OS-T:2030 型抜き方向制御を伴うコントロールアーム

本チュートリアルでは、コントロールアームに型抜き方向の制約条件をつけてトポロジー最適化を実施します。

Figure 1が、設計領域(茶色)および非設計領域(青色)を含む有限要素メッシュのモデルを表したものです。

tutcntrlarm-fig-resized
図 1. コントロールアームモデル

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルのオープン

  1. File > Open > Modelをクリックします。
  2. optistruct.zipファイルから自身の作業ディレクトリに保存したcontrolarm.hmファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  3. Openをクリックします。
    controlarm.hmデータベースが現在のHyperMeshセッションに読み込まれます。

最適化のセットアップ

トポロジー設計変数の作成

  1. Analysisページからoptimizationをクリックします。
  2. topologyをクリックします。
  3. createサブパネルを選択します。
  4. desvar=欄にdv1と入力します。
  5. type:をPSOLIDにセットします。
  6. プロパティセレクターを使って、Designを選択します。
  7. createをクリックします。

型抜き制約条件の作成

型抜き方向制御では、決定されたトポロジーがダイを与えられた方向にスライドするよう、設計の鋳造可能性を斟酌します。これらの制約条件は、DTPLカードを用いて定義されます。DRAWオプションには次の2つがあります:オプション'SINGLE'は、1つのダイが使用されることを前提とします。オプション'SPLIT'は、与えられた型抜き方向に分割した2つのダイを使用してパートを鋳造することを前提とします。
  1. drawサブパネルを選択します。
  2. draw type:をsingleに設定します。
    オプション'SINGLE'では、1つのダイを使用し、指定の型抜き方向にスライドするものとします。
  3. 型抜き方向を定義します。
    1. anchor nodeをクリックし、id=欄に3209と入力します。
    2. first nodeをクリックし、id=欄に4716と入力します。
  4. プロパティセレクターを使って、Non-designプロパティを選択します。
    同じDTPLカード上で鋳造プロセスの障害物として非設計領域のパートが選択され、最終的な構造で鋳造可能性が維持されます。
  5. updateをクリックします。
  6. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

最適化の応答の作成

  1. Analysisページからoptimizationをクリックします。
  2. Responsesをクリックします。
  3. 体積率の応答を作成します。
    1. responses=欄に、Volfracと入力します。
    2. response typeの下で、volumefracを選択します。
    3. regional selectionをby entityno regionidに設定します。
    4. createをクリックします。
  4. 重み付けコンプライアンスの応答を作成します。
    1. responses=欄に、Comp1と入力します。
    2. response typeの下で、weighted compを選択します。
    3. loadstepsをクリックし、すべての荷重ステップを選択します。
    4. returnをクリックします。
    5. createをクリックします。
  5. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

設計制約条件の作成

  1. dconstraintsパネルをクリックします。
  2. constraints=欄にConstrと入力します。
  3. response =をクリックしVolfracを選択します。
  4. upper boundの横のボックスにチェックマークを入れ、0.3と入力します。
  5. createをクリックします。
  6. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

目的関数の定義

  1. objectiveパネルをクリックします。
  2. minが選択されていることを確認します。
  3. response=をクリックし、Complを選択します。
  4. createをクリックします。
  5. returnを2回クリックし、Optimization panelを終了します。

最適化の実行

  1. AnalysisページからOptiStructをクリックします。
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてcontrolarm_optと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをoptimizationにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックして最適化を実行します。
    ジョブが完了すると、ウィンドウ内に次のようなメッセージが現れます:
    OPTIMIZATION HAS CONVERGED.
    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED).
    エラーがある場合、OptiStructはエラーメッセージも出します。エラーに関する詳細は、テキストエディタでファイル controlarm_opt.outを開いて確認することができます。このファイルは同じディレクトリ内に.femファイルとして書き出されます。
  9. Closeをクリックします。
ディレクトリ内に作成されるデフォルトのファイルは以下の通り:
controlarm_opt.hgdata
各反復計算における目的関数、制約条件の違反率が納められているHyperGraph形式のファイル。
controlarm_opt.hist
目的関数の各反復計算の履歴および最も違反している制約値が納められているOptiStruct反復計算履歴ファイル。反復計算履歴のxyプロットに使用可能。
controlarm_opt.HM.comp.tcl
密度の結果値に基づいて要素をコンポーネントに分類するために使用されるHyperMeshコマンドファイル。このファイルは、OptiStructのトポロジー最適化を実行した場合にのみ使用されます。
controlarm_opt.HM.ent.tcl
密度の結果値に基づいて要素をエンティティセットに分類するために使用されるHyperMeshコマンドファイル。このファイルは、OptiStructのトポロジー最適化を実行した場合にのみ使用されます。
controlarm_opt.html
問題設定と最終反復計算結果のサマリーを含むHTML形式の最適化レポート。
controlarm_opt.mvw
HyperViewセッションファイル。
controlarm_opt.oss
デフォルトで密度のしきい値が0.3として定義されているOSSmooth用のファイル。このファイル内のパラメーターを調整することでユーザーの意図する結果を得ることができます。
controlarm_opt.out
ファイルのセットアップ、最適化のセットアップの情報、 実行に必要なRAMとディスクスペースの見積もり、それぞれの最適化の反復情報、計算時間の情報を含むOptiStruct出力ファイル。controlarm_opt.femファイルの処理を行う際にフラグが立つワーニングおよびエラーに関しては、このファイルを確認すること。
controlarm_opt.res
HyperMeshバイナリ結果ファイル。
controlarm_opt.sh
反復計算が終了した段階での形状データが納められているファイル。各要素の密度値、空孔の大きさと角度を含む。このファイルは、最適化計算のリスタートに使用することができます。
controlarm_opt.stat
計算を完全に終了するために使用されたCPU、また、入力デックの読み出し、アセンブリ、解析および収束等のCPU情報が含まれています。
controlarm_opt_des.h3d
最適化結果を含むHyperViewバイナリ結果ファイル。
controlarm_opt_frame.html
ブラウザを使ってHyperView Player.h3dをポスト処理するために使用されるHTMLファイル。_menu.htmlファイルとリンクされている。
controlarm_opt_hist.mvw
目的関数、制約条件、および設計変数の反復計算履歴が含まれています。このファイルはHyperGraphHyperViewおよびMotionViewでカーブをプロットするために使用できます。
controlarm_opt_menu.html
ブラウザを使ってHyperView Player.h3dをポスト処理するために使用されるHTMLファイル。
controlarm_opt_s#.h3d
線形静解析からの結果を含むHyperViewバイナリ結果ファイル。

結果の表示

要素密度の結果はすべての反復計算について、OptiStructからcontrolarm_opt_des.h3dファイルに出力されます。また、変位および応力の結果は、デフォルトで最初と最後の反復計算の各サブケースについて、controlarm_opt_s#.h3dファイルに出力されます(#はサブケースID)。

要素密度のコンタープロットの表示

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
  2. Resultsブラウザから、最終反復計算を選択します。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-24をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. Result typeの下で、Element densities (s)およびDensityを選択します。
  5. Averaging MethodをSimpleに設定します。
  6. Applyをクリックします。

結果のコンターは与えられた荷重と境界条件に対する変位場を示します。

このモデルでは、メッシュを改良することで、より離散的な解が得られるはずですが、本チュートリアルについては、現状のメッシュと結果で満足するものとします。

密度のアイソバリュープロットの設定

アイソサーフェス機能は、OptiStructからの密度結果のポスト処理に非常に有効なツールです。ソリッド設計領域を有するモデルについて、本機能は、密度結果を解析するための強力なツールとなります。
  1. Resultsブラウザで、最終反復計算が選択されていることを確認します。
  2. ResultsツールバーでresultsIso-24をクリックし、Iso Valueパネルを開きます。
  3. Result typeをElement Densities (s)に設定します。
  4. Applyをクリックします。
  5. 密度しきい値を変更します。
    • Current value欄に0.3と入力します。
    • Current valueの下のスライダーを動かします。
  6. Show valuesをAboveにセットします。
  7. Clipped geometryの下で、FeaturesTransparentを選択します。
    図 2.

    2030_clipped_geo

2030_iso_plot_of_entitites
図 3. 要素密度のアイソサーフェスプロット

応力と変位のコンタープロットの表示

  1. アプリケーションの上部右側でpageNext-24をクリックし、page 3のLoad Case 1の結果に移動します。
  2. Animationツールバーで、アニメーションモードをanimationLinear-24(Linear Static)に設定します。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-24をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. Result typeをDisplacements (v)に設定します。
  5. Applyをクリックします。
    Iteration 0についての変位のプロットが表示されます。
  6. Resultsブラウザで、反復計算を最終反復計算に設定します。

    os_2030_iteration38
    図 4. 最終反復計算の変位のプロット
    最終反復計算の変位のプロットが表示されます。対応する反復計算について、応力結果も表示されます。

    2030_iso_plot_of_entitites_2
    図 5. 最終反復計算における1つ目の荷重ステップの変位コンター
  7. 同様に、page 4のLoad Case 2の結果を確認します。

    2030_iso_plot_of_entitites_3
    図 6. 最終反復計算における2つ目の荷重ステップの変位コンター