OS-E:3010 圧力容器の複数平面による対称性補強の最適化

薄肉の直方体の容器は液体の保管に使用されます。容器側面の外向きの膨らみ(内容物の圧力による)を最小にします。さらに、側面パネルの外向きの最大変形は、指定の値以下でなければなりません。

モデルファイル

必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。

この例で使用されているモデルファイルには以下のものが含まれます:
  • pressure.fem
  • pressure13.fem

モデル概要

モデルは図 1に示すとおりです。最適化のセットアップはすべて、HyperMeshのoptimizationパネルおよびそのサブパネル群を使って行います。

モデルは、下部4つのコーナーにおける全方向の変位について制約されますが、これらの制約について回転は自由です。荷重は、緑色で示された領域にかかる分布圧です。圧力は、容器の下部で大きくなっています。

fig3p1
図 1. 直方体圧力容器にかかる荷重と制約条件
設計領域として容器全体が使用されますが、上部の注入口(図の赤色部分)は除きます。設計領域内の全ての要素は、同じコンポーネント内に置かれ、同じ材料プロパティを参照します。設計領域内の全ての要素について、法線ベクトルは外側を向いています。トポロジー変数は、下記のDTPGカードで設定されます:
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
DTPG 1 PSHELL 1            
+ 7.0 60.0 YES 5.0 NORM     NONE  
+ PATRN 30 50.0 100.0 75.0 0.0 1.0 0.0  
+ PATRN2 0 0.0 0.0 1.0        
+ BOUNDS 0.0 1.0            
3つの直交対称面が定義されます(図 2)。アンカー節点は、容器の中央に位置します。1つ目と2つ目のベクトルは、X軸とY軸に平行に定義されます。1つ目のベクトルは、注入口の反対側を指すよう定義されます。これは、自動的に生成される変数が容器のサーフェス全体をカバーすることを確実にします。1つ目のベクトルが別の方向を指す場合、対称手法は、注入口領域内の変数の欠落を3つの対称面すべてにわたって反映します。

fig3p2
図 2. 圧力容器の直交対称面

目的は、圧力荷重ケースのコンプライアンスを最小にすることで、これは、モデル全体のひずみエネルギーを最小にすることと同じです。荷重のかかった5つのサーフェスそれぞれの中心点の変位は、指定の値以下になるよう制約されています。

OptiStructは、図 3に示すとおり、圧力容器についてソリューションを生成します。

fig3p3
図 3. 圧力容器についてのOptiStructソリューション

OptiStructによるソリューションは最適化の制約条件をすべて満たし、良好な設計を生み出します。図 3の赤色で示す領域は、モデルの剛性を高めるためにOptiStructが作成したビード補強を示しています。ソリューションは今までにないものですが、エンジニアリング上の常識で理にかなっています。容器の大きいほうの側面、上部、および下部のパネルについて、OptiStructは中央位置に大きい曲線的な補強ビードを作成しています。このようなタイプのビードは、分布荷重または中央荷重に対し、パネルの剛性を高める点で非常に有効です。これは、パネルの中央領域内の曲げは、垂直および水平の両方向に起こっているためです。曲線的なビードは両方向に剛性を作成し、どちらにも弱いことはありません。OptiStructは、モデルの8つのコーナーすべてに、容器の各辺を繋いで固定し、各辺が隣接する辺からサポートを得られるよう、球状のビードを作成しています。

この補強パターンから有限要素モデルが作成されています(図 4)。

fig3p4
図 4. 圧力容器についてのOptiStructソリューションの有限要素モデル
このパターンが、図 5に示される2つの異なるビード補強パターンと比較されました。

fig3p5
図 5. 圧力容器の従来の補強パターン

OptiStructモデルは、2つの従来モデルのいずれよりも、剛性の点で優れています。OptiStructモデルの最大変形は、軽く補強された従来モデル(図の左)より30%、しっかり補強された従来モデルより46%(右)少なくなりました。軽く補強されたモデルはしっかり補強されたモデルより剛性が高く、これは、補強が多いほど剛性が高まるという仮定に反しています。仮定が常には正しくないビードタイプの補強で、トポグラフィー最適化の有効性が示されています。OptiStructは1つ目の設計を提供し、必ずしも改善をもたらすものではない2つ目、3つ目、4つ目。。。という一連のモデルの再設計の必要性を排除します。

製造性制約条件は、他のパターングルーピングオプションを使って、圧力容器モデル内で考慮することができます。セットアップは、HyperMeshのインターフェースを介して簡単に行えます。2つの片のダイモールドを使った圧力容器を製造するために、ダイロック状態を生じる可能性のある水平方向に延びるビード補強を削除する必要があります。トポグラフィー最適化を使って、容器の側面上、縦方向にのみ延びる補強を作成することができます。これは、側壁、フロントおよびバックパネル、および上部と下部のパネルに別々のトポグラフィー変数を使って行われます。1平面対称グルーピングタイプで面対称を有するトポグラフィー変数が、サイドパネルとフロント/バックパネルそれぞれに定義されます。先のケースのように、3平面対称トポグラフィー変数が、上部および下部パネルに割り当てられます。1つ目のベクトルの方向のみが異なる2つのカードを下に示します:
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
DTPG 1 PSHELL 1            
+ 7.5 60.0 YES 5.0 NORM     NONE  
+ PATRN 13 50.0 100.0 75.0 0.0 1.0 0.0  
+ BOUNDS 0.0 1.0            
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
DTPG 1 PSHELL 1            
+ 7.5 60.0 YES 5.0 NORM     NONE  
+ PATRN 13 50.0 100.0 75.0 1.0 0.0 0.0  
+ BOUNDS 0.0 1.0            

結果

planarパターングルーピングの平面はY軸に対して水平および垂直で、これによりOptiStructは縦方向のビードを生成します。面はボックスのどちらの側にもあるため、向かい合う辺同士で対称性が存在します。また、アンカー節点の両側の1つ目のベクトル方向(Y軸)の対称性は、1平面対称オプション(パターングルーピングオプション13)で強制されます。(図 6

fig3p6
図 6. 圧力容器の側面のPlanarパターングルーピングプレーン
容器の側面に強制される面対称定義と、容器の上部および下部に強制される3平面対称定義により、OptiStruct図 7に示すソリューションを生成しました。容器の側面上に水平ビードが存在しなくても、下に示すOptiStructソリューションは、軽く補強された従来モデルよりも最大変形が6%少なくなっています。

multiexample
図 7. 3平面および面対称オプションを組み合わせた圧力容器のソリューション