トポグラフィー最適化

形状最適化が高度化されたもので、与えられた部品の設計領域を定義し、その領域内で形状変数ベースの材料補強パターンをOptiStructで生成します。

トポグラフィー最適化のアプローチは、トポロジー最適化のアプローチに似ていますが、密度変数ではなく、形状変数を使用する点が異なります。設計領域はさらに多くの独立した変数に分割され、一連の反復計算を通じて、構造に対するこれら変数の影響が算出され、最適化されます。形状変数が少数に限定されず、多くの形状変数を使用することにより、設計領域内で任意の材料補強パターンを作成できます。

現時点では、目的関数または制約条件として、次の応答(説明は応答を参照)が使用可能です。
質量 1 体積 1 重心位置
慣性モーメント 静的コンプライアンス 静的変位
周波数 座屈係数 静的応力、ひずみ、要素力
複合材の静的応力、ひずみ、破壊指数 周波数応答変位、速度、加速度 周波数応答応力、ひずみ、要素力
重み付きコンプライアンス 重み付き周波数 コンプライアンスの重ね合わせによる指標
関数 ビード離散化率 温度

設計変数

OptiStructでは、内部的に生成された形状変数による形状最適化を使用して、トポグラフィー最適化問題を解析します。

1つまたは複数の設計領域は、DTPGカードを使って定義します。これらのカードは、DESVARPSHELLまたはPCOMP定義を参照する必要があります。DESVAR定義を参照する場合、この定義は形状設計変数であることが必要です。これは、1つまたは複数のDVGRIDカードから参照する必要があることを意味します。PSHELL定義またはPCOMP定義を参照する場合、OptiStructでは、DTPGカードに定義されたパラメータを使用して形状変数を生成し、PSHELL定義またはPCOMP定義に関連付けられた節点の内部DVGRIDデータを作成します。どちらの場合でも、最終的には、それぞれのDTPGカードが単一の形状変数を参照することになります。この形状変数は、トポグラフィー形状変数に変換されます。

基本的なトポグラフィー形状変数は、DTPGカード(最小ビード幅およびドロー角度)のユーザー定義パラメーターに従い、形状は円で、ほぼ六角形に分布して設計ドメイン全域にレイアウトされます。各トポグラフィー形状変数には、直径が最小ビード幅に等しい円形の中央領域があります。この領域の節点にはグループとして摂動が設定され、最小ビード幅より小さい補強ビードの形成を防止します。トポグラフィー変数中央の円形領域の外にある節点には、最も近い変数の平均として摂動が設定されます。これにより、隣接する変数間の移行がスムーズに行われます。2つの隣接する変数に自由な摂動が設定されている場合、これらの間にある節点すべてに自由な摂動が設定されます。ある1つの変数に自由な摂動が設定され、その近隣の変数には摂動が設定されていない場合、その間にある節点はドロー角度に等しい角度でそれらを結ぶスムーズなスロープを形成します。変数の間隔は、ビード補強パターンのどの部分もドロー角度より大きな角度を形成しないように、最小ビード幅とドロー角度により決まります。

パターングルーピングオプションは、目的の補強パターンが形成されるように、トポグラフィー変数とリンクします。linear、planar、circular、radialなどの形状を持つ補強は、単一の変数により、その補強が目的のパターンに従うように制御されます。1-plane、2-plane、3-plane、およびcyclicalの各対称性パターングルーピングオプションも、同様のアプローチにより、解に対称性が生成されるようにします。

トポグラフィー最適化は、主にシェル要素にビードタイプの補強を作成するためのツールですが、ソリッドモデルにも使用できます。ソリッドモデルは効果的に3次元問題を2次元問題にできるため、多くのパターングルーピングオプション(planar、cylindricalなど)は、ソリッドモデルでの使用が意図されています。

変数生成

DTPGカードを使用してトポグラフィー最適化の形状変数を自動的に生成する方法は3つあります。そのうちの2つである、要素の法線による方法とドローベクトルによる方法は、そのすべてをOptiStructで実行できます。3番目のユーザー定義による方法では、設計ドメインとして使用される1つ以上の形状設計変数を、入力データで指定する必要があります。
方法 内容
要素の法線 これは最も使用しやすい方法です。型抜き方向としてnormを指定すると、要素の法線ベクトルにより、形状変数のドローベクトルが定義されます。この方法は、湾曲したサーフェス、およびビードがサーフェスの法線方向に絞られる閉空間では、特に有効です。


図 1. 要素の法線によりドローベクトルを決定する方法を使用して作成されたビード
ドローベクトル この方法では、形状変数を生成する際に使用するドローベクトルを定義できます。節点の座標系で表現した、ドローベクトルのX、Y、およびZの各成分を入力します。この方法は、すべてのビードを同じ方向に絞る必要がある場合に有効です。
注: この方法を使用している間、ドロー角度は維持されない場合があります。


図 2. ドローベクトルを決定する方法を使用して作成されたビード
ユーザー定義 この方法では、トポグラフィー最適化のベクトルと高さを設定できます。PSHELLまたはPCOMPカードの代わりにDESVARカードを参照します。このDESVARカードに関連付けられたDVGRIDカードによる節点はすべて、設計領域の一部と見なされます。DESVARエントリおよびDVGRIDエントリは、設定した最小ビード幅およびドロー角度の両パラメータが反映されるように再定義されます。節点ごとのDVGRIDカードで変位ベクトルの方向と大きさが保持されるので、DTPGカードではこれらのエントリは空白のままにする必要があります。これにより、ユーザーは各節点が独自のドローベクトルとドロー高さを持つことのできる設計ドメインを作成できます。

複数のトポグラフィー設計領域

OptiStructでは、DTPGカードで定義された設計領域ごとにトポグラフィー形状変数を生成します。これにより、複数の設計領域を重ねることができます。複数の設計領域にある節点は、設計領域ごとの形状変数を構成します。自動的に生成されたビード変数の場合、ドロー高さは、その節点に作用するビード変数の数で割った数値となります。したがって、節点が、3.0mmおよび5.0mmのドロー高さを持つ2つのDTPGカードを構成している場合、ドロー高さは1.5mmおよび2.5mmとなります。このような処理を避ける場合は、単に、節点が複数の設計ドメインに存在しないようにします。2つの設計コンポーネントが互いに接触していて、設計領域がユーザー定義ではない(PSHELL定義またはPCOMP定義が参照されている)場合、平均化を回避するには、非設計要素の列をこれらの間に挿入する必要があります。ビード変数がユーザー定義である(DESVAR定義が参照されている)場合、平均化は行われません。形状変数を重複させることを意図していると見なされ、影響を与える複数のビードカード間で節点の変位が累積されます。

ビード離散化率

ビード離散化率は、トポグラフィー設計領域について形状変化の量を制御するために使用できる応答です。この応答は、1つまたは複数のトポグラフィー設計領域についての形状変化の量を表します。応答は0.0~1.0の値をとり(0.0 < BEADFRAC ≤ 1.0)、0.0は形状変化が全く起こっていないことを、1.0はトポグラフィー設計領域全体が許容され得る最大の形状変化を受けることを示します。

1 トポグラフィー最適化では、質量と体積は設計変更による影響をあまり受けないため、それらを制約条件または目的関数として使用することはお奨めできません。