ACU-T:6501 物理速度を伴う多孔質媒体を通る流れ

前提条件

このチュートリアルでは、物理速度の入力方法を使用して指定された、多孔質媒体を通過する流れのシミュレーションの設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このチュートリアルを開始する前に、HyperWorks 入門チュートリアルである ACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T6501_PorousMediaPhysical.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから抽出します。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題を以下の図に示します。この問題には、流れの部分に多孔質媒体による円筒状流路があります。この部分を流れが通過すると、圧力の低下が観測されます。このシミュレーションでは、流入速度を流れに割り当て、多孔質媒体の両端間に発生する圧力低下を計算します。多孔質部分の長さは0.06mで、流体は密度が1.225kg/m3の空気流体、その分子粘性は1.781e-5kg/m-sとして定義されます。流れの流入速度は0.2m/sです。



図 1.

多孔性は全体ボリュームに対する流体ボリュームの比率として定義されます。空塔速度のアプローチによって、多孔性は1に設定され、流れに対する妨害はないものとして流速が計算されます。物理速度を伴う多孔質媒体を使用すると、流速の計算時にボリュームの多孔性が考慮されます。これにより、これらのコンポーネント内の流れについてさらに多くの物理表現が可能になります。このチュートリアルでは、Porosityの値に0.5を使用します。

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. WindowsのスタートメニューからStart > Altair <version> > HyperWorks CFDをクリックしてHyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T6501_PorousMediaPhysical.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をPorousMediaPhysicalとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてPorousMediaPhysicalと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。ジオメトリリボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

流れのセットアップ

シミュレーションパラメーターとソルバーの設定

  1. Flowリボンから Physicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Time frequencyをSteadyに設定します。
    2. Turbulence modelにLaminarを選択します。


    図 5.
  3. Solver controls設定をクリックします。
  4. Steady update factorとSteady maximum stepsがそれぞれ、0.6100に設定されているのを確認します。


    図 6.
  5. Advanced controls設定をクリックします。
  6. Porous media velocity typeがPhysicalに設定されているのを確認します。


    図 7.

材料プロパティの割り当て

  1. Flowリボンから Materialツールをクリックします。


    図 8.
  2. モデルの3つのソリッドに材料Airが割り当てられているのを確認します。


    図 9.

多孔質媒体の定義

  1. FlowリボンのPorousツールグループから、Cartesian Porous Mediaツールをクリックします。


    図 10.
  2. モデルの中央のソリッドを選択します。


    図 11.
  3. ガイドバーOrientationをクリックします。
  4. 左クリックして、選択したソリッドの任意の場所にポイントを配置します。
  5. マイクロダイアログで、係数に以下の値を入力します。


    図 12.
  6. マイクロダイアログで、をクリックしてOrientツールを開き、グローバルX軸に向きが合っていることを確認します。


    図 13.
  7. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。

流れ境界条件の割り当て

  1. FlowリボンのProfiledツールグループから、Profiled Inletツールをクリックします。


    図 14.
  2. 入口面を選択します。


    図 15.
  3. マイクロダイアログで、Average Velocityの値を0.2に設定します。


    図 16.
  4. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  5. Outletツールをクリックします。


    図 17.
  6. 出口面を選択します。


    図 18.
  7. デフォルトパラメータを受け入れて、ガイドバーをクリックします。

メッシュの生成

このチュートリアルで使用するメッシュパラメータはすでに入力ファイルで設定されています。
  1. メッシュリボンから Volumeツールをクリックします。


    図 19.
    Meshing Operations ダイアログが開きます。
    注: モデルが検証されていない場合、バッチメッシュを実行する前にシミュレーションモデルを作成するように求められます。
  2. Average element sizeが0.01に設定されていることを確認します。
  3. その他すべてのデフォルト設定を受け入れます。


    図 20.
  4. Meshをクリックします。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が実行すると、ステータスが更新され、ダイアログが閉じます。
    ヒント: メッシュジョブを右クリックし、View log fileを選択してメッシングプロセスの概要を表示します。

AcuSolveの実行

  1. Solutionリボンから Runツールをクリックします。


    図 21.
  2. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  3. オプション: プロセッサーの数を、環境に応じて4または8に設定します。
  4. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、RunをクリックしてAcuSolveを起動します。


    図 22.
    Run Statusダイアログが開きます。解析が実行すると、ステータスが更新され、ダイアログが閉じます。

結果のポスト処理

解析が進むに伴い、HyperWorks CFDを使用して、解析におけるさまざまな変数をモニターできます。この手順では、残差指標の値をプロットして、多孔質部分全体にわたる圧力低下を計算します。
  1. Solutionリボンから Plotツールをクリックします。


    図 23.
  2. Plot UtilityダイアログのLibraryタブの下で、Residual Ratioをダブルクリックします。
    圧力と速度の両方の残差指標が表示されます。


    図 24.
  3. 解析が収束した後に、をクリックしてユーザー定義のプロットを追加します。
  4. TitleをPressure Dropに設定します。
  5. Y-Axis見出しで、Run Dataの横の矢印をクリックしてSurface Outputを選択します。


    図 25.
  6. areaの横の矢印をクリックしてpressureを選択します。
  7. サーフェス出力のP1P2を選択します。


    図 26.
  8. Createをクリックします。


    図 27.

要約

このチュートリアルでは、物理速度の定式を使用して、多孔質媒体による流れのシミュレーションを設定して解析する方法を知ることができました。この実装によって、流体内の多孔性の値を指定し、多孔質媒体内の流体パッキングをエミュレートすることができます。まず、HyperWorks CFD入力データベースをインポートして、多孔質媒体を定義しました。次に、流れ境界条件を割り当て、メッシュを生成しました。解析の完了後、HyperWorks CFDを使用して、多孔質部分全体の圧力低下のプロットを作成しました。