OS-T:1500 プレートの曲げの非線形陰解法解析

本チュートリアルでは、一定の圧力下のプレートの曲げをシミュレートすることによるOptiStructでの非線形大変位解析を示します。

非線形大変位解析を実行するための要件を表すために、線形解析結果との比較も示します。本チュートリアルでは、非線形幾何形状の影響(大変位)および弾塑性材料を考慮します。

静解析の場合、エネルギー方程式はF=Kuに単純化され、未知の変位(u)について解きます。非線形大変位解析では、剛性(K)は材料、形状および境界条件の関数となり得ます。したがって、未知の変位を計算するために、インクリメンタル-反復アプローチが使用されます。

これで、線形解析でどの条件が考慮されるかを理解することが可能となります。まず、Figure 1に示すよう、材料の挙動は解析中に線形と考えられます。次に、幾何形状の変形は、剛性に影響を与えないよう初期形状が大きく変わらないほどに十分小さい必要があります。最後に、境界条件は解析中に変化してはなりません。


図 1.

解析は幾何的な非線形性と材料の非線形性の両方を考慮します。幾何的な非線形性は、幾何形状内で見られる大変位のため、考慮されます。加えて、結果の応力は降伏応力の制限を上回り、これは、材料が線形応力-ひずみの挙動に一致せず、塑性の影響が見られ始めることを意味します。

モデルの詳細は次のとおりです:

FIgure 2は本チュートリアルに用いられている構造モデルを示しており、両端で支えられている矩形の長いプレートで、上面に分散荷重が付与されています。プレートの寸法と材料パラメータは、下の一覧より得られます。


図 2. プレートにかかる拘束条件と圧力荷重
単位系
長さ: mm
時間: s
質量: ton
力: N
応力: MPa
長さ
1000 mm
200 mm
板厚
4.0 mm
材料
スチール、弾塑性
初期密度
7.86e-9 t/mm3
ヤング率(E)
200000 MPa
ポワソン比
0.29
降伏応力
100.0 MPa
接線係数
20000.0 MPa
作用圧力
0.02 MPa、プレートに垂直に付与
本チュートリアルには以下の演習が含まれています。
  • 塑性材料と対応するシェルプロパティの作成
  • 境界条件と作用荷重のセットアップ
  • 非線形および線形解析のセットアップ
  • ジョブのサブミットと結果の確認

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したplate.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

材料の更新

  1. Modelブラウザで、材料MAT1_1をクリックします。
  2. 下に示された値を入力します。詳細については、MAT1をご参照ください。

    初期状態では、MAT1カードイメージは、線形等方性材料を表します。

  3. MATS1の横のボックスにチェックマークを入れ、非線形解析用の双一次材料弾塑性について追加の材料プロパティを定義します。

    LIM1は材料の降伏ポイントで、この場合は降伏応力です。

    Hは、塑性領域でのひずみと応力の間の線形関係を定義する塑性係数(加工硬化勾配)です。双一次材料カーブの場合、接線係数( E T MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamyramaaBa aaleaacaWGubaabeaaaaa@37C5@ )によってヤング率に関連付けされています。詳細については、MATS1をご参照ください。


    図 3. 応力-ひずみ曲線でのヤング率と接線係数、およびそれらを関連付ける方程式


    図 4.

プロパティの更新

  1. Modelブラウザで、プロパティPSHELL_1をクリックします。
  2. 下に示された値を入力します。詳細については、PSHELLをご参照ください。


    図 5.

境界条件の作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにLC_SPCと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageには、Noneを選択します。
  5. Analysisページで、constraintsを選択し、createに切り替えます。
  6. エンティティセレクターをnodesに切り替え、節点を選択します。


    図 6.
  7. 自由度dof1dof3を選択します。その他はすべて選択解除します。
  8. load typesにSPCを選択します。
  9. createをクリックし、境界条件を生成します。
  10. 次に、反対側のエッジから節点を選択します。


    図 7.
  11. 自由度dof3を選択します。その他はすべて選択解除します。これは、Z方向の並進運動を拘束します。
  12. load typesにSPCを選択します。
  13. createをクリックし、境界条件を生成します。
  14. returnをクリックし、メインメニューに戻ります。

均一の圧力の作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにLC_IMPLOADと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageには、Noneを選択します。
  5. Analysisページで、pressuresをクリックし、createに切り替えます。
  6. エンティティセレクターをelemsに切り替え、all elementsを選択します。
  7. magnitute=横のトグルをクリックし、constant vectorに切り替えます。
  8. magnitudeに-0.02と入力します。
  9. load typesにPLOADを選択します。
  10. create > returnをクリックします。

非線形解析パラメータの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにLC_NLPARMと入力します。
  3. Card Imageには、NLPARMを選択します。
  4. CONVをUPWに選択し、EPSUPとESPSを0.001、EPSWを1e-7とします(デフォルト値)。

    CONVフラグは、収束基準を選択します。この場合、UPWは変位(U)、荷重(P)および仕事(W)の基準の組み合わせです。EPSU、EPSP、EPSWはそれぞれの誤差の収束判定基準です。

  5. 下に示された値を入力します。詳細については、NLOUTをご参照ください。


    図 8.

出力コントロールパラメータの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにLC_NLOUTと入力します。
  3. Card Imageには、NLOUTを選択します。
  4. NINTの横のボックスにチェックマークを入れ、10と入力します。

    このパラメータは、出力される中間結果のインターバルの数を設定します。

  5. 下に示された値を入力します。詳細については、NLOUTをご参照ください。


    図 9.

出力コントロールパラメータの定義

  1. Analysisページからcontrol cardsをクリックします。
  2. GLOBAL_OUTPUT_REQUESTをクリックします。
  3. DISPLACEMENT、ELFORCE、OLOAD、STRESS、STRAINで、OptionにYesをセットします。
  4. returnを2回クリックし、メインメニューに進みます。

大変位非線形解析のアクティブ化

  1. Analysisページからcontrol cardsをクリックします。
  2. control cardsからPARAMを選択します。
  3. HASHASSMLGDISPを選択します。

    非線形解析の場合、NLPARM Load Collectorで指定されているパラメータに従って、メモリ必要量を少なくするためにHASHASSMカードを、大変位非線形静解析をアクティブ化するためにLGDISPをセットすることが推奨されます。

  4. HASHASSMの場合、OptionをYESに設定します。
  5. LGDISPの場合、Optionを1に設定します。
  6. returnをクリックし、メインメニューに戻ります。

非線形静解析サブケースの生成

本ステップでは、同じ境界条件と強制荷重を有した線形および非線形荷重ケースを作成します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  2. Nameにnonlinear_lgdispと入力します。
  3. Analysis typeには、Nonlinear quasi-staticを選択します。
  4. SPCにLoadcolを選択します。
  5. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからLC_SPCを選択し、OKをクリックします。
    これで、上記で作成された境界条件が設定されます。
  6. LOADにLoadcolを選択します。
  7. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからLC_IMPLOADを選択し、OKをクリックします。
    これで、上記で作成された強制荷重が設定されます。
  8. NLPARMにLoadcolを選択します。
  9. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからLC_NLPARMを選択し、OKをクリックします。
    これで、上記で作成された解析パラメータが設定されます。
  10. NLOUTにLoadcolを選択します。
  11. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからLC_NLOUTを選択し、OKをクリックします。
    これで、上記で作成された出力コントロールパラメータが設定されます。非線形解析が設定されました。
  12. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  13. Nameにlinearと入力します。
  14. Analysis typeには、Linear Staticを選択します。
  15. SPCにLoadcolを選択します。
  16. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからLC_SPCを選択し、OKをクリックします。
  17. LOADにLoadcolを選択します。
  18. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからLC_IMPLOADを選択し、OKをクリックします。
    線形解析が設定されました。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 10. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてplateと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、plate.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、plate.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。
そのディレクトリに書かれるデフォルトのファイルは:
plate.html
問題の定式と解析結果のサマリーに関する解析のHTMLレポート。
plate.out
ファイルの設定、最適化問題の設定、実行に必要なRAMおよびディスクスペースの推定量、各最適化反復計算の情報、解析時間等、特定の情報を含むOptiStructの出力ファイル。ワーニングおよびエラーに関しては、このファイルを確認すること。
plate.h3d
HyperViewバイナリ結果ファイル。
plate.stat
解析のプロセスの間のそれぞれのステップでのCPU情報を提供する、解析のプロセスの要約。
出力ファイル(plate.out)内では、非線形解析パラメータの定義で選択された基準値パラメータに従って計算された収束の反復計算をフォローすることが可能です。また、各ステップについて最大塑性ひずみが計算されます。


図 11.

結果の表示

  1. HyperViewを使用して結果ファイル(plate.out)を開き、subcase 1とsubcase 2について100%荷重(荷重係数=1.0)における変位とフォンミーゼス応力のコンターをプロットします。
  2. 結果を比較します。


    図 12. 変位


    図 13. 応力(フォンミーゼス)


    図 14. 塑性ひずみ