OS-T:1372 円筒形中空ローターのローターダイナミクス

本チュートリアルでは、円筒形中空ローターについて、ローターダイナミクス解析を行います。

回転するコンポーネントには、ジャイロ力や円運動減衰力などの力が存在し、それらは応答のスタディにおいて重要となります。システム全体での回転するコンポーネントの影響を判断することが重要です。ここでは、0、10K、30Kおよび50K RPMについて、複素固有値解析が実行されます。

解析の目的は、臨界周波数を特定し、ローターに静的不均衡が存在する場合のキャンベル線図を生成することにあります。臨界周波数では、前方 / 後方の円筒 / 円錐旋回(モード形状)が見られます。

os_1372_model
図 1. モデルのレビュー
rotor.femファイルデータ
  • ローターについて、梁要素を使って1次元ラインメッシュが生成されている
  • ローターは、Material MAT1で定義されている
  • ローターは、Beam Propertyで定義されている
  • モデル内でSPC条件が定義されている

    os_1372_bar
    図 2.

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したrotor.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

EIGRLおよびEIGCカードの生成

このステップでは、複素固有値問題を解くのにモーダル法が用いられます。これは、複素モードを直接取り出すのと比べてより効率的に計算できます。このアプローチでは、最初に、実モードがノーマルモード解析を通して計算されます。次に、複素固有値問題が、実モードで表現できる部分空間に投影されて形成されます。そして、これは実空間に比べてずっと小さくなります。ここでは、EIGRLカードとEIGCカードの両方が定義される必要があります。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Name欄にEIGRLと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageをクリックし、ドロップダウンメニューからEIGRLを選択します。
  5. V2をクリックし、250.0と入力します。
    周波数の上限として、250.0が定義されます。
  6. EIGCという名称で、もう1つの荷重コレクターを作成します。
  7. Card ImageをクリックしEIGCを選択します。
  8. NORMをクリックしMAXを選択します。
    固有ベクトルの正規化にMAXオプションが用いられます。
  9. ND0をクリックし、55と入力します。
    取り出される根の数の目標は55となります。

ローターラインモデル上の節点の定義

  1. Modelブラウザを右クリックし、Create > SETを選択します。
  2. Nameをクリックし、ROTORG_SETと入力します。
  3. Card Imageをクリックし、ドロップダウンメニューからROTORGを選択します。
  4. Entity IDsをクリックし、nodesをクリックします。
  5. nodes by collectorをクリックしCBEAM、続いてproceedを選択します。
  6. RSPINR欄の横のボックスにチェックマークを入れます。これは、ROTORGを解して定義された各ローターには対応するRSPINRエントリーが必要であるためです。
  7. GRIDAの横の欄をクリックし、続いてNodeをクリックします。
  8. 選択のパネルでNodeをクリックし、ID=欄に10000と入力します。
  9. 同様に、GRIDBに10001と入力します。
  10. SPTIDの横の欄をクリックし、1.0と入力します。

RSPEED荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameをクリックし、RSPEEDと入力します。
  3. Card Imageをクリックし、ドロップダウンメニューからRSPEEDを選択します。
  4. S1をクリックし、0.0と入力します。これは、最初の参照ローター速度です。
  5. DSをクリックし、10000.0と入力します。これは、参照ローター速度の増分です。
  6. NDSをクリックし、5と入力します。これは、参照ローター速度の増分数です。

RGYRO荷重コレクターの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameをクリックし、RGYROと入力します。
  3. Card Imageをクリックし、ドロップダウンメニューからRGYROを選択します。
  4. SYNCFLGをクリックし、ドロップダウンメニューからASYNCを選択します。
    ヒント: これは、非同期ローターダイナミクス解析を実行するために設定されます。
  5. REFROTRをクリックし、setをクリックします。
  6. ROTORG_SETを選択し、OKをクリックします。
  7. SPEED_IDの横の欄にチェックを入れます。
  8. SPEEDの横の欄でUnspecified > Loadcolをクリックし、ポップアップウィンドウからRSPEEDを選択します。

モーダル複素固有値解析の荷重ステップの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  2. Name欄にRotor Dynamicsと入力します。
  3. Analysis typeをクリックし、ドロップダウンメニューからComplex eigen (modal)を選択します。
  4. SPCに、荷重コレクターのリストからSPCを選択します。
  5. CMETHODに、荷重コレクターのリストからEIGCを選択します。
  6. METHOD(STRUCT)に、荷重コレクターのリストからEIGRLを選択します。
  7. SUBCASE OPTIONSの下で、RGYRO、続いてRGYRO_IDの横の欄にチェックマークを入れます。
  8. IDの横の欄をクリックし、荷重コレクターRGYROを選択します。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 3. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてrotor_asyncと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、rotor_async.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、rotor_async.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。

モデルの実行

  1. Modelブラウザ内で、RGYROカードをクリックします。
  2. SYNCFLGをクリックし、ドロップダウンメニューで、ASYNCをASYNCに変更します。

  1. AnalysisページからOptiStructパネルに入ります。
  2. input file欄に続くSave asをクリックします。
    Save Asブラウザウィンドウが開きます。
  3. ファイルを書き出したいディレクトリを選択し、ファイル名:欄に名称rotor_sync.femを入力します。
  4. Saveをクリックします。
    注: input file:欄には、ファイルの名称と位置が表示されるようになりました。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをAnalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックします。これでOptiStructジョブが起動します。

ジョブが成功した場合、OptiStructモデルファイルが書かれたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。rotor_sync.outファイルには、エラーが表示された場合に入力デックのデバックを行う際の手助けとなるエラーメッセージが収められています。

結果の表示

複素固有値解析では構造の複素モードが計算されます。その複素モードの固有値は、rotor_async.outファイルで見ることができます。複素固有ベクトルは、HyperViewで確認できます。
  1. HyperViewrotor_async.outを確認します。キャンベル線図(Campbell Diagram)を作成し、交差ポイントにおける臨界周波数を確認するため、Campbell Diagram Instructionsを選択します。

    os_1372_campbell_diagram
    図 4.
    HyperView内のTableViewでは、臨界周波数についてのサマリーが与えられます。

    os_1372_tableview_summary
    図 5.
  2. rotor_sync.outファイルをテキストエディタに読み込みます。
    同期ローターダイナミクス解析から得られた周波数は、臨界周波数を表わしています。複素モードは虚部を含んでおり、それは振動の周波数を、その実部はモードの減衰を表しています。実部が負の場合、そのモードは安定していると言えます。実部が正の場合、そのモードは不安定となります。

    os_1372_text_editor
    図 6. 複素モードの固有値
  3. 交差ポイントから得られた臨界周波数と、rotor_sync.outファイルで得られた周波数を比較して検討します。
  4. rotor_async.h3dファイルをHyperViewに読み込み、以下の円筒および円錐モード形状を検証します。
    RPM Cylindrical Modes Forward

    Mode #3

    Cylindrical Modes Backward

    Mode #4

    Conical Modes Forward

    Mode #5

    Conical Modes Backward

    Mode #6

    10,000 2.802E+00 2.802E+00 1.248E+01 1.248E
    30,000 2.802E+00 2.802E+00 1.201E+01 1.201E+01
    50,000 2.802E+00 2.802E+00 1.058E+01 1.058E+1