ACU-T:4100 代数オイラーモデルを使用した多相流

前提条件

このチュートリアルでは、管を流れる二相流の過渡シミュレーションを、代数オイラーモデルを使用して実行する手順を説明します。このチュートリアルを開始する前に、HyperWorks 入門チュートリアルである ACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorksAcuSolve、およびHyperViewの基本を理解しているものとします。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperMeshおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T4100_Disperse.hm をHyperMesh_tutorial_inputs.zipから抽出します。

HyperMeshデータベース(.hmファイル)には、メッシュ済みのジオメトリが含まれているため、このチュートリアルには、ジオメトリのインポートとメッシュ生成に関する手順は含まれません。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題を図1に示します。ここでは、例としてL管の問題を取り上げて、AcuSolveにおける分散モデリングの機能を確認します。代数オイラー(AE)モデルは、分散領域と搬送領域の間で見られる運動量交換のシミュレーションに使用します。AEモデルを使用して多相流をシミュレーションする場合は、搬送領域をより重い流体(または高密度の流体)とする必要があります。

この問題では、搬送領域の材料は水であり、分散領域の材料は空気であると考えます。流体は、1m/secの平均速度で入口から流入し、その位置での水と空気の体積分率は、それぞれ96%と4%です。



図 1.

HyperMeshモデルデータベースを開く

  1. HyperMeshを起動し、AcuSolveのユーザープロファイルを読み込みます。
    User ProfilesからAcuSolveを選択する方法については、HyperMeshの入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご参照ください。
  2. 標準ツールバーのOpen Modelアイコン をクリックします。
    Open Modelダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルACU-T4100_Disperse.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
    Save Model Asダイアログが開きます。
  5. 名前をLpipe_Disperseとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてLPipeと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

解析パラメータの設定

  1. Solverブラウザ01.Globalを展開してPROBLEM_DESCRIPTIONをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Analysis typeをTransientに変更します。
  3. Turbulence ModelをSpalart Allmarasに設定します。
  4. Multiphase equationをAlgebraic Equationに設定します。


    図 2.

ソルバー設定

  1. Solverブラウザ01.Globalの下の02.SOLVER_SETTINGSをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Max time stepsを150に設定します。
  3. Initial time incrementを0.01secに設定します。
  4. Min stagger iterationsを2に設定します。
  5. Max stagger iterationsを4に設定します。
  6. Relaxation factorを0に変更します。
  7. Flow、Turbulence、およびFieldがOnになっていることを確認します。


    図 3.

節点出力の定義

  1. Solverブラウザで、17.Outputを展開してNODAL_OUTPUTをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Time step frequencyを10に設定します。
  3. Output initial condition欄をOnにします。


    図 4.

材料モデルパラメータと物体力の設定

この手順は、多相材料モデルと物体力のパラメータの設定から開始します。つづいて、流体ボリュームにサーフェス境界条件と材料特性を割り当てます。

材料モデルパラメータの設定

  1. Solverブラウザで、02.Materials > MULTIPHASEを展開してAirWater Eulerian HMをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Field Interaction TypeがAlgebraic Eulerianに設定されていることを確認します。
  3. デフォルトでは、Carrier MaterialとしてWater_HMが設定されています。この解析では水が搬送領域なので、このオプションは変更せずに、このままとします。
  4. Number of Dispersed Fieldが1に設定されていることを確認します。


    図 5.
  5. Edit Field Interaction Models横のチェックボックスを有効にします。
    Field Interaction Modelダイアログが開きます。
  6. このダイアログで、Dispersed Field 1 MaterialがAir_HMに設定されていない場合は、そのように設定します。


    図 6.
  7. Save and Closeをクリックします。

Body Forceの設定

  1. Solverブラウザ03.Body_Forceを拡張表示し、ボリュームグループBODY_FORCEを拡張表示してGravity_HMをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Z gravityを0.0に、Y gravityを-9.81 m/sec2に設定します。


    図 7.

境界条件と節点初期状態の設定

境界条件と材料特性の割り当て

デフォルトでは、すべてのコンポーネントは壁境界条件に割り当てられます。この手順では、それを適切な境界条件に変更し、流体ボリュームに材料特性を割り当てます。
  1. Solverブラウザで、12.Surfaces > WALLを展開します。
  2. Fluidをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをMULTIPHASEに変更します。
    2. MaterialとしてAirWater_Eulerian_HMを選択します。
    3. 物体力をGravity_HMに設定します。


    図 8.
  3. Inflowをクリックします。エンティティエディターで以下を設定します。
    1. TypeをINFLOWに変更します。
    2. Inflow TypeをAverage velocityに設定します。
    3. Average velocityを1.0m/sに設定します。
    4. No. of multiphase incoming fieldsを2.0に設定して、キーボードのEnterキーを押します。


      図 9.
      Incoming Fieldsダイアログが開きます。
    5. Incoming Fieldの1行目でAir_HM_DF1.AirWater_Eulerian_Hmを選択し、そのVolume Fractionsを0.04に設定します。
    6. Incoming Fieldの2行目でWater_HM_CF.AirWater_Eulerian_Hmを選択し、そのVolume Fractionsを0.96に設定します。


      図 10.
    7. Save & Closeをクリックします。
  4. Outflowをクリックします。エンティティエディターで、TypeをOUTFLOWに変更します。


    図 11.
  5. Wallをクリックします。エンティティエディターで、TypeがWALLに設定されていることを確認します。


    図 12.
  6. Slip_1をクリックします。エンティティエディターで、TypeをSLIPに変更します。


    図 13.
  7. 同様に、Slip_2コンポーネントでもTypeをSLIPに変更します。
  8. モデルを保存します。

節点初期状態の定義

  1. Solverブラウザ01.Globalツリーを拡張表示し、ボリュームグループ03.NODAL_INITIAL_CONDITIONを拡張表示してNODAL_INITIAL_CONDITIONをクリックします。
  2. エンティティエディターで、Eddy viscosityのデフォルト値が0.0001m2/secに設定されていることを確認します。
  3. FieldタブでNo. of Fieldsを2に設定してEnterキーを押します。


    図 14.
    Fieldsダイアログが開きます。
  4. 次の図に示すように各領域を設定します。


    図 15.
  5. Save & Closeをクリックします。
  6. モデルを保存します。

解析計算

この手順では、HyperMeshからAcuSolveを直接起動して解析を完了します。

AcuSolveの実行

  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. オプション: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. Output time stepsはAllまたはFinalに設定できます。ここでは過渡解析を扱っているのでAllに設定します。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 16.

HyperViewによる結果のポスト処理

解析が収束した後、AcuProbeウィンドウとAcuTailウィンドウを閉じます。HyperMeshウィンドウに移動し、AcuSolve Controlタブを閉じます。

HyperViewのオープンとモデルおよび結果の読み込み

  1. HyperMeshのメインメニュー領域で、Applications > HyperViewを順にクリックします。
    HyperViewウィンドウを読み込むと、デフォルトでLoad model and resultsパネルが開きます。このパネルが表示されない場合は、File > Open > Modelの順にクリックします。
  2. Load model and resultsパネルで、Load modelの隣にある をクリックします。
  3. Load Model Fileダイアログで、作業ディレクトリに移動して、ポスト処理する解析実行のAcuSolve .Logファイルを選択します。この例で選択するファイルは、LPipe.1.Logです。
  4. Openをクリックします。
  5. パネル領域Applyをクリックしてモデルと結果を読み込みます。
    読み込むと、モデルが形状で色分けされます。

水の体積分率に関するコンターの作成

この手順では、シミュレーションの最後で水の体積分率のコンタープロットを作成します。
  1. Resultsブラウザで、時間を1.5秒に設定します。


    図 17.
  2. ResultsブラウザでComponentsのリストを拡張表示します。
  3. Isolate shownアイコン をクリックし、つづいてFluidコンポーネントをクリックして、Fluidコンポーネントを除くすべてのコンポーネントを非表示にします。


    図 18.
  4. Standard Viewsツールバーの をクリックすることで、xy平面を正面から見た表示にします。
  5. ResultsツールバーでをクリックしてContourパネルを開きます。
  6. Result typeの下で、先頭のドロップダウンメニューからVolume_fraction-2-Water_HM_CF.AirWater_Eulerian(s)を選択します。
  7. Componentsエンティティセレクターをクリックします。Extended Entity Selectionダイアログで、Displayedを選択します。
  8. パネル領域Applyをクリックします。
  9. パネル領域のDisplayタブで、Discrete colorオプションをオフにします。


    図 19.
  10. Legendタブをクリックし、Edit Legendをクリックします。
  11. Edit Legendダイアログで、Numeric formatをFixedに変更します。Valuesセクションで凡例に表示する最小値をクリックして、その値を0.80に設定します。同様に、最大値を1.0に設定します。


    図 20.
  12. OKをクリックしてダイアログを閉じます。
  13. フレーム16で次のようなコンタープロットが表示されることを確認します。


    図 21.

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks製品であるHyperMeshAcuSolveによる代数オイラー多相モデルを使用し、過渡多相流の問題を設定して解析するための基本的なワークフローを体験しました。まず、HyperMeshでモデルをインポートしました。次に、シミュレーションパラメータを設定して、HyperMeshから直接AcuSolveを起動しました。AcuSolveによる解析が完了した後、HyperViewを使用して結果をポスト処理し、体積分率のコンタープロットを作成しました。