ACU-T:3300 熱交換器部品のモデリング

前提条件

このチュートリアルでは、中間部に内蔵熱交換器を設けた管内部の流れの定常状態をシミュレーションする方法について説明します。このチュートリアルを開始する前に、HyperWorks 入門チュートリアルである ACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperMeshAcuSolveの基本を理解しているものとします。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperMeshおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T3300_HeatExchanger.hm をHyperMesh_tutorial_inputs.zipから抽出します。

HyperMeshデータベース(.hmファイル)には、メッシュ済みのジオメトリが含まれているため、このチュートリアルには、ジオメトリのインポートとメッシュ生成に関する手順は含まれません。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題を以下の図に示します。この問題には、内蔵熱交換器部品のボリュームを持ち、厚みが‘t’で、半径が‘r’の円筒状の管流路があります。熱交換器部品のパラメータがHEX_Inletサーフェスコンポーネントに割り当てられます。基本的には、熱交換器のモデルをサーフェスに適用し、そのサーフェス全体にわたる温度上昇によって、熱交換器の効果をモデリングします。入口から空気が0.1m/secの速度で管に流入し、熱交換器のボリュームを経て出口から流出します。



図 1.

HyperMeshモデルデータベースを開く

  1. HyperMeshを起動し、AcuSolveのユーザープロファイルを読み込みます。
    User ProfilesからAcuSolveを選択する方法については、HyperMeshの入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご参照ください。
  2. 標準ツールバーのOpen Modelアイコン をクリックします。
    Open Modelダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルACU-T3300_HeatExchanger.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
    Save Model Asダイアログが開きます。
  5. 名前をHeatExchangerとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてHeatExchangerと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

この手順では、シミュレーション全体に適用されるシミュレーションパラメータを設定します。

  1. Solverブラウザ01.Globalを展開してPROBLEM_DESCRIPTIONをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Analysis typeがSteady Stateに設定されていることを確認します。
  3. Temperature equationをAdvective Diffusiveに設定します。
  4. Turbulence modelをSpalart Allmarasに変更します。


    図 2.

境界条件の設定と材料モデルパラメータの割り当て

デフォルトでは、すべてのコンポーネントは壁境界条件に割り当てられます。この手順では、それを適切な境界条件に変更し、流体ボリュームに材料特性を割り当てます。
  1. Solverブラウザで、12.Surfaces > WALLを展開します。
  2. Fluidをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをFLUIDに変更します。
    2. MaterialとしてAir_HMを選択します。


    図 3.
  3. 同様に、HEXをクリックし、エンティティエディターのTypeをFLUIDに変更し、MaterialとしてAir_HMを選択します。
  4. Inletをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをINFLOWに変更します。
    2. Inflow velocity typeをCartesianに変更し、X velocityを0.1 m/secに設定します。
    3. Temperatureを273Kに設定します。
    4. Turbulence input typeをViscosity Ratioに変更します。
    5. Turbulent viscosity ratioとして値40を入力します。


    図 4.
  5. Outletをクリックします。エンティティエディターで、TypeをOUTFLOWに変更します。


    図 5.
  6. HEX_Inletをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをHEAT_EXCHANGER_COMPONENTに変更します。
    2. Heat exchanger typeがConstant Coolant Heat Rejectに設定されているのを確認します。
    3. Coolant Heat Rejectを200Wに設定します。
    4. Coolant flow rateを0.0006309m3/secに設定します。
    5. Heat exchanger thicknessを0.06mに設定します。
    6. Upstream distanceが0に設定されていることを確認します。
    7. Friction TypeをKays Londonに変更します。
    8. Core Friction Constantを20に変更します。
    9. Core Friction Exponentを-0.75に変更します。


    図 6.
  7. Wallsをクリックします。エンティティエディターで、TypeがWALLに設定されていることを確認します。
    外壁サーフェス上と界面上のサーフェスメッシュ要素は、1つのコレクターにグループ化できます。AcuSolveの高度な機能であるAuto_Wallでは、これらの要素がどの要素セットに属しているか、およびこれらの要素が内部サーフェスであるか外部サーフェスであるかに基づいて、要素をサーフェスセットに再グループ化します。このプロセスは内部で実行されるので、手動で何らかの操作を実施する必要はありません。


    図 7.
  8. モデルを保存します。

解析計算

この手順では、HyperMeshからAcuSolveを直接起動して解析を完了します。

AcuSolveの実行

  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. オプション: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. Output time stepsはAllまたはFinalに設定できます。これは定常状態解析なので、最後の時間ステップでの出力が得られれば十分です。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 8.

AcuProbeでのポスト処理

解析が進むに伴い、AcuTailウィンドウとAcuProbeウィンドウが自動的に開きます。AcuProbeを使用して、サーフェス出力と残存率をモニターします。

  1. AcuProbeウィンドウのデータツリーで、Residual Ratioを展開し、Finalを右クリックしてPlot Allを選択します。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


    図 9.
  2. 解析が収束した後、Residual RatioでFinalを右クリックしてPlot Noneを選択します。
  3. ツールバーの をクリックします。
    User Functionダイアログが開きます。
  4. NameとしてdTと入力します。
  5. Function欄でIn =と入力します。
  6. Heat Exchanger > HEX_Inletを展開します。air_temperatureを右クリックし、Copy Nameを選択します。Function欄のIn =の後に、コピーした値を貼り付けます。
  7. Function欄で改行してOut =と入力します。
  8. Heat Exchanger > HEX_Inletを展開します。coolant_temperatureを右クリックし、Copy Nameを選択します。Function欄のOut =の後に、コピーした値を貼り付けます。
  9. 次の行でvalue = Out - Inと入力します。


    図 10.
    注: 単語“value”は大文字と小文字が区別され、必ず小文字にする必要があります。先頭を大文字で入力し始めると、エラーのウィンドウが表示されます。
  10. Applyをクリックします。


    図 11.

    をクリックし、曲線の端点で領域を指定することで、その領域のプロットをズーム表示できます。下図に示すように、この問題では温度上昇が43.21Kになります。



    図 12.

要約

このチュートリアルでは、熱交換器コンポーネントを扱うシミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。メッシュ化した形状をインポートし、すべての領域に境界条件と材料特性を割り当てました。解析を計算した後、熱交換器ボリューム全体の温度上昇のプロットを作成するために、AcuProbeでユーザー関数を定義しました。