Phase 1: 参照設計合成(フリー寸法最適化)

このフェーズでは、最適化セットアップを定義し、与えられた材料割合でもっとも剛性の高い設計を求めます。

フリー寸法最適化では、設計可能な各要素の板厚が設計変数として定義されます。この概念の複合材への適用は、設計変数が要素ごとの各‘スーパープライ’の板厚(同一プライ方向の全設計可能板厚)であることを意味します。

より理にかなった結果を得るには、製造姓制約条件を組み込み、すべての設計フェーズを通して自動的に適用します。
目的関数
荷重ケースのコンプライアンスを最小化
制約条件
体積率 < 0.3
設計変数
各プライ方向の要素板厚
製造性制約条件
0°のプライパーセンテージは80%以下存在
製造可能なプライ板厚は0.1
+45°および-45°について同じ板厚分布を確実にするバランス制約条件

最適化のセットアップ

フリー寸法最適化設計変数の作成

  1. Analysisページからパネルoptimizationをクリックします。
  2. free sizeパネルをクリックします。
  3. フリー寸法最適化の設計変数を作成します。
    1. createサブパネルを選択します。
    2. desvar=欄にfree-sizeと入力します。
    3. typeをSTACKにセットします。
    4. 積層板セレクターを使って、laminateを選択します。
    5. createをクリックします。

    os3400_ph1_free_size_panel
    図 1. free-sizeパネルの欄への入力
  4. compositesサブパネルを選択します。
  5. desvar=欄をクリックしてfree-sizeを選択します。
  6. editをクリックします。
    DSIZEパネルが開きます。このパネルでは、プライパーセンテージ、プライバランスおよびプライの減少についての製造性制約条件を定義します。
  7. PLYPCTを定義します。
    1. PLYPCTを選択します。
    2. Ply Percentage OptionsをBYANGに設定します。
    3. DSIZE_NUMBER_OF_PLYPCT=欄に2と入力します。
      2つのPLYPCT継続行がDSIZEデータエントリに追加されます。
    4. 最初のPLYPCT行で、0をPANGLE(1)に、0.2をPPMIN(1)に、0.7をPPMAX(1)に入力します。
    5. 次ののPLYPCT行で、90をPANGLE(2)に、0.2をPPMIN(2)に、0.7をPPMAX(2)に入力します。
    これらの値は、設計空間内の任意の要素について、0および90度のプライを、積層版の全板厚の20%から70%の間に制約します。

    os3400_ph1_dsize_plypct_options
    図 2. PLYPCTカードのDSIZEデータエントリ欄
  8. BALANCEを定義します。
    1. BALANCEを選択します。
    2. Balance Constraints OptionsをBYANGにセットします。
    3. DSIZE_NUMBER_OF_BALANCE=欄に1と入力します。
      BALANCE継続行がDSIZEデータエントリに追加されます。
    4. BALANCE行で、45をBANGLE1に、-45をBANGLE2に入力します。

    os3400_ph1_dsize_balance_options
    図 3. BALANCEカードのDSIZEデータエントリ欄
  9. PLYDRPを定義します。
    1. PLYDRPを選択します。
      PLYDRP継続行がDSIZEデータエントリに追加されます。
    2. Ply Drop-off OptionsをAllにセットします。
    3. DSIZE_NUMBER_OF_PLYDRP=欄に1と入力します。
    4. PLYDRP行で、PDTYP(1)をPLYSLPに設定し、PDMAX(1)に0.33と入力します。

    os3400_ph1_dsize_plydrp_options
    図 4. PLYSLP法を使ったPLYDRPカードのDSIZEデータエントリ欄
  10. returnをクリックし、compositesサブパネルに戻ります。
  11. updateをクリックします。
  12. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

最適化の応答の作成

  1. Analysisページからoptimizationをクリックします。
  2. Responsesをクリックします。
  3. 体積率の応答を作成します。
    1. responses=欄に、Volfracと入力します。
    2. response typeの下で、volumefracを選択します。
    3. regional selectionをtotalno regionidに設定します。
    4. createをクリックします。
  4. コンプライアンスの応答を作成します。
    1. responses=欄に、complianceと入力します。
    2. response typeの下で、complianceを選択します。
    3. regional selectionをとno regionidに設定します。
    4. createをクリックします。
  5. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

設計制約条件の作成

  1. dconstraintsパネルをクリックします。
  2. constraints=欄にvolfracと入力します。
  3. response =をクリックしvolfracを選択します。
  4. upper boundの横のボックスにチェックマークを入れ、0.3と入力します。
  5. createをクリックします。
  6. returnをクリックし、Optimization panelに戻ります。

目的関数の定義

  1. objectiveパネルをクリックします。
  2. minが選択されていることを確認します。
  3. response=をクリックし、complianceを選択します。
  4. 荷重ステップセレクターを使って、nx_stepを選択します。
  5. createをクリックします。
  6. returnを2回クリックし、Optimization panelを終了します。

出力リクエストの作成

ここでは、複合材のひずみおよび応力結果の出力コントロールについて定義されます。OUTPUT,FSTOSZ(free size to size)は、寸法最適化のためのプライベースの入力デックを出力するために使用されます。
  1. Analysisページからcontrol cardsパネルを選択します。
  2. Card Imageダイアログで、OUTPUTをクリックします。
  3. number_of_outputsに3と入力します。
  4. 3番目の行で、KEYWORDをFSTOSZに、FREQをYESに設定します。
    このキーワードで、OptiStructはフリー寸法最適化後のサイジングモデルを自動的に生成します。

    os3400_ph1_control_cards_output
    図 5. Phase 2についてfree-size to size(FSTOSZ)最適化出力ファイルをリクエスト
  5. returnを2回クリックし、Analysisページに戻ります。

データベースの保存

  1. メニューバーFile > Save As > Modelをクリックします。
  2. Save Asダイアログでファイル名欄にoht_opti_ph1.hmと入力し、自身の作業ディレクトリに保存します。

最適化の実行

  1. AnalysisページからOptiStructをクリックします。
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてoht_opti_ph1と入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをoptimizationにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックして最適化を実行します。
    ジョブが完了すると、ウィンドウ内に次のようなメッセージが現れます:
    OPTIMIZATION HAS CONVERGED.
    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED).
    エラーがある場合、OptiStructはエラーメッセージも出します。エラーに関する詳細は、テキストエディタでファイル oht_opti_ph1.outを開いて確認することができます。このファイルは同じディレクトリ内に.femファイルとして書き出されます。
  9. Closeをクリックします。
ディレクトリ内に作成されるデフォルトのファイルは以下の通り:
oht_opti_ph1.out
ファイルのセットアップ、最適化のセットアップの情報、 実行に必要なRAMとディスクスペースの見積もり、それぞれの最適化の反復情報、計算時間の情報を含むOptiStruct出力ファイル。oht_opti_ph1.femファイルの処理を行う際にフラグが立つワーニングおよびエラーに関しては、このファイルを確認すること。
oht_opti_ph1_des.h3d
最適化結果を含むHyperViewバイナリ結果ファイル。
oht_opti_ph1_s#.h3d
線形静解析からの結果を含むHyperViewバイナリ結果ファイル。
oht_opti_ph1_sizing.*.fem
フリー寸法解析フェーズで生成された積層ベースの寸法最適化入力ファイル。結果のデックには、積層ベースの複合材モデルを記述するPCOMPPSTACKPLYおよびSETカードと、最適化データを定義するDCOMPDESVARおよびDVPRELカードが含まれます。* の記号は、最終反復計算番号を表します。
oht_opti_ph1_sizing.*.inc
ASCIIインクルードファイルには、入力デックと同じく、積層ベースのモデリングおよび最適化データが含まれています。* の記号は、最終反復計算番号を表します。

結果の表示

要素板厚結果の表示

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動し、2つのH3Dファイルからの結果が含まれた3つのページを含むセッションファイルoht_opti_ph1.mvwが開きます。
    Page 2
    oht_opti_ph1_des.h3d内の最適化結果。
    Page 3
    oht_opti_ph1_s1.h3d内のsubcase 1の解析結果。
    注: これらのファイルをスタンドアローン版のHyperMeshから開く際は、ページ番号が小さくなります。
  2. oht_opti_ph1_des.h3dの結果を含むページに進みます。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-16をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. プロットオプションを選択します。

    os3400_ph1_element_thickness
    図 6. Contour panelのプロットオプション(フリー寸法最適化結果)
  5. Resultsブラウザから、最終反復計算を選択します。

    os3400_ph1_iterations_list
    図 7. 最終反復計算の選択
  6. Applyをクリックします。
  7. Standard ViewsツールバーでviewAxisOrientationYXTop-24をクリックし、X-Yプレーンで結果を確認します。
フリー寸法最適化からの要素板厚結果は、下の図に示すとおりです。赤色または赤に近い色で示された領域(レジェンドから)は厚い領域、青色または青に近い色で示された領域は薄い領域と解釈できます。上に示すコンタープロットは、各プライ方向からの寄与を含む全板厚分布、すなわち0°、+/-45°および90°からの板厚分布を表しています。また、プライ板厚プロット内に見られる配向角毎のプライの形状とレイアウトも示しています。

os3400_ph1_free_size_thickness_results
図 8. フリー寸法最適化後の要素板厚コンタープロット

プライ板厚結果の表示

  1. Contour panelで、Result typeを Ply Thicknesses (s)に設定してください。
  2. プロットオプションを選択します。

    os3400_ph1_contour_panel_settings
    図 9. プライ板厚のコンタープロット
  3. Resultsブラウザから、最終反復計算を選択します。
  4. Applyをクリックします。
    0度のスーパープライの板厚分布が生成されます。これは、0°のプライバンドルのプライ形状とパッチ位置を表すものです。

    os3400_ph1_00deg_superply
    図 10. 0度のスーパープライのプライ板厚コンタープロット
  5. Contour panelでLayers 2、3および4を選択することにより、それぞれスーパープライ2(45°)、3(-45°)、および4(90°)のプライ板厚コンターを作成します。
    適用されているバランス制約条件のために、+45°と-45°のスーパープライの板厚分布は同じです。

    os3400_ph1_45deg_superply
    図 11. -45/+45度のスーパープライのプライ板厚コンタープロット

    os3400_ph1_90deg_superply
    図 12. 90度のスーパープライのプライ板厚コンタープロット

プライバンドルの表示

最適化された‘スーパープライ’板厚は引き続き、‘プライバンドル’と表します。OptiStructのインテリジェントアルゴリズムに基づき、繊維配向毎のプライバンドル(スーパープライ)はデフォルトで出力されます。これらのプライバンドルは、要素セットを介して、繊維配向毎のプライの形状と位置を表します。ここでは、フリー寸法最適化の収束後、全部で16のプライバンドルが生成されます。プライ1から4までは0°のスーパープライのプライバンドル、プライ5から8までは90°のスーパープライのプライバンドル、プライ9から12までは+45°のスーパープライのプライバンドル、プライ13から16までは-45°のスーパープライのプライバンドルを示します。
  1. HyperMeshに戻り、新しいモデルを開始します。
  2. ファイルoht_opti_ph1.femと同じディレクトリにあるソルバーデックoht_opti_ph1_sizing.*.incを、現在のセッションにインポートします。
  3. Modelブラウザで、Load Collectors欄を右クリックし、コンテキストメニューからHideを選択します。
    すべての荷重コレクターの表示がオフになります。
  4. Modelブラウザで、Plies欄を右クリックし、コンテキストメニューからHideを選択します。
    すべてのプライの表示がオフになります。
  5. ModelブラウザのPliesフォルダーで、それぞれ各プライについてメッシュビューアイコンをアクティブにし、プライを確認します。

    os3400_ph1_ply_review_mb_11300
    図 13. プライ11300が選択されているModelブラウザビュー(Laminate 1, Ply 1, Shape 3)

    os3400_ph1_ply_review_view_11300
    図 14. プライ11300のグラフィックス領域のビュー(Laminate 1, Ply 1, Shape 3)
要素セットを介して示されるプライの形状は、設計Phase 2でそのまま使用、HyperMeshで要素セットを更新、もしくはプライスムージングを使用して、製造性を向上させることが可能です。プライスムージングの操作については、次のセクションで示します。

OSSmoothを使ったプライスムージングの適用

プライスムージングは、プライ形状をさらに小さくして、より製造性の高いプライ形状にするための自動化された手法です。プライスムージングはプライ形状の製造性を大幅に向上させますが、この手順の後、さらに手動によるプライ形状の修正がしばしば必要とされます。
  1. PostページからOSSmoothパネルをクリックします。
  2. Select model欄で、oht_opti_ph1_sizing.35.femを選択します。
  3. modeをGeometryからPLY Shapeに変更します。
  4. output file欄で、oht_opti_ph1_sizing.35.smoothed.femの名称を擁す元の場所にセットします。
  5. smooth iterations欄に20と入力します。
  6. small regionの下で、split disconnectedcreate geometryのボックスからチェックマークを外します。
  7. area ratio欄に0.010と入力します。
  8. OSSmoothをクリックし、解析を実行してモデルをスムージングします。

os3400_ph1_ply_review_ossmooth_11300
図 15. スムージング操作後のPly 11300(Laminate 1, Ply 1, Shape 3)