ACU-T:4101 オイラー多相モデルを使用したT接合の流れ

前提条件

このチュートリアルでは、オイラー多相モデルを用いた基本的な過渡多相流シミュレーションの設定と実行方法を説明します。このチュートリアルを開始する前に、HyperWorks 入門チュートリアルである ACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T4101_TJunction.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから抽出します。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、図 1で図式的に示されています。水-空気混合が入口からT接合菅に、搬送(水)の体積分率0.98で入ってきています。分散場の気泡の直径(diameter of the disperse field)は0.001mです。流入する搬送場(水)の流速(velocity of the incoming carrier field (Water))は1.5m/sですが、分散場(気泡)の流速(velocity of the disperse field (Air))は1.6m/sに設定されています。このシミュレーションは2D問題として解析されるので、上面と底面には滑り条件が適用されます。


図 1.

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. WindowsのスタートメニューからStart > Altair <version> > HyperWorks CFDをクリックしてHyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T4101_TJunction.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をT_Junctionとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてT_Junctionと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。ジオメトリリボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

流れのセットアップ

一般的なシミュレーションパラメータの設定

  1. Flowリボンから Physicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で、Multiphase flowラジオボタンを選択します。
  3. Multifluid typeをEulerianに変更します。
  4. Eulerian materialドロップダウンメニューをクリックし、リストからMaterial Libraryを選択します。
    材料ライブラリに新しい材料モデルを作成できます。
  5. Material Libraryダイアログで、Eulerian Multiphaseを選択し、My Materialタブに切り替えて、をクリックして新しい材料モデルを追加します。
  6. マイクロダイアログで、左上隅をクリックして、名前をWaterAirEulに変更します。
  7. Carrier fieldをWaterに、Disperse fieldをAirに設定します。
  8. diameter、drag model、その他のパラメータを下図のとおりに設定します。


    図 5.
  9. 材料モデルマイクロダイアログを閉じて、Material Libraryダイアログを閉じます。
  10. Setupダイアログで、Eulerian MaterialをWaterAirEulに設定します。
  11. Time step sizeを0.01に、Final timeを1にそれぞれ設定します。Turbulence modelにSpalart-Allmarasを選択します。
  12. gravityを0, -9.81, 0に、pressure scaleをAbsoluteにそれぞれ設定します。


    図 6.
  13. Solver controls設定をクリックして、Minimum stagger iterationsを2に、Maximum stagger iterationsを4にそれぞれ設定します。


    図 7.
  14. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

材料プロパティの割り当て

  1. Flowリボンから Materialツールをクリックします。


    図 8.
  2. 材料としてWaterAirEulが割り当てられているのを確認します。
  3. ガイドバーをクリックしてツールを終了します。

流れ境界条件の定義

  1. Flowリボンから Constantツールをクリックします。


    図 9.
  2. 以下に示す入口のサーフェスをクリックします。


    図 10.
  3. マイクロダイアログで、Phasic inflowをアクティブにし、inflow velocity typeをNormalに変更します。
  4. Carrier FieldとDisperse FieldのNormal velocityに、それぞれ1.5m/sおよび1.6m/sという値を入力します。
  5. Volume fraction specification typeをValueに設定し、Carrier fluid volume fractionを0.98に設定します。


    図 11.
  6. マイクロダイアログで、Turbulenceタブをクリックします。Turbulence input typeをDirectに設定し、Eddy viscosityを0.001に設定します。


    図 12.
    注: phasic inflowがアクティブな場合は、Turbulence input typeをDirectに設定する必要があります。
  7. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  8. Outletツールをクリックします。


    図 13.
  9. 下図でハイライトされている面を選択し、マイクロダイアログの設定を確認します。


    図 14.
  10. ガイドバーをクリックすると、コマンドを実行し、ツール内に留まります。
  11. Outletツールをアクティブにしたまま、モデルを回転した後で、下図でハイライトされている面を選択します。次に、ガイドバーをクリックします。


    図 15.
  12. Slipツールをクリックします。


    図 16.
  13. 下図でハイライトされている上面と下面を選択し、ガイドバーをクリックします。


    図 17.
  14. モデルを保存します。

メッシュの生成

このチュートリアルのメッシングパラメータは、入力ファイル内にすでに設定されています。
  1. メッシュリボンから Volumeツールをクリックします。


    図 18.
    注: モデルが検証されていない場合、バッチメッシュを実行する前にシミュレーションモデルを作成するように求められます。
  2. Meshing Operationsダイアログで、Average Element sizeが0.0025に設定されていることを確認します。
    図 19.
  3. Meshをクリックします。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が実行すると、ステータスが更新され、ダイアログが閉じます。
    ヒント: メッシュジョブを右クリックし、View log fileを選択してメッシングプロセスの概要を表示します。

節点出力の定義

メッシングが終了すると、自動的にSolutionリボンに移動します。
  1. Solutionリボンから Fieldツールをクリックします。


    図 20.
    Field Outputダイアログが開きます。
  2. Write Initial Conditionsチェックボックスをアクティブにします。
  3. time intervalを1に設定します。


    図 21.

AcuSolveの実行

  1. Solutionリボンから Runツールをクリックします。


    図 22.
    Launch AcuSolveダイアログが開きます。
  2. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  3. オプション: プロセッサーの数を、環境に応じて4または8に設定します。
  4. Default initial conditionsを拡張表示し、Pre-compute flowを非選択にし、Velocity Valuesを0に設定します。Pre-compute Turbulenceのチェックをオフにします。


    図 23.
  5. RunをクリックしてAcuSolveを起動します。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が実行すると、ステータスが更新され、ダイアログが閉じます。
    ヒント: AcuSolve実行中、Run StatusダイアログでAcuSolveジョブを右クリックし、View Log Fileを選択することで、解析プロセスの状況を確認できます。

HW-CFD Postによる結果のポスト処理

この手順では、速度と場の体積分率のコンタープロットを作成します。
  1. 解析が完了した後、Run Statusダイアログで、実行するAcuSolveを右クリックし、Visualize resultsを選択します。
  2. Postリボンに結果が読み込まれたら、ビューキューブでTop面を選択し、xy平面に向きを合わせます。
  3. Boundary Groupsツールをクリックします。


    図 24.
  4. モデリングウィンドウで、上のslipサーフェスを選択します。
  5. マイクロダイアログで、display variableをvelocityに設定します。
  6. Legendのトグルスイッチをアクティブにして、legend limitsをそれぞれ0および2.5に設定します。
  7. をクリックして、カラーマップのプロパティを下図のとおりに設定します。


    図 25.
  8. ガイドバーをクリックし、速度のコンタープロットを作成します。


    図 26.
  9. Postブラウザで、Boundary Group 7を右クリックしてEditを選択します。
  10. マイクロダイアログで、display variableをvolume fraction: airに変更し、legend limitsを00.1に設定します。
  11. ガイドバーをクリックし、体積分率のコンタープロットを作成します。


    図 27.

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用し、AcuSolveで使用可能なオイラー多相モデルを使用して多相流シミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。まず、HyperWorks CFD入力データベースをインポートして、流れの設定を定義しました。解が計算された後に、HyperWorks CFD Postを使用して、速度と場の体積分率のコンタープロットを作成しました。