OS-T:1090 延長サーフェス熱伝導フィンの線形過渡熱伝導解析

本チュートリアルは、熱流束を生成するシステムの外表面に結合されているスチール製延長サーフェス熱伝導フィンについて、線形非定常熱伝導解析を実行する手順の概要を示します。本チュートリアルで解析される延長サーフェス熱伝導フィンは、システムに結合されているそのようなフィンの配列からの多くのうちの1つです。

フィンは、システムの外表面から熱を吸収し、周囲の空気に消散させます。フィンからの熱伝導のプロセスは、フィン周りの空気の流れ(自由または強制対流)に依存します。現行のチュートリアルでは、熱流束荷重を介した非定常熱伝導および自由対流消散に焦点を当てます。

スチール製の延長サーフェス熱伝導フィンをにFigure 1示します。適切な構造設計の要件を満たすために、フィンはその全長の約1/4の位置で90°に曲げられます。

ヒント: 本チュートリアルでは、自由対流解析が実行されます。しかしながら、システムの外表面上に強制流体フローが許される場合、周期的にフィンを互いからオフセットさせると、熱境界層の成長を阻害し、フォームのドラッグにより流速の低下が生じ、その結果、熱伝導率が高くなります。

os1090_ext_heat_transfer
図 1. 対流性および伝導性非定常熱伝導のための拡張サーフェス熱伝導フィン
Figure 1に示される拡張サーフェス熱伝導フィンは、HyperMeshによりCHEXA要素でメッシングされ、Altair OptiStructソルバーを用いてHyperMeshで非定常熱伝導解析が行われます。100 Kw/m22 の典型的な熱流束荷重が、システムの外表面に結合されたフェイスに適用されます。25°Cの環境温度が仮定され、材料特性はすべて、温度と時間に対して一定であると仮定されます。自由(自然)対流が材料のサーフェス全体に仮定され、温度勾配の結果として密度差の複雑なメカニズムにより、フィンのサーフェスと周囲の空気の間の熱伝達が生じます。
ヒント: その最もシンプルなフォームにおいて、自然対流は、熱いサーフェスから、その直ぐ上の冷たい空気の層へと熱が移動し、その結果、層内の温度上昇により空気密度の低下が生じて起こると説明することができます。熱い空気(低密度)は上昇して、その位置を占める冷たい空気(高密度)の層にスペースを空け、連続パターンで定常状態に達するまでそれが続きます。ただし、実際には、流体フローの複雑さのために自然対流のプロセスは非常に複雑を極めており、正確な解析には、実験から得た詳細な同定が必要とされます。
特記事項:
  1. 最新版のHyperMeshHyperViewおよびOptiStructソフトウェアのインストール。非定常熱伝導解析は、HyperMesh version-12.0.110、HyperView version-12.0.110、OptiStruct version-12.0.202およびそれ以降のバージョンでのみ可能です。
  2. heat_transfer_fin.femソルバーデックは、optistruct.zipファイルに用意されています。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。

    os1090_heat_exchanger
    図 2. 非定常熱伝導解析用熱交換フィンモデル
線形非定常熱伝導解析の概要

線形非定常熱伝導解析は、システムにおける時間に対する温度分布を計算するために使用されます。適用される熱荷重は、時間依存または時間に対し不変のいずれかが可能で、非定常熱解析は、指定した期間のシステムの熱挙動を捕捉するために用いられます。

非定常熱伝導解析の基本的な有限要素方程式は次のように与えられます:(1) [ C ] { T . } + ( [ K ] + [ H ] ) { T } = { p }
ここで、
[ C ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aadaWadaqaaiaadoeaaiaawUfacaGLDbaaaaa@3B91@
熱容量マトリックス
[ K ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aadaWadaqaaiaadoeaaiaawUfacaGLDbaaaaa@3B91@
伝導マトリックス
[ H ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aadaWadaqaaiaadoeaaiaawUfacaGLDbaaaaa@3B91@
自由伝達による境界伝達マトリックス
{ T . }
時間に対する温度の導関数
{ T . }
未知の節点温度
{ p } MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaGG7bGaamiCaiaac2haaaa@3BCC@
温度荷重ベクトル

微分方程式(式 1)は、指定のタイムステップにおける節点温度 { T . } を求めるために解かれます。式 1と定常熱伝導方程式との違いは、解析の一時的な性質を捕捉する項 [ C ] { T . } です。

チェックポイント

定常熱伝導解析は一般的に、広範にわたって十分適用できます。しかしながら、時間の経過と共にシステムの特性が大きく変化するようなケースでは、熱伝導の一時的な性質を考慮する必要があります。その例として、タービンケーシングと比較してゆっくり温度上昇する航空機のガスタービンコンプレッサディスクが離陸時に空力学的問題をもたらすケース、または、手足の凍傷の発症にかかる時間の解析などが挙げられます。

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したheat_transfer_fin.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

熱材料特性とプロパティの作成

インポートされたモデルには、境界条件の作成のために予め定義された要素のセットとコンポーネントのみが含まれます。ここで、このコンポーネントに割り当てることのできる熱材料を作成します。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Materialを選択します。
    デフォルトのMAT1材料がエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameにsteelと入力します。
  3. Card ImageにMAT4を選択し、確認のYesをクリックします。
  4. MAT4データエントリについて、以下の材料特性値を入力します。
    [K] 熱伝導率
    7.3 x 10-2W/mm °C
    [CP] 一定圧力での比熱容量
    508J/Kg °C
    [RHO] 材料の密度
    7.9 x 10-6Kg/mm3
    [H] 熱伝達率
    4 x 10-5W/mm2°C

    os_1090_13_steel
    図 3.

    ここでは単に熱伝導解析を行っているので、等方性構造特性(例えばMAT1カード)は必要ありません。また、熱材料特性(MAT4)は温度に依存しないと仮定します。

    新規材料steelが、非定常熱伝導解析に必要とされる熱特性と共に作成されます。

    ここで、PSOLIDエントリを参照するこのモデル用のソリッドプロパティを作成し、材料steelをこのプロパティに関連付けます。プロパティは、既存のコンポーネントに割り当てることが可能です。

  5. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Propertyを選択します。
    デフォルトのPSHELLプロパティがエンティティエディターに表示されます。
  6. NameにSolidsと入力します。
  7. Card ImageにPSOLIDを選択し、確認のYesをクリックします。
  8. Materialに、Unspecified > Materialをクリックします。
  9. Select Materialダイアログでsteelを選択し、OKをクリックします。

    os_1090_13_solid
    図 4.

非定常熱伝導解析のタイムステップの作成

非定常解析は、指定した期間のシステムの挙動を捕捉します。したがって、このシステムについて対象とする期間を定義します。500秒(8分20秒)の期間が、10秒毎の結果出力とともに定義されます。この目的のために荷重コレクターが作成され、下に示すようにTSTEPエントリが参照されます。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにTime Stepsと入力します。
  3. Card Imageには、TSTEPを選択します。
  4. TSTEP_NUMに値1を入力します。
  5. table_pencilをクリックし、タイムステップ数 (N) = 50を入力して、各時間インクリメント(DT) を10に設定します。
    これにより、総時間500秒にわたってシステムの挙動が捕捉されます。

    os_1090_13_02
    図 6.
  6. Closeをクリックします。

非定常熱伝導解析の初期条件の作成

システムの温度プロファイルが時間と共に変化するため、初期のグリッドポイント温度プロファイルは、解析の開始ポイントを指定するよう設定しなくてはなりません。システム全体の温度はT=0において25°Cと仮定し、TEMPDバルクデータエントリは初期温度を設定します。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにInitial Conditionsと入力します。
  3. Card Imageには、TEMPDを選択します。
  4. T1に値25を入力します。

    os_1090_13_05
    図 7.

環境温度境界条件の適用

環境温度熱境界条件は、それぞれについて特定の荷重コレクターを作成することによってモデルに付与されます。環境温度はSPCDエントリを使用することによってコントロールされます。これは、時間経過に伴う環境温度の変化という物理的要件(存在する場合)の模擬を可能にします。

時間と共に変化する環境温度の生成

時間と共に変化する環境温度は、TLOAD1データエントリを介してSPCDエントリを参照することにより作成できます。環境温度の時間変化の性質は、TLOAD1データによっても参照されるTABLED1エントリを使って定義できます。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにAmbient SPCD TLOAD1と入力します。
  3. Card Imageには、TLOAD1を選択します。
    TLOAD1欄は、対応するSPCDおよびTABLED1データエントリの作成後に更新されます。
  4. Ambient SPCDという名称で別の荷重コレクターを作成し、Card ImageにNoneを選択します。
    新たに作成されたAmbient SPCD荷重コレクターが、現在の荷重コレクターとなります(画面の下部右側下部にAmbient SPCDが表示されていることを確認)。
  5. Ambient SPCD荷重コレクターが設定されていない場合、Modelブラウザ内でAmbient SPCDを右クリックし、Make Currentをクリックします。

    os1090_ambientSPCD
    図 8. 現在の荷重コレクター- Ambient SPCDが表示されている
  6. 次に、SPCDデータエントリを使って、時間変化の環境温度の大きさ(定数部分)を作成します。BCs > Create > Constraintsをクリックします。
  7. 環境温度は、SPCDデータエントリを使って実際の構造の外側にある既存節点をコントロールすることにより設定されます。Constraintsパネルで、nodes > by idをクリックし、id= 欄に5672と入力してEnterを押します。
    エンティティエディター内の構造の上で、環境節点がハイライト表示されます。
  8. size= 欄に5.0と入力して、すべての自由度(dof1からdof6まで)の横にあるボックスのチェックマークを外し、 dof#の横のすべての欄に0.0と入力します。
  9. load types=にSPCDを選択します。

    os1090_spcd_entry
    図 9. 環境温度をコントロールするためのSPCDエントリの作成
  10. create/editをクリックし、SPCDデータエントリのD欄に25.0と入力します。
    これで、環境節点を参照し温度25°Cを指定するSPCDが作成されます。
  11. returnを2回クリックし、Analysisページに戻ります。
  12. 次に、環境温度の時間と共に変化する性質を定義するために、カーブコレクターを作成します。これは、先に作成されたTLOAD1エントリにより参照されるTABLED1を指定することにより行えます。
  13. Ambient SPCD Tableという名称の新しい荷重コレクターを作成し、Card ImageをTABLED1に設定します。
  14. TSTEP_NUMに2と入力し、を押します。
  15. テーブル内に、x(1) = 0.0、y(1) = 1.0、x(2) = 500.0、y(2) = 1.0と入力します。
  16. Closeをクリックします。
    ヒント: 本チュートリアルでは、定数の環境温度(y(1)とy(2)は等しく、最初の500秒間を通じて一定の温度分布をもたらす)が定義されます。ただし、これは、TABLED1エントリを使って時間変化の環境温度も指定するプロシージャを示します。これを行うには、y#欄に異なる値を指定し、必要な変化の種類に応じてLINEARまたはLOGオプションから選択します。

Checkpoint

SPCDおよび対応するテーブルは、先に作成されたTLOAD1エントリにリンクされます。

os1090_tload_flowchart
図 10. 時間変化のSPCDを指定するプロセス

  1. Modelブラウザで、Ambient SPCD TLOAD1荷重コレクターをクリックします。
    エンティティエディターで表示されます。
  2. EXCITEIDに、メニューからAmbient SPCD荷重コレクターを選択します。
  3. TYPEにDISPを選択してTIDをクリックし、Ambient SPCD Table荷重コレクターメニューを選択します。
    SPCDエントリによって参照されるエンティティはすべて、SPCデータエントリによって拘束されます。SPCDを介してTLOAD1/2エントリによりコントロールされる環境ポイントを参照する対応するSPCの値は、ゼロ(0.0)に等しくなくてはなりません。
  4. Ambient SPCという名称で新しい荷重コレクターを作成し、Card ImageにNoneを選択します。
  5. 新たに作成されたAmbient SPCが現在の荷重コレクターになっていることを確認し、BCs > Create > Constraintsをクリックして、Constraintsパネル内でnodesをクリックします。
  6. 拡張メニューからby idを選択し、5672と入力してEnterを押します。
    モデリングウィンドウ内の構造の上で、環境節点がハイライト表示されます。
  7. size= 欄に5.0と入力して、すべての自由度(dof1からdof6まで)の横にあるボックスのチェックマークを外し、 dof#の横のすべての欄に0.0と入力します。
  8. load types=にSPCを選択します。

    os1090_spc
    図 11. SPC境界条件の作成
  9. create/editをクリックし、SPCデータエントリのD欄に0.0と入力します。
    これで、SPCDデータエントリによってコントロールされる同じ環境節点を参照するSPCが作成されます。
  10. returnを2回クリックし、Analysisページに戻ります。

熱流束荷重の適用

環境温度熱境界条件がモデルに割り当てられ、次に、エンジンの外表面(フィンが結合されている)からの熱流束荷重がモデルに付与されます。0~500秒からの時間変化の流束荷重0~0.1 W/mm2が、このフィンの解析に使用されます。この荷重は、環境温度SPCDの定義に使用されたのと同様のプロシージャで、対応するTLOAD1QBDY1およびTABLED1エントリについて特定の荷重コレクターを作成することによってモデルに適用されます。

線形的に増加する時間変化の熱流束荷重の作成

時間と共に変化する環境温度は、TLOAD1データエントリを介してSPCDエントリを参照することにより作成できます。環境温度の時間変化の性質は、TLOAD1データによっても参照されるTABLED1エントリを使って定義できます。
  1. Heat Flux TLOAD1という名称の新しい荷重コレクターを作成し、Card ImageにTLOAD1を選択します。
    TLOAD1欄は、対応するQBDY1およびTABLED1データエントリの作成後に更新されます。
  2. Heat Flux QBDY1という名称の別の荷重コレクターを作成し、Card ImageにNoneを選択します。
    新たに作成されたHeat Flux QBDY1荷重コレクターが、現在の荷重コレクターとなります(画面の下部右側下部にHeat Flux QBDY1が表示されていることを確認)。
  3. Heat Flux QBDY1荷重コレクターが設定されていない場合、エンティティエディター内でHeat Flux QBDY1を右クリックし、Make Currentをクリックします。

    os1090_qbdy1
    図 12. 現在の荷重コレクター- Heat Flux QBDY1が表示されている
  4. フィンのサーフェス上に、熱流束ソースとソリッド要素間のインターフェースを作成します。これは、BCs > Create > Interfaces をクリックし、Create groupポップアップテーブルのName 欄にconvection_interfaceと指定することによって行われます。
  5. Card Imageに、ドロップダウンメニューからCONDUCTIONを選択し、確認に対してYesをクリックします。
  6. Secondary Entity IDsに、黄色のElementsパネルをクリックします。
    パネルがモデリングウィンドウの下に現れます。
  7. elemsの横のスイッチボタンをクリックし、リストからfacesを選択します。
  8. ハイライト表示されているsolid elemsをクリックし、選択メニューからby setsを選択します。
  9. Element_set_Fluxの横のボックスにチェックマークを入れ、selectをクリックします。
    予め定義されている要素セットが、モデル上で白くハイライト表示されます。

    os1090_element
    図 13. 要素セットが白くハイライト表示される
    ヒント: ブレーク角は、同じ要素セットについて隣り合うソリッドフェイスを探し出すのに役立ちますが、このサーフェス要素セットの生成には1つのフェイスのみが必要なので、ブレーク角の値はこの場合適していません。
  10. nodesをクリックし、図 14で示される節点群を選択します。

    os1090_nodes_selection
    図 14. 熱伝達サーフェスの要素生成のために、ハイライト表示されているサーフェス上の節点を選択
  11. add、続いてreturnをクリックし、Create groupダイアログに戻ります。
  12. Closeをクリックします。
    熱伝達インターフェースが生成されます。これは、QBDY1データはサーフェス要素群のみを参照し、熱伝達インターフェースは熱流束が入力されるサーフェスにおけるサーフェス要素のセットの作成を補助するためです。
    os1090_surf_elements図 15. 新たに生成されたサーフェス要素群が水色で表示される
  13. 次に、QBDY1データエントリを使って、時間変化の熱流束の大きさ(定数部分)を作成します。これは、BCs > Create > Fluxをクリックすることにより行います。

    os1090_bcs_flux
    図 16. Flux Creationパネルへのアクセス
  14. elemsをクリックし、by groupを選択し、conduction_interfaceを選択します。
    新たに作成されたサーフェス要素が、モデル上で白くハイライト表示されます。
  15. value=欄に0.1と入力し、load types =欄にQBDY1を選択します。熱荷重の表示ラベルのサイズに値を割り当てるために、magnitude% =欄に任意の値を指定します。

    os1090_heat_flux_load
    図 17. Heat Flux Loadパネル
  16. createreturnをクリックし、Analysisページに戻ります。
  17. 次に、熱流束の時間と共に線形的に変化する性質を定義するために、別の荷重コレクターを作成します。これは、先に作成されたTLOAD1エントリにより参照されるTABLED1を指定することにより行えます。
  18. Heat Flux Tableという名称の新しい荷重コレクターを作成し、Card ImageにTABLED1を選択します。
  19. TSTEP_NUMに2と入力し、を押します。
  20. Dataの横のtable_pencilをクリックします。ポップアップウィンドウ内に、x(1) = 0.0、y(1) = 0.0、x(2) = 500.0、y(2) = 1.0と入力します。
    ヒント: 本チュートリアルでは、定数の環境温度(y(1)は0、y(2)は1で、最初の500秒間を通じて線形的に増加する熱流速をもたらす)が定義されます。

チェックポイント

QBDY1熱流束荷重およびそれに対応するテーブルは、先に作成されたTLOAD1エントリにリンクされます。


os1090_tload1_flowchart
図 18. 時間変化のSPCDを指定するプロセス

  1. Modelブラウザで、Heat Flux TLOAD1荷重コレクターをクリックします。
    エントリが下のエンティティエディターに表示されます。
  2. Card Imageには、TLOAD1を選択します。
  3. EXCITEIDに、ポップアップテーブルからHeat Flux QBDY1荷重コレクターを選択し、OKをクリックします。
  4. TYPEにLOAD、続いてTIDを選択し、ポップアップテーブルからHeat Flux Tableを選んでOKをクリックします。

自由対流の追加

熱伝達インターフェースの作成に使用したプロシージャと同様にして、自由対流を割り当てます。ただし、自由対流はすべての熱伝導サブケースに自動的に割り当てられ、PCONVおよびCONVエントリは材料steelおよび環境温度を参照しなくてはなりません。環境温度は、自由対流を通して伝達される熱の量を計算します。

自由対流のためのサーフェス要素の生成

フィンのサーフェスと周囲の空気の間の熱交換をシミュレートするためサーフェス要素が生成されます。フィンの外表面上のソリッド要素群を含んだ要素セットElement_set_convectionが、インターフェースにおけるサーフェス要素群を定義します。
  1. フィンのサーフェス上に、周りの空気とソリッド要素間のインターフェースを作成します。これは、BCs > Create > Interfacesをクリックし、Create groupポップアップテーブルのName 欄にconvection_interfaceと指定することによって行われます。
  2. Card Imageに、ドロップダウンメニューからCONVECTIONを選択し、確認に対してYesをクリックします。
  3. Secondary Entity IDsに、黄色のElementsパネルをクリックします。
    パネルがモデリングウィンドウの下に現れます。
  4. elemsの横のスイッチボタンをクリックし、リストからfacesを選択します。
  5. ハイライト表示されているsolid elemsをクリックし、選択メニューからby setsを選択します。
  6. 要素セットElement_set_Convectionを選択し、selectをクリックします。予め定義されている要素セットが、モデル上で白くハイライト表示されます。

    os1090_element2
    図 19. 要素セットが白くハイライト表示される
  7. nodes next to face nodesをクリックします。これで、同じ要素セットが黒くハイライト表示されます。図 20図 21に示すとおり、モデルのハイライト表示されているすべての面上にある4つの節点をクリックし、89°のブレーク角を指定します。
    ヒント: ブレーク角は、同じ要素セットについて隣り合うソリッドフェイスを探し出すのに役立ち、サーフェスの法線間の角が指定されたブレーク角より小さい隣り合うフェイスはすべて、サーフェス要素作成のために選択されます。
  8. addreturnをクリックし、Analysisページに戻ります。
  9. MID欄をクリックし、メニューからsteelを選択します。

    os1090_nodes_selection2
    図 20. 熱伝達サーフェスの要素生成のために、ハイライト表示されている7つのサーフェス上の4つの節点を選択


    図 21. 熱伝達インターフェースの生成のために、残りの3つのハイライト表示されているサーフェス上の節点群を選択

    新たに作成されたCHBDYEサーフェスセットは、下の図 22に示すとおり、黄色で表示されます。


    os1090_chdbye
    図 22. 新たに生成されたCHBBDYEサーフェス要素群がモデル上に黄色で表示される
    新規グループconvection_interfaceがModelブラウザに作成されます。
  10. Closeをクリックします。
  11. 次に、CONVデータエントリ内の環境温度を参照することにより、対流境界条件が定義されます。これは、Card EditアイコンentityCards-24をクリックし、elemsエントリを選択することによって行われます。
  12. メニューからelems > by group and select convection_interfaceをクリックします。
  13. config=をクリックしsecond4を選択します。
  14. type=をクリックしCHBDYE4を選択します。
  15. editをクリックし、CHBDYEカードイメージのパネルに入ります。
  16. CONVの横のボックスにチェックマークを入れます。TA1をクリックし、環境温度節点 ID 5672を入力します。
  17. returnを2回クリックし、Analysisページに戻ります。

TLOAD1エントリのDLOADエントリへの統合

2つの異なるTLOAD1エントリが定義されており、それらは同じサブケースによって参照されるため、DLOADデータエントリを使って統合される必要があります。
  1. Combined Flux and Convectionという名前の新しい荷重コレクターを作成し、Card ImageにDLOADを選択します。
  2. Sに1.0と入力します。
  3. 2つのTLOAD1エントリのシンプルな線形加算のみが必要なので、DLOAD_NUMに2と入力し、Enterを押します。
  4. DLOAD_NUM欄の下のDataの横にあるtable_pencilをクリックします。DLOAD_NUMポップアップウィンドウで、S(1) = 1.0、 S(2) = 1.0と入力します。
  5. L(1)に、メニューからAmbient SPCD TLOAD1を選択し、L(2)に、メニューからHeat Flux TLOAD1を選択します。
  6. Closeをクリックします。

    チェックポイント

    DLOADエントリは、2つのTLOAD1エントリ – Heat Flux TLOAD1およびAmbient SPCD TLOAD1の線形組合せとして生成されます。


    os1090_combined_flowchart
    図 23. 時間変化のSPCDを指定するプロセス

非定常熱伝導荷重ステップの生成

OptiStructの非定常熱伝達荷重ステップはが作成され、荷重コレクターTime Steps荷重コレクターInitial Conditions 内の初期条件、荷重コレクターCombined Flux and Convection内の熱流速と自由対流セットアップ、および荷重コレクターAmbient SPC内のSPC境界条件を参照します。熱伝導解析の勾配、流束、温度出力要求もloadstepsパネルで行われます。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  2. Nameにtransient heat transferと入力します。
  3. Analysis type欄をクリックし、ドロップダウンメニューからHeat transfer (transient)を選択します。
  4. SPCで、Unspecified > Loadcolをクリックします。
  5. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからAmbient SPCを選択し、OKをクリックしてSPCの選択を完了します。
  6. ICにInitial Conditionsを選択します。
  7. TSTEPにTime Stepsを選択します。
  8. DLOADにCombined Flux and Convectionを選択します。
  9. Outputの横のボックスにチェックを入れます。
  10. サブリストのFLUXTHERMALオプションをアクティブにします。
  11. 両方の出力について、FORMAT欄をアクティブにし、H3D formatを選択します。
  12. 両方の出力について、OPTION欄をアクティブにし、ALLを選択します。
    THERMAL出力について、FORMATおよびOUTPUT欄が、新規ウィンドウを開きます。ウィンドウ内の1つ目の欄をクリックし、対応する値を選択します。
    注: FLUXとTHERMAL出力は Analysisページのcontrol cardsパネルでも要求できます。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 24. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてheat_transfer_fin_completeと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、heat_transfer_fin_complete.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、heat_transfer_fin_complete.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。

結果の可視化

非定常熱伝導解析について節点温度、要素温度勾配および流束コンター結果が計算され、HyperViewが結果のポスト処理に使用されます。
  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。HyperViewにモデルと結果が正しく読み込まれたことを示すメッセージウィンドウが現われます。
  2. 表示されたら、Closeをクリックし、メッセージウィンドウを閉じます。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-16をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Grid Temperatures(s)を選択します。

    os1090_hv_contour_panel
    図 25. HyperViewのContour Plotパネル
  5. Applyをクリックし、ResultsブラウザからTime = 5.0000000E+02を選択します。
    最終タイムステップにおける節点温度のコンタープロットが、図 26のように生成されます。

    os1090_grid_temp
    図 26. 最終タイムステップ(500秒)の節点温度コンター – WITH FREE CONVECTION.

チェックポイント

図 26では、これは500秒後の節点ポイント温度です。システムは、0~500秒に対し0 to 0.1 W/mm2の設計的に増加する熱流束が入力されています。したがって、物理的な相関関係は、内燃エンジンを起動してから最大出力に達するまでの間に外表面まで伝達する熱流束は時間の経過と共に線形的に増加するという関係になります。熱流束のパターンは実際には異なり、パワーサイクルの期間に基づいて上下する可能性があることに注意が必要です。熱流束がかかる位置に最も近い要素において、81.3°Cの最大温度が予想どおり生じ、熱源から最も遠い要素では29.5°Cの最小温度が生じています。

  1. Applyをクリックし、ResultsブラウザからTime = 2.0000000E+01を選択します。
    節点温度のコンタープロットが、図 27のように生成されます。

    os1090_grid_temp2
    図 27. 20秒後の節点温度コンタープロット – WITH FREE CONVECTION.
  2. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Element Fluxes (V)を選択します。
  3. Applyをクリックし、ResultsブラウザからTime = 5.0000000E+02 を選択して、図 29で500秒後の要素熱流束結果を確認します。
実践的な設定では、システムの外表面における温度の低下で、自由対流の影響を見ることもできます。対流(拡張されたサーフェスエリアによる)は、拡張サーフェスフィンの不在と比べると、大量の熱がシステムから引き出されることを許容します。これは、対流熱損失なしに500秒後のシステムの外表面の温度で明らかです。

os1090_grid_temp3
図 28. 500秒後の節点温度コンタープロット – WITHOUT FREE CONVECTION.
熱源システムの外表面における最大温度は125.3°Cで、これは500秒間での44°C の上昇です。したがって、拡張サーフェスフィンの使用は、システムの温度低減に非常に効果的な方法です。

os1090_grid_temp4
図 29. 500秒後の要素流束のコンタープロット