ACU-T:3200 密閉放射モデルを使用したシンプルなヘッドランプ内の放射熱伝達

前提条件

このチュートリアルでは、HyperMeshで密閉放射モデルを使用して放射熱伝達問題を設定し、AcuSolveを使用して解析する方法を紹介します。このチュートリアルを開始する前に、HyperWorks 入門チュートリアルである ACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperMeshAcuSolve、およびHyperViewの基本を理解しているものとします。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperMeshおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T3200_HeadlampEnclosure.hm をHyperMesh_tutorial_inputs.zipから抽出します。

HyperMeshデータベース(.hmファイル)には、メッシュ済みのジオメトリが含まれているため、このチュートリアルには、ジオメトリのインポートとメッシュ生成に関する手順は含まれません。

問題の説明

ここで解析する問題を、Figure 1Figure 2で図示しています。この問題は、ハウジング、レンズ、電球からなるシンプルなヘッドランプで構成されています。電球の内部空洞は空気で満たされており、体積熱源としてモデル化されている電球のワット数は1Wです。流体ボリューム内の自然対流の影響を考慮するために、空気に対してブシネスク密度モデルが使用されます。電球内で発生する熱は3つの形で伝達されます。すなわち、電球からハウジングへの伝導、空気ボリューム内の自然対流、電球サーフェスから他のサーフェスへの放射です。ヘッドランプの外側サーフェスの外部基準温度は300Kです。密閉放射モデルを使用して、サーフェス間の放射をシミュレートします。


Figure 1.
AcuSolveにおける密閉放射手法では、形態係数の計算と熱流束の追加という2つのステップからなるプロセスを実行します。形態係数は、あるサーフェスからの放射のうち、別のサーフェスに入射する比率を示します。ソルバー実行時に形態係数が計算され、放射熱流束がエネルギー方程式に追加されます。これらの放射熱流束は、シュテファン・ボルツマンの法則を使用して形態係数に基づいて計算されます。密閉放射モデルは、流体媒体のみでサポートされます。


Figure 2.

HyperMeshモデルデータベースを開く

  1. HyperMesh Desktopを起動し、AcuSolveのユーザープロファイルを読み込みます。
    User ProfilesからAcuSolveを選択する方法については、HyperMeshの入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご参照ください。
  2. 標準ツールバーのOpen Modelアイコン をクリックします。
    Open Modelダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルACU-T3200_HeadlampEnclosure.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
    Save Model Asダイアログが開きます。
  5. 名前をHeadlamp_Enclosureとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてHeadlamp_Enclosureと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

解析パラメータの設定

  1. Solverブラウザ01.Globalを展開してPROBLEM_DESCRIPTIONをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Analysis typeがSteady Stateに設定されていることを確認します。
  3. Temperature equationをAdvective Diffusiveに設定します。
  4. Radiation equationをEnclosureに設定します。
  5. Turbulence model をLaminarに設定します(まだ設定されていない場合)。


    Figure 3.

ソルバー設定

  1. Solverブラウザ01.Globalの下の02.SOLVER_SETTINGSをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Temperature flowをOnにします。
  3. 残りのオプションは変更しないでください。


    Figure 4.

材料モデルと物体力の定義

材料モデルの定義

  1. Solverブラウザで、02.Materials > Fluidを展開してAir_HMをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Density typeをBoussinesqに変更します。
  3. Solverブラウザの02.MaterialsでSOLIDを右クリックしてCreateを選択します。
  4. エンティティエディターで、nameにArniteを入力します
  5. Densityを1670kg/m3に設定します。
  6. Specific heatを2050/kg-Kに設定します。
  7. Conductivityを1.65W/m-kに設定します
  8. 手順3~7を繰り返して、次の材料特性を持つPlasticおよびLEDという2つのソリッド材料モデルを作成します。
    1. Plastic:
      1. 密度 - 1270 kg/m3
      2. 比熱 - 1900 J/kg-K
      3. 伝導率 - 0.22 W/m-K
    2. LED:
      1. 密度 - 5500 kg/m3
      2. 比熱 - 0.3 J/kg-K
      3. 伝導率 - 5.0 W/m-K
  9. データベースを保存します。

物体力の定義

  1. Solverブラウザで、03.Body_Force > BODY_FORCEを展開してGravity_HMをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Y-Gravityを-9.81m/sec2 に設定し、Z-Gravityを0に変更します。


    Figure 5.

熱源の定義

  1. Solverブラウザ03.Body_Forceを右クリックしてCreateを選択します。
  2. エンティティエディターで、これにLED Heat Sourceという名前を付けます。
  3. MediumをSolidに変更します。
  4. Heat source unit typeをPer unit volumeに設定します。
  5. Heat Source typeをConstantに設定し、Volumetric heat sourceを2049180 W/m3に設定します。


    Figure 6.

境界条件の設定

放射率モデルの作成

  1. Solverブラウザ07.Emissivity_Modelを右クリックしてCreateを選択します。
  2. エンティティエディターで、nameにWallsを入力します
  3. Emissivityを0.7に設定します。

境界条件の設定

デフォルトでは、すべてのコンポーネントは壁境界条件に割り当てられます。この手順では、それを適切な境界条件に変更し、流体ボリュームに材料特性を割り当てます。
  1. Solverブラウザで、12.Surfaces > WALLを展開します。
  2. Airをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをFLUIDに変更します。
    2. MaterialをAir_HMに設定します。
    3. Body forceにGravity_HMを設定します。


    Figure 7.
  3. Housingをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをSOLIDに変更します。
    2. MaterialをPlasticに設定します。


    Figure 8.
  4. Bulbをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをSOLIDに変更します。
    2. MaterialをLEDに設定します。
    3. Body forceにLED Heat Sourceを設定します。


    Figure 9.
  5. Lensをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをSOLIDに変更します。
    2. MaterialをArniteに設定します。


    Figure 10.
  6. Lens-innerをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeがWALLに設定されていることを確認します。
    2. Radiation Surfaceタブで、Displayチェックボックスを有効にし、Activate radiation surface欄をOnに、TypeをWallに、Emissivity modelをWallsに設定します。


    Figure 11.
  7. Lens-outerをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeがWALLに設定されているのを確認し、Temperature BC typeがFluxに設定します。
    2. Convective heat flux coefficient を10J/m2-sec-Kに設定します。
    3. flux reference temperatureを300Kに設定します。


    Figure 12.
  8. Housing-innerをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeがWALLに設定されていることを確認します。
    2. Radiation Surfaceタブで、Displayチェックボックスを有効にし、Activate radiation surface欄をOnに、TypeをWallに、Emissivity modelをWallsに設定します。


    Figure 13.
  9. Housing-outerをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeがWALLに設定されているのを確認し、Temperature BC typeがFluxに設定します。
    2. Convective heat flux coefficient を10J/m2-sec-Kに設定します。
    3. flux reference temperatureを300Kに設定します。


    Figure 14.
  10. Bulb-wallsをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeがWALLに設定されていることを確認します。
    2. Radiation Surfaceタブで、Displayチェックボックスを有効にし、Activate radiation surface欄をOnに、TypeをWallに、Emissivity modelをWallsに設定します。


    Figure 15.
  11. モデルを保存します。

AcuSolveの実行

この手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. Optional: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。


    Figure 16.

HyperViewによる結果のポスト処理

このステップでは、HyperViewを使用して結果を可視化します。その際、切断面上の温度と速度のコンタープロットを作成し、速度ベクトルのプロットも作成します。ソルバーの実行が完了したらAcuProbeウィンドウとAcuTailウィンドウを閉じます。HyperMesh Desktopウィンドウで、AcuSolve Controlタブを閉じ、モデルを保存します。

HyperViewインターフェースへの切り替えとAcuSolveモデルと結果の読み込み

  1. HyperMesh Desktopウィンドウで、グラフィックスウィンドウの左下隅のClientSelectorドロップダウンをクリックします。


    Figure 17.
  2. リストからHyperViewを選択します。
  3. 表示されたポップアップダイアログで、Yesをクリックします。
    インターフェースがHyperViewに変更されます。

    HyperViewを読み込むと、デフォルトでLoad model and resultsパネルが開きます。このパネルが表示されない場合は、File > Open > Modelの順にクリックします。

  4. Load model and resultsパネルで、Load modelの隣にある をクリックします。
  5. Load Model Fileダイアログで、作業ディレクトリに移動して、ポスト処理する解析実行のAcuSolve .Logファイルを選択します。この例で選択するファイルは、Headlamp_Enclosure.1.Logです。
  6. Openをクリックします。
  7. パネル領域Applyをクリックしてモデルと結果を読み込みます。
    読み込むと、モデルが形状で色分けされます。

温度のコンタープロットの作成

  1. Resultsブラウザで、Componentsリストを展開表示し、Isolate Shownアイコンをクリックします。
  2. Ctrlを押しながら、AUTO Housing wallAUTO Bulb wallコンポーネントを選択し、電球コンポーネントとハウジングコンポーネントの壁を除くすべてのコンポーネントの表示をオフにします。


    Figure 18.
  3. Standard Viewsツールバーの をクリックすることで、xy平面を正面から見た表示にします。
  4. ResultsツールバーでをクリックしてContourパネルを開きます。
  5. パネル領域で、Result typeをTemperature (s)に変更します。
  6. Componentsエンティティセレクターをクリックします。Extended Entity Selectionダイアログで、Displayedを選択します。
  7. Applyをクリックします。
  8. パネル領域のDisplayタブで、Discrete colorオプションをオフにします。


    Figure 19.
  9. Legendタブをクリックし、Edit Legendをクリックします。表示されたダイアログで、Numeric formatをFixedに変更してOKをクリックします。


    Figure 20.

切断面上の温度コンターと速度ベクトルの表示

この手順では、中央Z平面上に切断面を作成してから、その切断面上の温度と速度ベクトルを表示します。

  1. Resultsブラウザで、すべてのコンポーネントの表示をオンにします。
  2. HV-DisplayツールバーのSection cut アイコンをクリックします。
  3. パネル領域で、Addをクリックして、Section 1という名前の新しい切断面を作成します。
  4. Define planeセクションで、軸をZ Axisに設定し、Applyをクリックします。
  5. BaseのZ座標を0.0005に設定し、Enterを押します。
  6. DisplayオプションをClipping planeからCross sectionに変更します。


    Figure 21.
  7. Gridlineをクリックします。Gridline Optionsダイアログで、Grid lineの下のShowチェックボックスを非アクティブにして、OKをクリックします。
  8. ResultsツールバーでVectorアイコンをクリックしてVectorパネルを開きます。
  9. パネル領域で、Result typeをVelocity (v)に変更します。
  10. Selectionドロップダウンをクリックし、オプションリストからSectionsを選択します。


    Figure 22.
  11. Sectionsエンティティセレクターをクリックし、Allを選択します。
  12. パネル領域で、Overlay result displayチェックボックスを有効にします(有効でない場合)。
  13. Applyをクリックします。
  14. Plotタブで、X+Y+Z Resultantオプションのみが選択されていることを確認します。
  15. Displayタブに移動して、Size scalingオプションをUniformに設定し、サイズ欄に0.0015という値を入力します。
  16. Color byオプションをDirectionに設定して、X+Y+Zの色をWhiteに設定します。


    Figure 23.
  17. Sectionタブに移動して、Projectedチェックボックスをアクティブにし、Applyをクリックします。
  18. ResultsツールバーでをクリックしてContourパネルを開きます。
  19. パネル領域で、Result typeをTemperature (s)に変更します。
  20. Componentsエンティティセレクターをクリックします。Extended Entity Selectionダイアログで、Displayedを選択します。
  21. パネル領域で、ResultタブのOverlay result displayチェックボックスを有効にします(有効でない場合)。


    Figure 24.
  22. Applyをクリックして、切断面上の速度ベクトルとともに温度のコンタープロットを作成します。


    Figure 25.
    コンタープロットを拡大表示して、ヘッドランプ内の自然対流現象を確認します。


    Figure 26.

要約

このチュートリアルでは、AcuSolveを使用して、内の密閉放射モデルにより、ヘッドランプ内の輻射伝熱問題を設定および解析する方法を学習しました。まず、メッシュと基本的なモデルの構成が含まれたHyperMeshデータベースをインポートし、シミュレーションパラメータと境界条件を設定しました。解が計算された後に、HyperViewを使用して結果を処理し、流体領域内の温度と速度ベクトルのコンタープロットを作成しました。