OS-T:1570 スライダークランクの非線形過渡解析

本チュートリアルでは、既存のスライダークランクの有限要素モデルを用いて、OptiStructによる非線形過渡解析を実行する方法について説明します。



図 1. モデルと荷重の詳細

Figure 1は、本チュートリアルに用いられる構造モデルを示しています。スライダークランクは、3つの回転ジョイントと1つの滑りジョイントを含む4節機構です。この機構は1端で完全に拘束されており、過渡荷重がクランクに付与されています。非線形過渡解析は合計1秒間、200の増分に分割して(即ち、時間ステップは 0.005)実行されます。集中質量が、スライダーの中央、クランクの両端およびヒンジに定義されています。

ここでは、ビーム / ソリッド要素を使ってモデル化されたスライダークランクを解析します。クランクは、適切な拘束を他の節に付与することにより、Z軸周りに180度回転されます。

2回の反復計算が実行されます:
  • 1回はビーム要素で
  • 1回はソリッド要素で
結果はHyperView内で確認します。

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. optistruct.zipファイルから自身の作業ディレクトリに保存したcrank_slider.femファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  3. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

材料の生成

ここで、ビームの材料を定義します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、コンテキストメニューからCreate > Materialを選択します。
  2. Nameにmaterial1と入力します。
    新しい材料material1が作成されました。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageには、MAT1を選択します。
  5. Eに200000000と入力します。
  6. NUに0.3と入力します。
  7. RHOに7200と入力します。

プロパティの生成

ここで、ビームのプロパティを作成します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、コンテキストメニューからCreate > Propertyを選択します。
  2. Nameにproperty1と入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card ImageにPBEAMを選択し、確認のYesをクリックします。
  5. Materialに、Unspecified > Materialをクリックします。
  6. Select Materialダイアログでを選択し、OKをクリックします。
  7. Beam Sectionを指定するため、Unspecified > Beamsectionをクリックします。
  8. Select Beamsectionダイアログでリストからrectangle section 2を選択し、OKをクリックします。
  9. Modelブラウザで、コンポーネントBEAMをクリックします。
  10. BEAMのプロパティウィンドウの下で、作成したproperty1をPropertyに設定します。
    Materialオプションが自動入力されます。

荷重と境界条件の適用

TABLED1カーブの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Curveを選択します。
  2. Nameにtableと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTABLED1を選択します。
  5. Modelブラウザで、TABLED1カーブを右クリックし、からEditを選択します。


    図 2.
  6. Closeをクリックします。
    荷重の時刻歴を定義する荷重コレクターTABLED1が生成されました。

TSTEP荷重コレクターの作成

ここで、インプラントの超弾性挙動を定義します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにtstepと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTSTEPを選択します。
  5. TSTEP_NUMに1と入力し、Enterを押します。
  6. Nに、タイムステップ数200を入力します。
  7. DTに、時間の増分0.005を入力します。
  8. Closeをクリックします。

SPC荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにspcと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、NONEを選択します。
  5. BCs > Create > Constraintsをクリックし、Constraintsパネルを開きます。
  6. nodesをクリックし、ヒンジの節点を選択します(図 3)。
  7. すべての自由度(dofs)を選択し、各自由度に0と入力します。
  8. load types=にSPCを選択します。
  9. createをクリックします。


    図 3. ヒンジの節点の拘束
  10. スライダーの中央節点(図 4)を選択し、dof1を除くすべての自由度にチェックマークを入れます。
    これは、dof1が唯一アクティブな自由度であることを示します。


    図 4. スライダーの中央節点に適用される拘束
  11. createreturnをクリックします。
    1つの荷重コレクター内で2つの節点が拘束されます。

SPC1荷重コレクターの作成

ここで、もう1つのSPC荷重コレクターが作成されます。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにspc1と入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、NONEを選択します。
  5. BCs > Create > Constraintsをクリックし、Constraintsパネルを開きます。
  6. クランクの1つ目の節点(図 5)を選択します。
  7. dof4を除くすべての自由度にチェックマークを入れます。
    これは、dof4が唯一アクティブな自由度であることを示します。


    図 5. クランクの中央節点に適用される拘束
  8. load types=にSPCを選択します。
  9. createreturnをクリックします。

SPCD荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにspcdと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、NONEを選択します。
  5. BCs > Create > Constraintsをクリックし、Constraintsパネルを開きます。
  6. クランクの1つ目の節点を選択します。
  7. dof4を除いてすべての自由度(dofs)にチェックマークを入れ、各自由度に0と入力します。
  8. DoF4に値3.14を入力し、キーを押します。
    これは、dof4が唯一アクティブな自由度であることを示します。
  9. load types=にSPCDを選択します。
  10. createreturnをクリックします。

SPCADD荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにspcaddと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、SPCADDを選択します。
  5. SPCADD_Num_Setに2と入力します。
  6. Data欄の横にあるTableアイコンtable_pencilをクリックし、ポップアウトウィンドウで次の値を入力します。


    図 6.

GRAV荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにgravと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからGRAVを選択します。
  5. Gに9.8を入力します。
  6. N3に-1.0を入力します。

TLOAD荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにtloadと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTLOAD1を選択します。
  5. EXCITEIDに、Unspecified > Loadcolをクリックします。
  6. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからspcdを選択します。
  7. Typeに、VELOを選択します。
  8. TIDにtableを選択します。

tload_grav荷重コレクターの作成

ここでもう一つ、TLOAD荷重コレクターを作成します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにtload_gravと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからTLOADを選択します。
  5. EXCITEDに、Unspecified > Loadcolをクリックします。
  6. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからgravを選択します。
  7. TYPEにLOADを選択します。
  8. TIDにtableを選択します。

DLOAD荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにdloadと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンリストからDLOADを選択します。
  5. S (scale factor)に1.0と入力します。
  6. DLOAD_NUMに2を入力します。
  7. dataにtloadtload_gravを選択し、両方の荷重のスケールファクターとして1と入力します。
  8. Closeをクリックします。

NLPARM荷重コレクターの作成

非線形陰解法パラメータが定義されます。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにnlParmと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからNLPARMを選択します。
  5. NINCに200と入力します。
  6. DTに0.005と入力します。

NLADAPT荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにnladaptと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからNLADAPTを選択します。
  5. DTMAXに0.005と入力します。
  6. DTMINに1e-05と入力します。
  7. NCUTSに5と入力します。

NLMON荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにnlmonと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからNLMONを選択します。
  5. ITEMにDISPを選択します。
  6. INTにITERを選択します。

NLOUT荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにNLOUTと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからNLOUTを選択します。
  5. NINTに200と入力します。

荷重ステップの作成

ここでは、非線形過渡荷重ステップを作成します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
    デフォルトの荷重コレクターがエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameに loadstep1と入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. TypeにドロップダウンメニューからNonlinear transientを選択します。
  5. SPCにspcaddを選択します。
  6. TSTEPにtstepを選択します。
  7. NLPARM(LGDISP)に、nlparmを選択します。
  8. DLOADに、荷重コレクターのリストからdloadを選択します。
  9. NLADAPTに、荷重コレクターのリストからNLAdaptを選択します。
  10. NLOUTにNLoutを選択します。
  11. SUBCASE OPTIONの下でANALYSISをトグルし、TYPE DTRANを選択します。
  12. NLMONを有効にし、nlmonを選択します。

出力コントロールパラメータの定義

  1. Analysisページからcontrol cardsをクリックします。
  2. GLOBAL_OUTPUT_REQUESTをクリックします。
  3. DISPLACEMENTの下で、OptionをYesに設定し、Output formatにH3Dを選択します。
  4. FormatにPLOTを選択します。
  5. returnを2回クリックし、メインメニューに進みます。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 7. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名として crank_slider.femと入力します。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、ジョブをサブミットします。
    ジョブが成功した場合、crank_slider.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、crank_slider.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。
    そのディレクトリに書かれるデフォルトのファイルは:
    slider_crank.html
    問題の定式と解析結果のサマリーに関する解析のHTMLレポート。
    slider_crank.out
    シミュレーション開始前のモデルチェック、非線形反復計算履歴、および実行結果のいくつかの基礎的情報を与えるASCIIベースの出力ファイル。
    slider_crank.h3d
    圧縮されたHyperViewバイナリ結果ファイル。
    slider_crank.stat
    解析のプロセスの間のそれぞれのステップでのCPU情報を提供する、解析のプロセスの要約。

結果の表示

  1. コマンドウィンドウにProcess completed successfullyというメッセージが現われたら、 HyperViewをクリックします。
  2. 結果を開き、100%載荷における変位とフォンミーゼス応力コンターをプロットします。
  3. ツールバー上でresultsContour-16(Contour)をクリックします。
  4. Result typeの下で、1つ目のドロップダウンメニューからElement Stresses (2D & 3D)(t)を選択します。
  5. Result typeの下で、2つ目のドロップダウンメニューからvonMisesを選択します。


    図 8. Contourパネル
  6. Contour panel内の欄が図 8内のものと一致することを確認し、Applyをクリックします。


    図 9. スライダークランクの変位コンター. Time = 0.98 sec