ランダム応答解析

構造に非決定的で継続した荷重がかかっている場合に使用されます。

非決定的な荷重を含む可能性のあるケースとしては、航空機構造に対する乱気流、自動車構造に対する路面の不整、与えられた構造に対する騒音荷重といった条件に関連したものが挙げられます。

ランダム応答解析は入力として、周波数応答解析からの複素周波数応答および非決定的加振ソースのパワースペクトル密度関数を要します。複素波数応答は、直接法およびモーダル法による周波数応答解析によって得ることができます。

異なる加振(aおよびb)

H x a ( f ) および H x b ( f ) が自由度 x で、それぞれの周波数応答荷重ケースが a b である場合の複素周波数応答(変位、速度または加速度)の場合、自由度 x の応答のパワースペクトル密度、 S x o ( f ) MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaam4uamaaBa aaleaacaWG4bGaam4BaaqabaGcdaqadaqaaiaadAgaaiaawIcacaGL Paaaaaa@3B69@ は:(1) S x o ( f ) = H x a * ( f ) H x b ( f ) S a b ( f ) MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaam4uamaaBa aaleaacaWG4bGaam4BaaqabaGccaGGOaGaamOzaiaacMcacqGH9aqp caWGibWaaSbaaSqaaiaadIhacaWGHbaabeaakmaaCaaaleqabaGaai OkaaaakiaacIcacaWGMbGaaiykaiaadIeadaWgaaWcbaGaamiEaiaa dkgaaeqaaOGaaiikaiaadAgacaGGPaGaam4uamaaBaaaleaacaWGHb GaamOyaaqabaGccaGGOaGaamOzaiaacMcaaaa@4C95@

ここで、 S a b ( f ) は2つの(異なる、 a b )ソースのクロスパワースペクトル密度で、個別ソース a は加振荷重ケース、 b は適用荷重ケースです。この値は複素数であり得ます。 H x a * ( f ) MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamisamaaBa aaleaacaWG4bGaamyyaaqabaGcdaahaaWcbeqaaiaacQcaaaGccaGG OaGaamOzaiaacMcaaaa@3C02@ は、 H xa (f) MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamisamaaBa aaleaacaWG4bGaamyyaaqabaGccaGGOaGaamOzaiaacMcaaaa@3B1D@ の複素共役です。

同じ荷重ケース(a)

S a ( f ) が個別ソース(荷重ケース a のスペクトル密度である場合、荷重ケース a による自由度 x の応答のパワースペクトル密度は:(2) S x o ( f ) = | H x a ( f ) | 2 S a ( f )

単一のランダム応答解析における異なる(a,b)荷重ケースと同じ(a,a)荷重ケースの組み合わせ

ランダム応答解析について荷重ケースの組み合わせがある場合、応答の全パワースペクトル密度は、個々のすべての(同じ)荷重ケースとすべての(異なる)クロス荷重ケースによる応答のパワースペクトル密度の和になります。

自己相関関数

時間依存変量 y を考えます。時間依存関数 y ( t ) の自己相関関数 A y ( τ ) は、次の式によって定義できます:(3) A y ( τ ) = lim T T 2 + T 2 y ( t ) y ( t + τ ) d t
ここで、
τ
自己相関のタイムラグ
時間依存関数 y ( t ) の分散 σ 2 ( y ) A y ( 0 ) と同等です。分散 σ 2 ( y ) は、パワースペクトル密度の関数 S y ( f ) として次のように表すことができます:(4) A y ( 0 ) = σ 2 ( y ) = S y ( f ) d f
時間依存量 y ( t ) の2乗平均平方根( y R M S )は、次のように書くことができます:(5) y R M S = y ( t ) ¯ 2 + σ 2 ( y )
関数の平均( y ( t ) ¯ )が0に等しい場合、RMSの値は、分散の平方根です。分散も A y ( 0 ) に等しいため、RMSの値は次のように書くことができます:(6) y R M S = S y ( f ) d f

自由度“x”の応答のパワースペクトル密度のRMS

各加振周波数におけるRMS値は、指定の周波数に至るまでのパワースペクトル密度関数の下側の面積の累積的な和として定義されます。これより前のセクションで得られた y R M S についての式に基づき、特定の自由度 x の応答のRMSは、加振周波数の範囲[ f 1 MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamOzamaaBa aaleaacaaIXaaabeaaaaa@37C9@ , f n ]で次のように計算されます:(7) ( S x (f) ) RMS = f 1 f n S x (f)df MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0l bbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0R Yxir=Jbba9q8aq0=yq=He9q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaabaqaciGa caGaaeqabaqaaeaadaaakeaadaqadaqaaiaadofadaWgaaWcbaGaam iEaaqabaGccaGGOaGaamOzaiaacMcaaiaawIcacaGLPaaadaWgaaWc baGaamOuaiaad2eacaWGtbaabeaakiabg2da9maakaaabaWaa8qCae aacaWGtbWaaSbaaSqaaiaadIhaaeqaaOGaaiikaiaadAgacaGGPaGa amizaiaadAgaaSqaaiaadAgadaWgaaadbaGaaGymaaqabaaaleaaca WGMbWaaSbaaWqaaiaad6gaaeqaaaqdcqGHRiI8aaWcbeaaaaa@47E0@
HyperViewでは、RMS値はランダム応答解析についてドロップダウンメニューで加振周波数と共に表示されます。このメニュー内の各セクションは、それ以前のすべての加振周波数における特定の応答に対するRMS値の累積的な和(評価対象の荷重周波数に至る応答カーブの下側の面積)を表示します。周波数領域全体の応答のRMS値を得るために、RMS over frequenciesオプションを選ぶことができます。


図 1.

自由度“x”の自己相関関数出力

RANDT1バルクデータエントリは、特定の自由度 x の各応答についての自己相関関数の計算で、ラグタイム( τ )を指定するために使用することができます。

自己相関関数およびパワースペクトル密度は互いにフーリエ変換で関係付けられます。したがって、応答 S x ( f ) の自己相関関数は、次のように表すことができます:(8) A x ( τ ) = 2 0 f n S x ( f ) exp ( i 2 π f ) d f

自己相関関数は、周波数領域[0, f n ]全体で指定されたRANDT1セット内の各タイムラグ値について計算されます。

正のゼロクロッシングの数

構造のランダム非決定的加振荷重は、疲労損傷を引き起こすことがあります。ランダム振動の疲労サイクルの数は、振動持続時間に正のゼロクロッシングの最大数と呼ばれる別のパラメーターを掛けることによって評価されます。正のゼロクロッシングの最大数は、次のように計算されます:(9) P c = ( 0 f n f 2 S x ( f ) d f 0 f n S x ( f ) d f ) 0.5

XYPLOTXYPEAKまたはXYPUNCH出力リクエストが使用されている場合、各加振周波数において計算された正のゼロクロッシングの最大数と2乗平均平方根を*.peakファイルにエクスポートします。

設定

ランダム応答解析は、特定のサブケースについては、そのサブケース内にRANDOMサブケース情報エントリを含め、加えてオプションのANALYSIS=RANDOMエントリを介することでアクティブ化されます。

このセレクターは、RANDPSおよびオプションのRANDT1バルクデータエントリがランダム応答解析に使用されるよう特定します。複素周波数応答および入力スペクトル密度は、RANDPSバルクデータエントリによって指定されます。RANDPSデータは、荷重対周波数のパワースペクトル密度を含むTABRND1バルクデータエントリを参照します。RANDT1バルクデータエントリは、自己相関のタイムスパンを表します。RCROSSバルクデータエントリはランダム応答解析のクロスパワースペクトル密度の出力要求に用いられ、RCROSS I/Oオプションエントリセクションセレクターで参照されます。各周波数応答サブケースについての荷重は異なることがあっても、特定のランダムサブケースで参照されるすべての周波数応答サブケースは同じ周波数データを参照しなければなりません。

RANDT1バルクデータエントリは、自己相関関数の計算のタイムラグセットを表します。RCROSSバルクデータはランダム応答解析からの特定の応答のクロスパワースペクトル密度の出力要求に用いられ、RCROSS I/Oオプションエントリセクションセレクターで参照されます。各周波数応答サブケースについての荷重は異なることがあっても、特定のランダムサブケースで参照される周波数応答サブケースは同じ周波数データを参照しなければなりません。

ランダム応答解析は、既存のH3Dファイルからの周波数応答結果に基づいて実行することも可能です。

H3DファイルからのDISPLACEMENTVELOCITY、およびACCELERATIONのような周波数応答結果は、ランダム応答解析からインポートすることができます。プロセスにおいて、1D/2D要素のFORCE / ELFORCESTRESS/ELSTRESSSTRAIN、またはエネルギー出力(ESE/EKE/EDE)がランダム応答解析で要求された場合、既存のH3Dファイルには、回転変位、回転速度、または回転加速度結果のいずれかが必要です。これは、回転結果(変位、速度、または加速度)出力がランダム応答解析で要求されている場合も同様です。

IMPORT I/OエントリとASSIGN,H3DRESエントリを使ってそのようなH3Dファイルや対応するサブケース(その結果が以降のランダム応答解析に使用される)を認識させます。

以下のランダム応答解析入力デックの一部は、構造のランダム応答を決定するために使用される2つの異なる直接法周波数応答サブケースのセットアップを示しています。両方のサブケースに同じ周波数セット(FREQUENCY=7)が使用されています。また、ランダム応答解析データ(RANDOM=8)と対応する出力セット(DISPLACEMENT=1)が、オプションのANALYSISRANDOMエントリと共に、別のサブケースで定義されています。入力パワースペクトル密度関数を指定するために、TABRND1バルクデータエントリも使用されています。


図 2.

結果出力

ランダム応答パワースペクトル密度関数(PSDF)はDISPVELOACCEに対して、これらのI/OオプションデータセレクターのPSDF出力オプションをランダムサブケース内で用いて.h3dファイルに書き出すことができます。

全ての周波数に対する出力の最後が周波数出力セレクターに対するRMSで、HyperViewで以下のように示されます。

ランダム応答パワースペクトル密度関数(PSDF)はCBUSH要素力に対して、FORCE I/OオプションエントリでPSDF出力オプションをランダムサブケース内で指定することにより.h3dファイルに書き出すことができます。それぞれの周波数に対する出力の最後は.h3dファイルに対する周波数出力セレクターのRMSで、HyperViewでは以下のように示されます。

ランダム応答パワースペクトル密度関数(PSDF)はソリッドとシェル要素の応力とひずみに対して、STRESSSTRAIN I/OオプションでPSDF出力オプションをランダムサブケース内で用いることにより、.h3d.op2ファイルに書き出すことができます。それぞれの周波数に対する出力の最後は.h3dファイルに対する周波数出力セレクターと.op2ファイルに対するシミュレーションセレクターのRMSで、HyperViewでは以下のように示されます。

また、Segalman法に基づいたPSDFおよびRMSフォンミーゼス応力およびひずみ結果が、ランダム応答解析の.h3dファイルに書き出されます(H3Dフォーマットでのみ使用可能)。

rms_output_h3d
図 3. HyperViewでのH3DファイルへのRMS出力選択

rms_output_op2
図 4. HyperViewでのOP2ファイルへのRMS出力選択

プロット出力

ランダム応答解析の結果については、3つのプロット出力要求が使用できます。

これらの出力要求は、入力データの入出力オプションエントリセクションで使用します。
プロッティングコントローラー
XYPEAK
要求された出力のサマリーを含む.peakファイルを生成します。
XYPLOT
要求された出力についてHyperGraphセッションファイル(_rand.mvwファイル)および関連したデータファイル(.randファイル)を生成します。また、.peakファイルも生成します。
XYPUNCH
要求された出力について、.pchファイルを生成します。また、.peakファイルも生成します。

これらの出力要求は、同じ行に組み合わせて記述する点で、他の多くのOptiStruct出力要求とは異なっています。

要求は次のような書式です:
  • "Operation"は、XYPLOTXYPUNCHおよびXYPEAKの組み合わせが可能です。
  • "Curve-type"には、FORCESTRESSSTRAINDISPVELOまたはACCEのいずれかを指定でき、それぞれ力、応力、ひずみ、変位、速度、加速度を要求します。
  • "Plot-type"は、要求するパワースペクトル密度関数または自己相関はPSDFまたはAUTOです。
  • "Grid (Component) list"は、スラッシュ"/"の後ろに置かれなくてはなりません。リスト内の各エントリは、コンマで区切ります。各エントリは、GRIDまたはSPOINT IDで構成され、括弧()に入った運動のコンポーネント(T1T2T3R1R2またはR3)が続きます。SPOINTの場合、コンポーネントはT1でなくてはなりません。

また、プロットタイトルと軸ラベルは、TCURVE(プロットタイトル)、XTITLE(x-軸ラベル)およびYTITLE(y-軸ラベル)を使ってコントロールすることができます。これらのコントロールが使用されていない場合は、デフォルトのタイトルとラベルが使用されます。

結果の例

例:HyperGraphでの結果

コンポーネントT2のGRID 3および6の速度について、ランダム応答結果をHyperGraphセッションファイルで要求する場合:
XYPLOT, VELO, PSDF / 3(T2), 6(T2)

例:.peakファイルでの結果

コンポーネントR3のGRID 223の変位の自己相関について、ランダム応答サマリー結果を.peakファイルに書き出すことを要求する場合:
XYPEAK,DISP, AUTO /223(T3)

例:すべてのフォーマットでの結果

コンポーネントT1およびT2のGRID 8および9の加速度について、ランダム応答結果出力をすべてのフォーマットで要求する場合:

XYPEAK, XYPLOT, XYPUNCH, ACCE, PSDF / 8(T1), 9(T1), 8(T2), 9(T2)

XYPLOTまたはXYPUNCHが存在する場合、.peakファイルは常に生成されるため、XYPEAK要求は有効ですが、不必要です。