使用されている場合、各加振周波数において計算された正のゼロクロッシングの最大数と2乗平均平方根を*.peakファイルにエクスポートします。
設定
ランダム応答解析は、特定のサブケースについては、そのサブケース内にRANDOMサブケース情報エントリを含め、加えてオプションのANALYSIS=RANDOMエントリを介することでアクティブ化されます。
このセレクターは、RANDPSおよびオプションのRANDT1バルクデータエントリがランダム応答解析に使用されるよう特定します。複素周波数応答および入力スペクトル密度は、RANDPSバルクデータエントリによって指定されます。RANDPSデータは、荷重対周波数のパワースペクトル密度を含むTABRND1バルクデータエントリを参照します。RANDT1バルクデータエントリは、自己相関のタイムスパンを表します。RCROSSバルクデータエントリはランダム応答解析のクロスパワースペクトル密度の出力要求に用いられ、RCROSS I/Oオプションエントリセクションセレクターで参照されます。各周波数応答サブケースについての荷重は異なることがあっても、特定のランダムサブケースで参照されるすべての周波数応答サブケースは同じ周波数データを参照しなければなりません。
RANDT1バルクデータエントリは、自己相関関数の計算のタイムラグセットを表します。RCROSSバルクデータはランダム応答解析からの特定の応答のクロスパワースペクトル密度の出力要求に用いられ、RCROSS I/Oオプションエントリセクションセレクターで参照されます。各周波数応答サブケースについての荷重は異なることがあっても、特定のランダムサブケースで参照される周波数応答サブケースは同じ周波数データを参照しなければなりません。
ランダム応答解析は、既存のH3Dファイルからの周波数応答結果に基づいて実行することも可能です。
H3DファイルからのDISPLACEMENT、VELOCITY、およびACCELERATIONのような周波数応答結果は、ランダム応答解析からインポートすることができます。プロセスにおいて、1D/2D要素のFORCE / ELFORCE、STRESS/ELSTRESS、STRAIN、またはエネルギー出力(ESE/EKE/EDE)がランダム応答解析で要求された場合、既存のH3Dファイルには、回転変位、回転速度、または回転加速度結果のいずれかが必要です。これは、回転結果(変位、速度、または加速度)出力がランダム応答解析で要求されている場合も同様です。
IMPORT I/OエントリとASSIGN,H3DRESエントリを使ってそのようなH3Dファイルや対応するサブケース(その結果が以降のランダム応答解析に使用される)を認識させます。
図 2.
結果出力
ランダム応答パワースペクトル密度関数(PSDF)はDISP、VELO、ACCEに対して、これらのI/OオプションデータセレクターのPSDF出力オプションをランダムサブケース内で用いて.h3dファイルに書き出すことができます。
全ての周波数に対する出力の最後が周波数出力セレクターに対するRMSで、HyperViewで以下のように示されます。
ランダム応答パワースペクトル密度関数(PSDF)はCBUSH要素力に対して、FORCE I/OオプションエントリでPSDF出力オプションをランダムサブケース内で指定することにより.h3dファイルに書き出すことができます。それぞれの周波数に対する出力の最後は.h3dファイルに対する周波数出力セレクターのRMSで、HyperViewでは以下のように示されます。
ランダム応答パワースペクトル密度関数(PSDF)はソリッドとシェル要素の応力とひずみに対して、STRESSとSTRAIN I/OオプションでPSDF出力オプションをランダムサブケース内で用いることにより、.h3dと.op2ファイルに書き出すことができます。それぞれの周波数に対する出力の最後は.h3dファイルに対する周波数出力セレクターと.op2ファイルに対するシミュレーションセレクターのRMSで、HyperViewでは以下のように示されます。
![rms_output_h3d](../../../images/solvers/rms_output_h3d.png)
図 3. HyperViewでのH3DファイルへのRMS出力選択
![rms_output_op2](../../../images/solvers/rms_output_op2.png)
図 4. HyperViewでのOP2ファイルへのRMS出力選択
プロット出力
ランダム応答解析の結果については、3つのプロット出力要求が使用できます。
- プロッティングコントローラー
- XYPEAK
- 要求された出力のサマリーを含む.peakファイルを生成します。
- XYPLOT
- 要求された出力についてHyperGraphセッションファイル(_rand.mvwファイル)および関連したデータファイル(.randファイル)を生成します。また、.peakファイルも生成します。
- XYPUNCH
- 要求された出力について、.pchファイルを生成します。また、.peakファイルも生成します。
これらの出力要求は、同じ行に組み合わせて記述する点で、他の多くのOptiStruct出力要求とは異なっています。
- "Operation"は、XYPLOT、XYPUNCHおよびXYPEAKの組み合わせが可能です。
- "Curve-type"には、FORCESTRESS、STRAINDISP、VELOまたはACCEのいずれかを指定でき、それぞれ力、応力、ひずみ、変位、速度、加速度を要求します。
- "Plot-type"は、要求するパワースペクトル密度関数または自己相関はPSDFまたはAUTOです。
- "Grid (Component) list"は、スラッシュ"/"の後ろに置かれなくてはなりません。リスト内の各エントリは、コンマで区切ります。各エントリは、GRIDまたはSPOINT IDで構成され、括弧()に入った運動のコンポーネント(T1、T2、T3、R1、R2またはR3)が続きます。SPOINTの場合、コンポーネントはT1でなくてはなりません。
また、プロットタイトルと軸ラベルは、TCURVE(プロットタイトル)、XTITLE(x-軸ラベル)およびYTITLE(y-軸ラベル)を使ってコントロールすることができます。これらのコントロールが使用されていない場合は、デフォルトのタイトルとラベルが使用されます。
結果の例
例:HyperGraphでの結果
XYPLOT, VELO, PSDF / 3(T2), 6(T2)
例:.peakファイルでの結果
XYPEAK,DISP, AUTO /223(T3)
例:すべてのフォーマットでの結果
コンポーネントT1およびT2のGRID 8および9の加速度について、ランダム応答結果出力をすべてのフォーマットで要求する場合:
XYPEAK, XYPLOT, XYPUNCH, ACCE, PSDF / 8(T1), 9(T1), 8(T2), 9(T2)
XYPLOTまたはXYPUNCHが存在する場合、.peakファイルは常に生成されるため、XYPEAK要求は有効ですが、不必要です。