OS-T:2060 対称性と型抜き方向制約の同時適用

本チュートリアルでは、対称性と型抜き方向制約を同時に適用し、自動車のコントロールアームについてトポロジー最適化を実行します。

本演習では、OS-T:2010 自動車用コントロールアームの設計コンセプトで考察したものと同じ最適化問題を用いますが、対称性制約と型抜き方向制御を同時に適用する効果をより明らかにするため、細かいメッシュを使用します。設計領域(青色)および非設計領域(赤色)を含む、荷重と制約条件が適用された構造モデルの有限要素メッシュ。

2060_model
図 1.
最適化問題の設定は次のとおりです:
目的関数
体積の最小化
制約条件
SUBCASE 1: 荷重載荷点における結果変位が0.05mm未満。
SUBCASE 2:荷重載荷点における結果変位が0.02mm未満。
SUBCASE 3:荷重載荷点における結果変位が0.04mm未満。
設計変数
要素密度

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したcarm_draw_symm.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

最適化のセットアップ

対称性および型抜き方向製造性制約の定義

  1. Analysisページからパネルoptimizationをクリックします。
  2. topologyパネルをクリックします。
  3. 最小部材寸法を定義します。
    1. reviewをクリックしsolidを選択します。
    2. parametersサブパネルを選択します。
    3. minmemb offからmindimに切り替え、16.0と入力します。
      これは、構造部材の直径または板厚がいずれも16 mmより大きくなるよう強制します。ユーザーによりこれが定義されない場合、OptiStructが平均メッシュサイズに基づいて最小部材寸法を自動的に選択します(製造性制約が選択されている場合)。

      2060_parameters_subpanel
      図 2.
    4. updateをクリックし、最小部材寸法の設定を確定します。
  4. 型抜き方向を定義します。
    1. drawサブパネルを選択します。
    2. draw typeをsingleに設定します。
    3. anchor nodeおよびfirst nodeセレクターを使って、図 3に示す節点を選択します。
      これら2つの節点は、Z軸の正方向のベクトルを定義します。これは、ダイの型抜き方向がZ軸の正方向であることを定義します。


      図 3.
    4. Obstacle: プロパティセレクターを使って、nondesignプロパティを選択します。
  5. 対称性制約を定義します。
    1. pattern groupingサブパネルを選択します。
    2. pattern typeを1-pln symに設定します。
    3. anchor nodeをクリックし、id=欄に1と入力します。
      IDが1である節点が選択されます。
    4. first nodeをクリックし、id=欄に2と入力します。
      IDが2である節点が選択されます。
    5. updateをクリックします。
      これら2つの節点は、Z軸の負方向のベクトルを定義します。すなわち、対称面はZ軸に垂直な平面(Y-Z面と同じ)でアンカー節点を通過するとして定義されます。
  6. returnを2回クリックし、Analysisページに戻ります。

最適化の実行

  1. AnalysisページからOptiStructをクリックします。
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてcarm_draw_symm_completeと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをoptimizationにセットします。
  7. memoryオプションをupper limit in Mbにし、2000と入力します。
  8. OptiStructをクリックして最適化を実行します。
    ジョブが完了すると、ウィンドウ内に次のようなメッセージが現れます:
    OPTIMIZATION HAS CONVERGED.
    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED).
    エラーがある場合、OptiStructはエラーメッセージも出します。エラーに関する詳細は、テキストエディタでファイル carm_draw_symm_complete.outを開いて確認することができます。このファイルは同じディレクトリ内に.femファイルとして書き出されます。
  9. Closeをクリックします。

結果の表示

要素密度の結果はすべての反復計算について、OptiStructからcarm_draw_symm_complete_des.h3dファイルに出力されます。また、変位および応力の結果は、デフォルトで最初と最後の反復計算の各サブケースについて、carm_draw_symm_complete_s#.h3dファイルに出力されます(#はサブケースID)。

密度結果のコンタープロットの表示

境界条件が正しく定義されているか、また、モデルが予測した通り変形しているかを確認するためには、モデルの変形形状を表示させると役立ちます。これらの解析結果は、pages 2、3、4にあります。最適化反復計算結果(Element Densities)は最初のページに読み込まれています。
  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewHyperMesh Desktop内で起動し、3つの.h3dファイルすべてが異なるページに読み込まれます。
  2. アプリケーションの上部右側でpagePrevious-24をクリックし、結果が最適化反復計算に対応していることを表すDesign Historyページに戻ります。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-24をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. Result typeがElement Densities[s]およびDensityに設定されていることを確認します。
    これは、carm_draw_symm_complete_des.h3dファイル内の唯一の結果タイプです。
  5. Averaging MethodをSimpleに設定します。
  6. Applyをクリックし、密度のコンターを表示します。
    コンターはすべて青色となっています。これは、結果が最初の設計ステップまたは反復計算0であるためです。
  7. Resultsブラウザから、リストされている最終反復計算を選択します。
    モデル内の各要素に、選択された反復計算についての各要素の密度値を示すレジェンドカラーが割り当てられます。

    2060_contour_plot
    図 4.

要素密度のアイソバリュープロットの表示

アイソバリュープロットは、要素密度についての情報を提供します。アイソバリューは、一定の密度しきい値以上の要素すべてを保持しています。各自のニーズに合った構造を与える密度しきい値を選んでください。
  1. ResultsツールバーでresultsIso-24をクリックし、Iso Valueパネルを開きます。
  2. Result typeをElement Densitiesに設定します。
  3. Applyをクリックします。
    アイソバリュープロットが表示されます。
  4. 密度しきい値を変更します。
    • Current value欄に0.2と入力します。
    • Current valueの下のスライダーを動かします。
    密度のしきい値を更新すると、モデリングウィンドウに表示されているアイソバリューもインタラクティブに更新します。このツールを使用して、OptiStructからの材料レイアウトおよび荷重のパスを見易くしてください。
    密度値が0.2以上であるモデル内のパートは色付きで、それ以外のパートは透明で表示されます。

    2060_iso_value_plot
    図 5. 要素密度のアイソバリュープロット
確認事項:
要素のほとんどは密度値1または0に収束していますか?
トポロジー最適化の結果、もし中間密度を持った要素が多い場合はDISCRETEパラメータの値を調整する必要があります。DISCRETEパラメータ(Optimization panelのOpti controlパネルで設定)は、中間密度が少なく解釈し易い結果を得ることができるよう、中間密度を持った要素の密度を1または0に近づけるために使用します。
このモデルでは、メッシュを改良することで、より離散的な解が得られるはずですが、本チュートリアルについては、現状のメッシュと結果で満足するものとします。
このコンターで、材料補強が必要となる領域は密度値が1.0として表示されます。材料補強が必要ではない領域は密度値が0.0として表示されます。
画面中のmax =は1.0e+00になっていますか?
このモデルではそうなっているはずです。
なっていない場合、最適化が十分進められていません。反復回数を増やすか、OBJTOLパラメータ(opti controlパネルで設定)を減らしてください。
DISCRETEパラメータの調整、メッシュの改良および/または目的関数のトレランスを減らしても、より離散的な解が得られない(要素がいずれも密度値1.0にならない)場合、最適化問題の設定を見直したほうがよいかもしれません。定義された制約条件のいずれかが与えられた目的関数について達成され得ない(或いはその逆の)可能性があります。
与えられた制約条件下で、体積は最小となっていますか?
変位の制約条件は満たされていますか?