スポット溶接疲労解析
構造でのスポット溶接の疲労性能の検討が可能です。
スポット溶接の長さは、割り当てられているシェル板厚によって決定されます。T1とT2が2つのシェルの板厚である場合、スポット溶接要素の長さLは(T1+T2)/2となります。
インプリメンテーション
OptiStructでは、溶接での疲労挙動をモデル化するために、簡略化されたスポット溶接表現が使用されます。
1つの溶接物に、さまざまなタイプの接合部と溶接された、多数の断面がある場合があります。ただし、この項では、スポット溶接部が含まれる断面の解析のみについて説明します。その他の溶接タイプの詳細については、シーム溶接疲労解析をご参照ください。
簡略化されたスポット溶接表現
スポット溶接は、シェル要素(PSHELL)の2つのシートに結合されたCBAR、CBEAM、CWELD、またはCHEXA要素として表されます。CWELD要素とCBEAM要素は、内部的にはCBAR要素と等価です。CHEXA要素の節点力は、各面の幾何学的中心でのビーム力として解いてから、他の1次元要素と同じように疲労計算で考慮されます。
スポット溶接疲労
次の項では、図 3で示した3つの各位置で応力および後続の損傷がどのように計算されるかを示します。
シート位置(1または2)
シート位置1または2では、損傷は、溶接がシート / シェルに結合される点で計算されます。
シート位置1は、ナゲット(1次元要素ナゲット)のエンドA (grid GA)およびナゲット(CHEXA要素ナゲット用の)最も小さいIDに対応するフェイスによって特定されます。CHEXAナゲットの構造については、疲労の入力 / 出力をご参照ください。
シート位置2は、ナゲット(1次元要素ナゲット)のエンドB(grid GB)およびナゲット(CHEXA要素ナゲット用の)最も大きいIDに対応するフェイスによって特定されます。CHEXAナゲットの構造については、疲労の入力 / 出力をご参照ください。
--右記の場合;
- 溶接要素の直径
- 損傷計算に考慮されているシートの板厚
- 次のように計算;
等価半径応力は、(デフォルトでは18度)の間隔で計算されます。の値は、FATPARMバルクデータのNANGLEフィールドを変化させることによって修正できます。次に、レインフローサイクルカウンティングを使用して、各角度()での疲労寿命および損傷を計算します。その後、最悪の損傷値が選択され、出力されます。他のシートについても同様の方法が実行されます。
ナゲット位置
--右記の場合;
は、溶接要素の直径です。
は、損傷計算に考慮されているシートの板厚です。
応力は、(デフォルトでは18度)の間隔で計算されます。の値は、FATPARMバルクデータのNANGLEフィールドを変化させることによって修正できます。等価絶対値最大主応力は、各について、およびから計算されます。これらの応力は、後続の疲労解析に使用されます。レインフローサイクルカウンティングを使用して、各角度()での疲労寿命および損傷を計算します。その後、最悪の損傷値が選択され、出力されます。他のシートについても同様の方法が実行されます。
疲労の入力 / 出力
スポット溶接疲労解析のための疲労入力は、次のカテゴリに分けることができます:
疲労要素識別
- FATDEFバルクおよびサブケースエントリを使用して、疲労解析を実行する必要がある要素を識別できます。スポット溶接疲労の場合は、PTYPEの継続によるスポット溶接要素の定義に、PWELD、PBAR、PBEAM、PBARL、PBEAMLおよびPSOLID継続行を使用可能です。また、ELSETフィールドでも、CBAR、CWELD、CBEAM、CHEXAエントリがサポートされています。シートは、PSHELL継続行を使用して定義できます。
- FATDEFバルクデータエントリでは、スポット溶接疲労プロパティを定義するため、各スポット溶接要素に対して、対応するPFATSPWバルクデータエントリ参照も提供されます。
- PWELD参照が使用される場合は、PWELDエントリのTYPEフィールドをスポット溶接疲労用のSPOTに設定する必要があります。
- PWELDエントリのDTAB継続行を使用して、シェルの最小板厚の関数として溶接要素の直径を定義できます。
- CHEXA要素を使用して、スポット溶接疲労解析の溶接要素を定義できます。その場合、節点力は、シェルに結合された面と向かい合う面の面心での、対応する力とモーメントとして解かれます。シートに結合されたCHEXA要素の面は、必ず、次の順序の節点で構成されている必要があります。要素およびグリッド番号付けの詳細については、CHEXAバルクデータエントリをご参照ください。
また、スポット溶接疲労のためのCHEXA要素のデフォルトの溶接要素直径は、結合面中心からエッジまでの最短距離の2倍と等しくなります。
疲労パラメータ
- FATPARMバルクデータおよびサブケースエントリを使用して、スポット溶接疲労解析のための疲労パラメータを指定できます。
- FATPARMエントリのSPWLD継続行を使用すると、スポット溶接疲労法を入力したり、さまざまなパラメータを識別することができます。
- PFATSPWバルクデータエントリでは、スポット溶接疲労解析のためのいくつかのプロパティの定義が可能です。
疲労材料
- MATFATバルクデータエントリを使用して、スポット溶接疲労解析のための材料特性を指定できます。
- SPWLD継続行を使用すると、平均応力感度値を指定したり、シート1、シート2、およびナゲットのSN曲線属性を分離することができます。
疲労荷重
- 通常の疲労解析と同様に、FATLOAD、FATSEQ、およびFATEVNTエントリを使用して荷重順序を定義できます。
最適化
- DVPREL1/DVPREL2バルクデータエントリを使用して、溶接要素直径(PWELDエントリのD)を最適化実行での設計変数として使用できます。
- DRESP1エントリのATTBフィールドをSPWLDに設定して、スポット溶接疲労最適化をアクティブにできます。
出力
スポット溶接疲労解析の出力は、通常の疲労解析結果と同じように提供されます。シート1、シート2、およびナゲットの損傷および寿命の結果は、HyperView内のSpot Weld Damage(s)およびSpot Weld Life(s)結果タイプを介して入手されます。損傷計算は、PFATSPW バルクデータエントリのSPTFAIL=SHEET、NUGGETまたはALLオプションによってOptiStructで位置を設定できます。また、Damage(s)結果タイプを選択することで、3つの損傷位置(シート1、シート2、またはナゲット)の中から最悪の損傷のみを表示することもできます。
同様に、スポット溶接の損傷と寿命について、シート位置で結果を表示することもできます。