OS-T:1310 直接法によるブラケットの過渡応答解析

本チュートリアルでは、既存のブラケットの有限要素モデルを用いて、OptiStructによる直接時刻歴動的応答解析の実行の仕方について実際に示します。時刻歴動的荷重の下でのブラケットの変形特性のポスト処理には、HyperGraphが用いられます。


bracket_model
図 1. ブラケットの有限要素モデル
ブラケットは2つの脚の底の部分が拘束されています。時刻歴動的荷重が上部の節点、穴の周りの平らな面に負のz-方向に作用します。荷重の時刻歴をFigure 2に示します。直接時刻歴解析は合計4秒間、800の増分に分割して(即ち、時間ステップは 0.005)実行されます。モデルの構造減衰が考慮されます。集中質量要素がスパイダー部分の中心に定義され、穴の中心の集中質量の場所でz方向変位がモニターされます。

time_history
図 2. 作用荷重の時刻歴

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したbracket_transient.hmファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

TABLED1カーブの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Curveを選択します。
  2. Nameにtabled1と入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTABLED1を選択します。
  5. Modelブラウザで、TABLED1カーブを右クリックし、からEditを選択します。

    OS_1310_01
    図 3.
  6. Closeをクリックします。
    荷重の時刻歴を定義する荷重コレクターTABLED1が生成されました。

TSTEP荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにtstepと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTSTEPを選択します。
  5. TSTEP_NUMに1と入力し、Enterを押します。
  6. Nに、タイムステップ数800を入力します。
  7. DTに、時間の増分0.005を入力します。
    荷重が作用する全時間は、800 x 0.005 = 4秒となります。これは、出力要求がされる時間ステップ数の間隔になります。NOはデフォルト値の1.0です。
  8. Closeをクリックします。

DAREA荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにdareaと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、NONEを選択します。
  5. BCs > Create > Constraintsをクリックし、Constraintsパネルを開きます。
  6. nodes > by setsをクリックします。
    2つのセットが表示されます。
  7. forceを選択し、selectをクリックします。
    セット force に属する節点が選択されます。
  8. dof3を除くすべての自由度を、それぞれの隣のボックスをクリックして選択解除し、dof3のみがアクティブな自由度になるようにします。
  9. dof3に値-1500を入力します。
  10. load types=にDAREAを選択します。
  11. createをクリックします。
    これで選択された節点の負の z 方向に 1500 ユニットの荷重が負荷されます。
  12. returnをクリックし、メインメニューに戻ります。

TLOAD荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにtloadと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTLOAD1を選択します。
  5. EXCITEIDに、Unspecified > Loadcolをクリックします。
  6. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからspcdを選択します。
  7. OKをクリックして選択を完了します。
  8. 同様にして、TID欄に(荷重時刻歴を定義するために)tabled荷重コレクターを選択します。
    加振のタイプには、荷重(力またはモーメント)、強制変位、速度、または加速度を与えることができます。TLOADカードの[TYPE]欄で荷重のタイプを定義します。タイプはデフォルトでapplied loadにセットされます。

荷重ステップの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
    デフォルトの荷重ステップテンプレートが、Modelブラウザの下のエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameに、transientと入力します。
  3. Analysis typeに、ドロップダウンメニューからTransient(direct)を選択します。
  4. SPCに、Select LoadcolポップアップウィンドウからSPCを選択します。
  5. DLOADに、Select Loadcolポップアップウィンドウからtload1をを選択します。
  6. TSTEP(TIME)をアクティブにし、前に作成した荷重コレクターtstepを選択します。
    直接時刻歴動的応答解析の荷重と境界条件を指定したサブケースが生成されます。

減衰パラメータの作成

  1. Setup > Create > Control Cardsをクリックし、Control Cardsパネルを開きます。
  2. nextをクリックし、更にカードを表示させます。
  3. PARAMをクリックし、パラメータカードを定義します。
  4. スクロールダウンしてGをアクティブにし、G_V1をクリックして0.2と入力します。
    このパラメータは直接時刻歴動的応答解析の一様な構造減衰の指定に用いられます。
  5. スクロールダウンしてW3をアクティブにし、W3_V1をクリックして300と入力します。
    このパラメータは時刻歴解析で、構造減衰を等価な粘性減衰に変換するのに用いられます。
  6. returnをクリックします。

出力リクエストの作成

  1. GLOBAL_OUTPUT_REQUESTSをクリックしてDISPLACEMENTを選択し、FORMATの直下のスペースはブランクのままにしておきます。
  2. FORM(1)にBOTHを選択します。
  3. OPTION(1)にSIDを選択します。
    SIDというラベルの黄色いボタンがポップアップします。
  4. SIDをダブルクリックし、centerを選択します。
  5. centerのオプションを選択します。
    このセットは、質量要素のあるスパイダー中心の節点、すなわち節点395を示します。
  6. return > nextをクリックします。
  7. OUTPUTをクリックします。
  8. number_of_outputs =に2と入力します。
  9. KEYWORDにH3DHGTRANSを選択します。
  10. FREQに両方ともALLを選択します。
  11. returnを2回クリックし、Control Cardsパネルを終了します。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 4. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてbracket_transient_directと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、bracket_transient_direct.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、bracket_transient_direct.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。
そのディレクトリに書かれるデフォルトのファイルは:
bracket_transient_direct.html
問題の定式と解析結果のサマリーに関する解析のHTMLレポート。
bracket_transient_direct.out
ファイルの設定、最適化問題の設定、実行に必要なRAMおよびディスクスペースの推定量、各最適化反復計算の情報、解析時間等、特定の情報を含むOptiStructの出力ファイル。ワーニングおよびエラーに関しては、このファイルを確認すること。
bracket_transient_direct.h3d
HyperViewバイナリ結果ファイル。
bracket_transient_direct.res
HyperMeshバイナリ結果ファイル。
bracket_transient_direct.stat
解析のプロセスの間のそれぞれのステップでのCPU情報を提供する、解析のプロセスの要約。

変位結果のポスト処理

  1. OptiStructパネルでHyperViewをクリックし、HyperViewを起動します。
  2. File > Open > Sessionをクリックします。
  3. HyperViewセッションファイルbracket_transient_direct.mvwを、入力ファイルが実行されたディレクトリから選択します。
    次のメッセージが現われます:

    message
    図 5.
  4. Yesをクリックし、メッセージウィンドウを閉じます。
    荷重がz-方向のみに作用していることから、節点 395のz-方向変位の時刻歴に着目することになります。
    このファイルはファイルに含まれる変位の結果のプロットを自動的に生成します。
  5. Curve Attributesツールバーアイコンpalette-24をクリックし、X TransカーブとY Transカーブをオフに切り替えます。これはそれぞれのカーブ(X TransとY Trans)を選択し、下のようにその属性Offをクリックすることで可能です。

    rd2030_pic6
    図 6.
  6. options-24をクリックし、節点395のy軸(すなわち、Z方向変位)を画面にフィットさせます。
  7. 必要な場合、色や線の属性も変更できます。

    rd2020_z-displacement
    図 7. モーダル時刻歴動的応答解析でのスパイダー中心の集中質量のZ-方向変位の時刻歴
    上のイメージで観察されるように、節点 395の変位は、負のz方向の荷重に伴い、変位も負のz方向になっています。変位は、モデルのモーダル減衰により、最終的には減衰しています。