_nl.outファイル

非線形解析を監視およびデバッグするために使用できるASCIIフォーマットの結果ファイル。

ファイル生成

このファイルは、非線形静実行や非線形過渡実行の場合、常に作成されます。

ファイル内容

このファイルでは、非線形解析の進行状況に関する詳細情報が提供されます。このファイルを使用して非線形実行を監視でき、_nl.h3dファイルと組み合わせるなどして、必要に応じて非収束非線形実行を調査およびデバッグできます(詳細については実行時監視をご参照ください)。

ファイルフォーマット

このファイルには、モデル内の各サブケースの非線形解析パラメータと解析進行状況情報が含まれています。このような各サブケースのフォーマットは同じであり、各サブケースに対し、ヘッダーセクションとメインセクションの2つのセクションで構成されていると見なすことができます。ヘッダーセクションでは非線形制御パラメータの概要が示され、後続のメインセクションには、特定の着目するサブケースの非線形解析進行状況の概要が含まれています。

各サブケースの構成は次のとおりです:
  • ヘッダーセクション(非線形制御パラメータ)
  • メインセクション(非線形反復の概要)

以下では、ヘッダーセクションとメインセクションの両方を例示し、これらのセクション内の各アイテムについて説明します。

ヘッダーセクション(非線形制御パラメータ)

ヘッダーセクションの先頭部分には、NLPARMエントリの入力内容に基づいたアイテムのリストが含まれています。


図 1.
非線形静解析の場合は、以下の値が出力されます。
  • Initial time increment(初期時間増分)

    解析タイプに応じて、この値は、NLPARMTSTEP、またはTSTEPNLの対応するフィールドに基づいて計算されます(例えば、NLPARMDTによって初期時間増分を定義できます)。

  • Subcase (local) time at the end of this subcase(サブケース終了時のサブケース(ローカル)時間)

    解析タイプに応じて、この値は、NLPARMTSTEP、またはTSTEPNLの対応するフィールドに基づいて計算されます(例えば、NLPARMTTERMによってサブケース(ローカル)終了時間を定義できます)。

  • Total time at the start of this subcase(サブケース開始時の合計時間)およびTotal time at the end of this subcase(サブケース終了時の合計時間)

    モデルセットアップに依存します。継続サブケースの場合、合計時間は後続のサブケースも合算されます。

  • Maximum number of iterations(反復の最大回数)

    NLPARM上のMAXITERフィールド

非線形過渡解析の場合、これらの時間値は、NLPARMTSTEPの組み合わせ、またはTSTEPNLエントリに基づいて決定されます。


図 2.
Convergence criteria(収束基準):
  • Tolerance Disp.(変位トレランス)(EPSU): NLPARM上のEPSUフィールド
  • Tolerance Force(力トレランス)(EPSP): NLPARM上のEPSPフィールド
  • olerance Work(仕事トレランス)(EPSW): NLPARM上のEPSWフィールド
NLADAPTエントリの時間増分調整パラメータはその名前の通りで、_nl.outファイルで適切にラベル付けされています。


図 3.

時間増分調整係数はアダプティブ時間ステップで使用されます。この例で、以下のラベルは“default for SMDISP”または“default for LGDISP”となっています。ただし、このラベルは、特定モデルの時間増分調整システムに基づいて変化できます(例えば、エキスパートシステムがオンになっている場合)。

微小変位非線形解析の場合:


図 4.
大変位非線形解析の場合:


図 5.
NLADAPTエントリでDIRECTパラメータがYESに設定されている場合、これらの値は_nl.outファイルに出力されますが、解析では固定時間ステップが使用されます。
注: 上記ヘッダーセクションのすべてのパラメータを微小変位非線形解析に適用できるわけではありません。

メインセクション(非線形反復の概要)

非線形解析の非線形反復の概要表。

特定サブケースの増分の反復ごとに、以下に例示するテーブルが出力されます。


図 6. 接触があるモデル


図 7. 要素の歪みがあるモデル
ここで、
Avg.U
サブケースの特定の反復に対するすべての節点の平均変位を表します。
EUI
変位の相対誤差を表します。
EPI
荷重に関しての相対誤差を表します。
EWI
仕事に関しての相対誤差を表します。
詳細については、ユーザーズガイド内の非線形静解析非線形収束基準をご参照ください。
MaxEquiv Plststrn
最大等価塑性ひずみを表します。
Gap and Contact Element Status
列の内容はその名が示す通りです。
  • 各増分内の表の行アイテム
    MAX FORCE
    全自由度の最大外力。
    MAX RESIDUAL FORCE
    全自由度の内力と外力との最大の差。これは、この反復における不均衡荷重です。
    MAX DISPLACEMENT INCREMENT
    全自由度の最大増分並進変位。これには、この増分の現在の変位補正と以前の全変位補正が含まれています。この出力値は各増分の最後にリセットされます。
    MAX DISPLACEMENT CORRECTION
    全自由度の反復当たりの最大並進変位補正。これは、反復ごとの変位に適用される補正です。この値は、適用される変位補正量に応じて反復ごとに異なります。
    MAX ROTATION INCREMENT
    全自由度の最大増分回転。これには、この増分の現在の回転補正と以前の全回転補正が含まれています。この出力値は各増分の最後にリセットされます。
    MAX ROTATION CORRECTION
    全自由度の反復当たりの最大回転補正。これは、反復ごとの回転に適用される補正です。この値は、適用される回転補正量に応じて反復ごとに異なります。
    MAX PENETRATION ERROR
    これは、接触を含むモデルにのみ適用できます。これは、モデル内の全接触インターフェースの中で最大の貫通誤差です。着目する接触インターフェースの名前、ID、関連節点IDも出力されます。
    MAX PRESSURE ERROR
    これは、接触を含むモデルにのみ適用できます。これは、モデル内の全接触インターフェースの中で最大の圧力誤差です。着目する接触インターフェースの名前、ID、関連節点IDも出力されます。
  • 接触変化に関連する節点

    この反復で変更された接触状態に関連する節点の合計数は、デフォルトでOFFになっています。この出力は、NLPRINTバルクデータエントリのCONTCHGフィールドを通じて制御できます。

    NLMON,DISP,ITER/INCバルク / サブケースペアが存在する場合、以下の関連する各接触変化が生じた節点セットも、対応する_nl.h3dファイルに出力されます。
    CONTACT CHANGE OPEN-TO-CLOSE
    この反復でOpenからCloseに変更された接触状態に関連する節点の数が出力されます。
    CONTACT CHANGE CLOSE-TO-OPEN
    この反復でCloseからOpenに変更された接触状態に関連する節点の数が出力されます。
    CONTACT CHANGE STICK-TO-SLIP
    この反復でStickからSlipに変更された接触状態に関連する節点の数が出力されます。
    CONTACT CHANGE SLIP-TO-STICK
    この反復でSlipからStickに変更された接触状態に関連する節点の数が出力されます。
    ELEMENT DISTORTION (total #, print # elements)
    特定の反復で歪められた要素の合計数。デフォルトの出力要素数は10であり、この値はNLPRINTバルクデータエントリのELEMDISTフィールドを使用して制御できます。

NLMON,DISP,ITER/INCバルク / サブケースペアが存在する場合、上記の歪んだ各要素の節点セットが、対応する_nl.h3dファイルに出力されます。