OS-T:3100 トポロジー最適化とトポグラフィーの組み合わせによるスライダーサスペンションの最適化

本チュートリアルでは、OptiStructを用いて、スライダーサスペンションにトポロジー最適化とトポグラフィー最適化を組み合わせて実行します。

本チュートリアルの最適化の目的は、スライダーサスペンションの剛性を高め、同時に軽量化を図ることにあります。そのためには、トポロジー最適化とトポグラフィー最適化の両方が必要です。

スライダーサスペンションの有限要素モデルには、集中荷重と境界条件が含まれています。モデルは四角形要素から成り、線形静解析およびノーマルモード解析両方のサブケース(荷重ステップ)を有します。各手順で、トポロジーおよびトポグラフィー設計空間、応答、制約条件、および目的関数を定義します。最適化されたモデルは、線形静解析とノーマルモード解析両方のサブケースにおいて剛性を高め、ビード加工の施されたより軽量化された構造になります。

3100_disk_drive_slider
図 1. ディスクドライブスライダー
ディスクドライブスライダーサスペンションにトポロジーおよびトポグラフィー最適化を組み合わせて実行し、剛性と重み付きモードを最大化します。7番目のモードの下限制約は12 cycles/msです。
Objective Function
重み付きコンプライアンスと重み付きモードの和の最小化
制約条件
7番目のモード > 12 cycles/ms.
設計変数
要素密度と節点のトポグラフィー

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したcombined.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

最適化のセットアップ

トポロジー設計変数の作成

  1. Analysisページからoptimizationをクリックします。
  2. topologyをクリックします。
  3. createサブパネルを選択します。
  4. desvar=欄にpinと入力します。
  5. type:をPSHELLにセットします。
  6. プロパティセレクターを使って、1pinを選択します。
  7. base thicknessが0.0となっていることを確認します。

    この値0.0は、特定の要素の板厚がゼロとなり、したがってそれが穴となり得ることを意味します。

  8. createをクリックします。
  9. 上記の手順を繰り返し行ってbendとラベル付けされた設計変数を作成し、それを3bendプロパティに割り当てます。
  10. returnをクリックします。

トポグラフィー設計変数の定義

トポグラフィー最適化のために、設計空間とビードを定義しなくてはなりません。

  1. Analysisページからパネルoptimizationをクリックします。
  2. topographyパネルをクリックします。
  3. トポグラフィー設計変数定義を作成します。
    1. createサブパネルを選択します。
    2. desvar=欄にtpgと入力します。
    3. プロパティセレクターを使って、1pin and 3bendを選択します。
    4. createをクリックします。
    これで、トポグラフィー設計空間の定義tpgが作成されました。1pin and 3bendコンポーネントコレクターに属す要素はすべて、設計空間内に含まれるようになりました。
  4. 設計空間tpgについてビード定義を作成します。
    1. bead paramsサブパネルを選択します。
    2. desvar =欄が、新たに作成された設計空間の名称であるtpgに設定されていることを確認します。
    3. minimum width=欄に0.4と入力します。
      このパラメータは、モデル内のビードの幅を制御します。推奨される値は、平均要素幅の1.5から2.5倍の間です。
    4. draw angle欄に、60.0(これがデフォルト)と入力します。
      このパラメータは、ビードの側壁の角度を制御します。推奨される値は60°と75°の間です。
    5. draw height=に0.15と入力します。
      このパラメータは、絞られるビードの最大高さを設定します。
    6. buffer zoneを選択します。
      このパラメータは、設計領域内の要素と設計領域外の要素の間にバッファゾーンを設けます。
    7. draw directionをnormal to elementsに切り替えます。
      このパラメータは、形状変数が作成される方向を定義します。
    8. boundaryをload and spcに設定します。
      これは、荷重または拘束条件のかかる節点を設計領域から除外するようOptiStructに指示します。
    9. updateをクリックします。

    これで、設計空間tpgについてビード定義が作成されました。この情報に基づき、OptiStructは設計変数領域全体に環状のビード変数定義を自動的に作成します。

  5. パターングルーピング制約条件の追加
    最もシンプルで同時に対称となり得る1-plane symmetric(1平面に対する対称性)を使用します。
    1. pattern groupingサブパネルを選択します。
    2. desvar =をクリックしtpgを選択します。
    3. pattern typeを1-pln symに設定します。
    4. anchor nodeをクリックし、id=欄に41と入力します。
    5. first nodeをクリックし、id=欄に53と入力します。
    6. updateをクリックします。
  6. 設計変数の上限値と下限値を更新します。
    1. boundsサブパネルを選択します。
    2. desvar =欄が、設計空間の名称であるtpgに設定されていることを確認します。
    3. Upper Bound=欄に1.0と入力します。
      グリッドの移動を制御する変数の上限(実数 > LB、デフォルト = 1.0)。グリッド移動の上限をUB*HGTに設定します。
    4. Lower Bound=欄に0.0と入力します。
    5. updateをクリックします。
    upper boundはUB*HGTに等しい節点の移動の上限を、lower boundはLB*HGTに等しい節点の移動の下限を設定します。
  7. returnをクリックし、Optimization panelに進みます。

最適化の応答の作成

この問題では、線形静解析とノーマルモード解析を組み合わせているため、7番目の振動数を制約しながら、2つの荷重ケースについてコンプライアンスを最小とし、振動数を増加させます。したがって、2つの応答freqおよびcombが定義されます。

  1. Analysisページからoptimizationをクリックします。
  2. Responsesをクリックします。
  3. 周波数の応答を作成します。
    1. responses=欄に、freqと入力します。
    2. response typeの下で、frequencyを選択します。
    3. Mode Numberに、7.0と入力します。
    4. createをクリックします。
    応答freqが、seventhモードの振動数について定義されました。
  4. コンプライアンス指標の応答を作成します。
    1. response=欄にcombと入力します。
    2. response typeをcompliance indexに設定します。
    3. 荷重ステップセレクターを使って、を選択します。
    4. 正規化係数を定義するためのオプションをautonormに切り替えます。
    5. ModeおよびWeight欄に、モード番号と対応する重みを入力します。
      Mode
      Weight
      1
      1.0
      2
      2.0
      3
      1.0
      4
      1.0
      5
      1.0
      6
      1.0
    6. createをクリックします。
  5. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

設計制約条件の作成

  1. dconstraintsパネルをクリックします。
  2. constraints=欄にfrequencyと入力します。
  3. response =をクリックしfreqを選択します。
  4. lower boundの横のボックスにチェックマークを入れ、12と入力します。
  5. 荷重ステップセレクターを使って、frequencyを選択します。
  6. createをクリックします。
  7. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

目的関数の定義

  1. objectiveパネルをクリックします。
  2. minが選択されていることを確認します。
  3. response=をクリックし、combを選択します。
  4. createをクリックします。
  5. returnを2回クリックし、Optimization panelを終了します。

最適化コントロールカードの定義

  1. AnalysisページからパネルOptimizationをクリックします。
  2. opti controlパネルをクリックします。
  3. MINDIMを選択し、0.25と入力します。
    最小部材寸法は通常、チェッカーボード処理を回避するために推奨されます。また、構造がこのカードに指定される最小寸法となることを確実にします。
  4. MATINITを選択し、1.0と入力します。
    MATINITは、トポロジー最適化での材料の割合の初期値を表します。MATINITは、次の条件に従って、異なるデフォルト値を有します: 質量が目的関数である場合、MATINITのデフォルトは0.9です。質量が制約されている場合、デフォルト値は制約条件の値にリセットされます。質量が目的関数ではなく、制約条件も設定されていない場合は、デフォルト値は0.6となります。
  5. returnを2回クリックし、パネルを終了します。

モードトラッキングの設定

最適化中、要素密度やその他の設計の変化に伴い、振動数とそのモード形状は順序が変わる場合があります。これに対応するため、最適化の実行中に指定した振動数のみがトラッキングされるように、振動数トラッキングのパラメーターを定義します。
  1. Analysisページからパネルcontrol cardsをクリックします。
  2. Card Imageダイアログで、PARAMをクリックします。
  3. MODETRAKを選択します。
  4. MODET_V1をYesに設定します。
  5. returnをクリックします。
    PARAMボタンは、アクティブであることを示すハイライト表示になっています。
  6. returnをクリックし、Analysisページに戻ります。

最適化の実行

  1. AnalysisページからOptiStructをクリックします。
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてcomb_completeと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをoptimizationにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックして最適化を実行します。
    ジョブが完了すると、ウィンドウ内に次のようなメッセージが現れます:
    OPTIMIZATION HAS CONVERGED.
    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED).
    エラーがある場合、OptiStructはエラーメッセージも出します。エラーに関する詳細は、テキストエディタでファイル comb_complete.outを開いて確認することができます。このファイルは同じディレクトリ内に.femファイルとして書き出されます。
  9. Closeをクリックします。

結果の表示

形状変更結果のポスト処理(トポグラフィー)

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動します。
  2. Resultsツールバーでdefをクリックし、Deformedパネルを開きます。
  3. Deformed shapeの下で、変形形状の設定を定義します。
    1. Result typeをShape Change(v)に設定します。
    2. ScaleをScale factorにセットします。
    3. TypeをUniformにセットします。
    4. Value欄に1.0と入力します。
  4. Undeformed shapeの下のShowをNoneにセットします。
  5. Applyをクリックします。
    トポグラフィー最適化による形状変化が表示されます。
  6. Resultsブラウザで、Load Case and Simulation Selectionを25th iterationに設定します。

    3100_topog_result_slider
    図 2. スライダーサスペンションに適用されたトポグラフィー結果

最適化材料分布のコンター(トポロジー)

  1. ResultsツールバーでresultsContour-24をクリックし、Contour panelを開きます。
  2. Result typeをElement Densities (s)およびDensityに設定します。
  3. Averaging MethodをSimpleに設定します。
  4. Applyをクリックし、密度のコンターを表示します。

最適化材料分布のアイソサーフェスの追加(トポロジー)

  1. ResultsツールバーでresultsIso-24をクリックし、Valueパネルを開きます。
  2. Result typeをElement Densities (s)およびDensityに設定します。
  3. Show valuesをAboveにセットします。
  4. Applyをクリックし、密度のアイソサーフェスプロットを表示します。
  5. Current value欄に0.3と入力します。
アイソサーフェスプロットが表示されます。密度値が0.3以上であるモデル内のパートが密度コンターで表示され、それ以外のパートは表示されなくなります。

3100_optimum_shape
図 3.