構造流体-構造相互作用解析

OptiStructAcuSolveは、分割され調整された方法に基づいて流体-構造連成相互作用解析を実行するために、完全に統合されています。

OptiStructAcuSolveにはどちらにも、連成解析を多数のタイムステップに分割する時間領域シミュレーション機能が含まれています。OptiStructAcuSolveの支配方程式はどちらも非線形であるため、通常は、副反復が各タイムステップ内で必要となります。詳細については、ユーザーズガイド流体-構造相互作用をご参照ください。本書では、構造領域における直接法による非線形過渡解析(OptiStruct)と流体領域における過渡流体流れ解析(AcuSolve)に基づく構造に対する流体-構造相互作用について説明します。SFSIは、構造に対する流体-構造相互作用を示し、TFSIは熱流体-構造相互作用を示します。


図 1. 流体-構造直接連成相互作用(DC-FSI)サイクル
SFSI解析の各副反復(交換 / 調整)で、流体-構造インターフェースにおける節点の一般力がAcuSolveからOptiStructに渡され、OptiStructでの解析の荷重の一部をなします。一方、インターフェースにおけるOptiStructからの変位は、速度に変換され、AcuSolveでの流れ解析の境界条件として適用されます。
注: 流れによって課される荷重に加えて、追加の構造荷重も適用できることに注意してください。このSFSIサイクルを図 1に示します。

入力 / 出力

詳細なインターフェース固有の入力情報は、流体-構造相互作用ページで入手できます。ここでは、構造FSIを実行するために必要な解析固有の情報について説明します。

まず、モデルをセットアップするためにOptiStruct側から必要な入力データについて説明します。次に、構造FSIに固有のインターフェース境界条件に関する一部の情報について説明し、それらをAcuSolve入力ファイルで設定する方法を示します。

OptiStruct

構造FSIは、構造に対する直接法による非線形過渡解析と流体領域における動的流体流れ解析を組み合わせた連成シミュレーションです。

OptiStructモデルのセットアップの詳細については、ユーザーズガイド直接法による非線形過渡解析をご参照ください。FSIを実行するためには、モデルにいくつかの変更を加える必要があります。次のポイントでこれらの違いを説明します:
  1. 初期タイムステップ(NLPARMまたはTSTEPNL上のDT)は、AcuSolveモデルの初期タイムステップと同じに設定する必要があります。固定タイムステップが解析を通して適用され、これも初期タイムステップと同じです(アダプティブタイムステップはサポートされません)。
  2. FSIバルクデータエントリをモデルに追加する必要があります。構造FSIに関連した収束トレランスパラメータ(FCNVTOLDCNVTOL)、待ち時間(WAITTIME)、およびこのエントリのその他のパラメータを調整できます。
  3. FSIサブケース情報エントリを直接法による非線形過渡サブケースに追加して、このエントリで対応するFSIバルクデータエントリを参照する必要があります。

上記手順を使用すれば、FSI解析の非線形過渡モデルを準備することができます。

AcuSolve

構造FSIは、構造ソルバーと流体ソルバーの動的流体流れ解析機能を組み合わせたものです。そのため、動的流体流れ解析用のモデルのセットアップ方法については、AcuSolve Command Reference Manualをご参照ください。構造インターフェースの変形は、以降の解析に影響する流体流れの変化につながる可能性があります。ここで、AcuSolve入力ファイル内の構造FSIに関連したいくつかのパラメータについて説明します:

EXTERNAL_CODE_SURFACEコマンドを使用して、流体インターフェースと対応するパラメータ間の相互作用を定義します。このコマンドは、サーフェストポロジーおよびインターフェースプロパティを指定します。

解析される問題に応じて(SFSIまたはTFSI)、インターフェース挙動の定義にさまざまなパラメータを使用可能です。さまざまなパラメータの詳細については、AcuSolve Command Reference Manualをご参照ください。
EXTERNAL_CODE_SURFACE( "<structure_label>" ) {
    surfaces                            = Read( "<filename>.ebc" )
    shape                               = "<element type>"
    element_set                         = "<element set ID>"
    velocity_type                       = <wall/slip>
    mesh_displacement_type              = <tied/slip> 
    gap_factor                          = <Real>
    gap                                 = <Real>
}

構造FSIの場合、velocity_typemesh_displacement_typeにより流体インターフェースと構造インターフェースの相互作用(境界条件)が定義されます。mesh_displacementパラメータは、流体メッシュがソリッドメッシュに結合されるのか、ソリッドメッシュサーフェスに対して滑らせることができるのかを定義します。mesh_displacement_type=tiedを設定して、流体メッシュをソリッドメッシュに結合するか、mesh_displacement_type=slipを設定して、ガイドサーフェスとして機能するソリッドサーフェスに対して流体メッシュがスライドできるようにします。構造FSIの場合、インターフェースで変位と圧力の交換があり、さらに、メッシュ変位と速度の境界条件が存在します。 そのため、メッシュパラメータはArbitrary Lagrangian Eulerianに設定する必要があります。詳細については、流体-構造相互作用ページの 外部方程式フィールドの設定をご参照ください。

velocity_typeは、構造メッシュ速度に関する流体速度の挙動を指定します。Velocity_type=wall=wall を設定して、流体速度をメッシュ速度に関連付けるか、velocity_type=slipを設定して、流体速度の法線成分をソリッドメッシュ速度に関連付けます。

mesh_displacementパラメータとvelocity_typeパラメータの設定に基づくインターフェースの組み合わせが4種類あります。これらを表 1にまとめます。
表 1. 流体-構造相互作用境界条件
流体-ソリッドインターフェース条件 メッシュ変位
タイド スリップ
速度 メッシュ変位:

u f l u i d = u s o l i d

メッシュ変位:

u f l u i d u s o l i d

速度:

v f l u i d = u f l u i d n + 1 u f l u i d n t n + 1 t n

速度:

v f l u i d · n ^ = ( u s o l i d n + 1 u s o l i d n t n + 1 t n ) · n ^

v f l u i d · t ^ = ( u s o l i d n + 1 u s o l i d n t n + 1 t n ) · t ^

スリップ メッシュ変位:

u f l u i d = u s o l i d

メッシュ変位:

u f l u i d u s o l i d

速度:

v f l u i d · n ^ = ( u f l u i d n + 1 u f l u i d n t n + 1 t n ) · n ^

速度:

v f l u i d · n ^ = ( u s o l i d n + 1 u s o l i d n t n + 1 t n ) · n ^

ここで、
n ^
インターフェースにおける単位法線ベクトル
t ^
インターフェースにおける単位並進ベクトル
インターフェースの2次元平面には2つの単位並進ベクトルが存在します。
注: velocity=slip条件の場合は、並進方向の速度がインターフェースで制限されません。

流体をソリッドメッシュに沿ってスライドできる場合は、流体メッシュとソリッドメッシュ間の近傍検索が連続的に実行されます。gap_factorパラメータは、無次元(要素面の長さに関して)最大許容ギャップを指定し、gapパラメータは、AcuSolveサーフェスの各求積点とOptiStructがギャップをチェックするために指定した最も近いサーフェス間の無次元最大ギャップ距離を指定します。この距離がギャップを上回っている場合は、計算がエラーメッセージで停止します。

出力

FSI結果は、対応する作業ディレクトリに出力されます。構造(OptiStruct)結果は、デフォルトでH3Dファイルに出力され、HyperViewでポスト処理できます。ただし、このファイルには流体結果は含まれません。流体結果は、AcuSolve作業ディレクトリ内のAcuSolve .logファイルにあります。AcuSolve.logファイルも、HyperViewに読み込むことができます。

構造FSIでは、現在、Overlayオプションを選択することにより、流体結果と構造結果を単一のHyperViewセッションにインポートできます。構造解析と流体解析の両方に共通する結果のみを同時にポスト処理に使用することができます。

構造解析は、図 2に示すように、H3Dファイルを開くことによってHyperViewで表示できます。

図 2に示すように、AcuSolve .logファイルを読み込むことによって、流体結果を重ねて表示する(HyperView HyperView Load Model and ResultsパネルのOverlayボックスを選択する)ことができます。ただし、共通の結果ラベルが存在しないため、現在は、単一のセッションで1つの結果セットしかポスト処理できません。

sfsi_results_enclosing_fluid
図 2. 取り囲む流体体積の流体領域FSIの結果. (流体結果が既存の構造結果の上に重ねて表示されます)