ACU-T:5001 送風機 - 過渡(スライディングメッシュ)

前提条件

このチュートリアルでは、スライディングメッシュ手法を使用した遠心送風機の非定常解析の設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このチュートリアルを実行するには、ACU-T:5000 送風機 - 定常(回転フレーム)をすでに完了し、作業ディレクトリにその解が保存されている必要があります。ここでは、HyperWorks CFDおよびAcuSolveをある程度使い慣れていることを前提としています。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T5001_BlowerTransient.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから抽出します。

HyperWorks CFDデータベース(.hmファイル)はACU-T:5000 送風機 - 定常モデルを使用しているため、このチュートリアルではジオメトリのクリーンアップと入口境界条件、およびメッシュの設定を省略しています。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、図 1および図 2に図示しています。この問題は、前曲羽根付き遠心送風機で構成されています。吹き込み面を通る流体は羽根型ホイールのハブに入り、羽根を通過する際に遠心力によって放射状に加速され、吹き出し面を通って送風機のハウジングを出ていきます。



図 1. 遠心送風機の概略図
ファンの羽根の平均翼弦長および幅は0.05mで、羽根の最大厚は0.003mです。


図 2. ファンの羽根の概略図

羽根車の羽根の動的な動きを捉えるには、過渡シミュレーションとしてシミュレーションを実行する必要があります。時間ステップサイズは次の式によって決まります:

(1) ω = 1500 RPM = 25 RPS = 9000 deg/s MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaeqyYdCNaey ypa0JaaGymaiaaiwdacaaIWaGaaGimaiaaysW7caqGsbGaaeiuaiaa b2eacaqGGaGaaeypaiaabccacaqGYaGaaeynaiaabccacaqGsbGaae iuaiaabofacaqGGaGaaeypaiaabccacaqG5aGaaeimaiaabcdacaqG WaGaaeiiaiaabsgacaqGLbGaae4zaiaab+cacaqGZbaaaa@502F@ (2) Δ t = blade rotation angle per time step ω = 4.5 9000 = 0.0005 sec MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaeuiLdqKaam iDaiabg2da9maalaaabaGaaeOyaiaabYgacaqGHbGaaeizaiaabwga caqGGaGaaeOCaiaab+gacaqG0bGaaeyyaiaabshacaqGPbGaae4Bai aab6gacaqGGaGaaeyyaiaab6gacaqGNbGaaeiBaiaabwgacaqGGaGa aeiCaiaabwgacaqGYbGaaeiiaiaabshacaqGPbGaaeyBaiaabwgaca qGGaGaae4CaiaabshacaqGLbGaaeiCaaqaaiabeM8a3baacqGH9aqp daWcaaqaaiaaisdacaGGUaGaaGynaaqaaiaaiMdacaaIWaGaaGimai aaicdaaaGaeyypa0JaaGimaiaac6cacaaIWaGaaGimaiaaicdacaaI 1aGaaGjbVlaabohacaqGLbGaae4yaaaa@6945@

ここで、ωは送風機の回転速度です。新しい解析を行う際には、適切な時間ステップサイズを確定するため、常に時間ステップサイズの感度調査を行う必要があることに注意してください。

この問題のCFD解析により、遠心送風機を通過する流れに関する詳細な情報が提供されます。この挙動を調査するには、使用するのに適した境界条件セットを選択する必要があります。一般的に使用されている方法が2つあります。1つの方法は、送風機の吹き込み口での質量流量を指定し、AcuSolveで圧力を計算できるようにする、流体力シミュレーションです。もう1つの方法は、吹き込み口での全圧を指定し、この指定圧力の吹き込み口と吹き出し口間での変化からAcuSolveで流力を計算できるようにする方法です。この例で使用する境界条件は後者です。つまり、AcuSolveで羽根車の回転に基づいて質量流量と圧力の上昇を計算するように、吹き込み口では、質量流量ではなく全圧が使用されます。

この問題で扱う流体は空気であり、この空気の密度は1.225kg/m3、粘性は1.781X 10-5kg/m-secです。

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. WindowsのスタートメニューからStart > Altair <version> > HyperWorks CFDをクリックしてHyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 3.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T5001_BlowerTransient.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をBlowerTransientとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてBlowerTransient_solvedと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

流れのセットアップ

シミュレーションパラメーターとソルバーの設定

  1. Flowリボンから Physicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Time frequencyをTransientに設定します。
    2. Time step sizeを0.0005sに設定し、Final timeを0.05に設定します。


    図 5.
  3. Solver controlsをクリックします。
  4. Minimum stagger iterationsとMaximum stagger iterationsをそれぞれ26に設定します。


    図 6.
  5. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

流れ境界条件の定義

  1. FlowリボンのPressureツールグループから、Stagnation Pressureツールをクリックします。


    図 7.
  2. 吹き込み口フェイスをクリックします。


    図 8.
  3. マイクロダイアログTurbulenceタブをクリックします。
  4. Turbulence input typeをAutoに設定します。
  5. Turbulence flow typeをInternalに設定します。


    図 9.
  6. 名前を変更します。
    1. モデリングウィンドウの左側の凡例で、Stagnation pressureをダブルクリックします。
    2. Inletと入力し、Enterを押します。
  7. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  8. Outletツールをクリックします。


    図 10.
  9. 吹き出し口フェイスをクリックします。


    図 11.
  10. マイクロダイアログ、Static pressureとPressure loss factorの値が0であることを確認します。


    図 12.
  11. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。

メッシュモーションの設定

メッシュモーションタイプの定義

  1. Motionリボンから Settingsツールをクリックします。


    図 13.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Mesh motion typeをSpecifiedに変更します。
  3. Solver controls設定をクリックして、Mesh deformationチェックボックスがオフになっていることを確認します。

回転メッシュモーションの定義

  1. ハウジングソリッドを非表示にします。
    1. エンティティセレクターSolidsに設定します。
    2. 遠心ハウジングを選択します。
    3. 右クリックしてHideを選択、またはキーボードのHキーを押します。


    図 14.
  2. Rotationツールをクリックします。


    図 15.
  3. モデリングウィンドウでソリッドを選択します。
  4. ガイドバーAxisをクリックします。
  5. 回転軸を定義します。
    1. Surf Centerスナップポイントを使用して、遠心送風機の中央に軸を配置します。


      図 16.
    2. マイクロダイアログZをクリックして、軸をグローバルZ軸に沿わせます。
    3. をクリックして回転方向を変更します。
    4. テキストフィールドに157.09という値を入力します。


    図 17.
  6. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  7. モデリングウィンドウで右クリックしてShow Allを選択するか、キーボードのAキーを押して、モデル全体ビューに戻ります。

節点出力頻度の設定

  1. Solutionリボンから Fieldツールをクリックします。


    図 18.
    Field Outputダイアログが開きます。
  2. Write initial conditionsチェックボックスを有効にします。
  3. Write results at time step intervalチェックボックスを有効にします。
  4. Time step intervalを1に設定します。


    図 19.

AcuSolveの実行

  1. Solutionリボンから Runツールをクリックします。


    図 20.
  2. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  3. オプション: プロセッサーの数を、環境に応じて4または8に設定します。
  4. Automatically define pressure referenceオプションを無効にします。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、RunをクリックしてAcuSolveを起動します。


    図 21.
    ヒント: AcuSolve実行中、Run StatusダイアログでAcuSolveジョブを右クリックし、View Log Fileを選択することで、解析プロセスの状況を確認できます。

サーフェス出力のプロット

  1. Run Statusダイアログで、実行するAcuSolveを右クリックし、Plot time historyを選択します。
    プロットユーティリティは、時間ステップごとの解析の進行に伴う方程式の残差を示しています。


    図 22.
  2. をクリックして、新しいプロットを追加します。
  3. Y-Axis見出しで、Run Dataの横の矢印をクリックしてSurface Outputを選択します。


    図 23.
  4. areaの横の矢印をクリックしてmomentを選択します。
  5. Selectorにはz_momentを選択します。
  6. サーフェス出力にはbladesを選択します。


    図 24.
  7. Createをクリックします。


    図 25.

HW-CFD Postによる結果のポスト処理

この手順では、スライス平面上の圧力をプロットします。
  1. Postリボンに移動します。
  2. メニューバーFile > Open > Resultsをクリックします。
  3. 作業ディレクトリでAcuSolveログファイルを選択し、ポスト処理の結果を読み込みます。
    ソリッドとすべてのサーフェスがPostブラウザに読み込まれます。
  4. Slice Planesツールをクリックします。


    図 26.
  5. モデリングウィンドウで、x-y平面を選択します。
  6. マイクロダイアログで、をクリックして、法線方向に沿って-0.07の距離だけ平面を移動します。


    図 27.
  7. Escを押して、変換ツールのコンテキストを終了します。
  8. スライス平面のマイクロダイアログで、をクリックしてスライス平面を作成します。
  9. 表示プロパティマイクロダイアログで、Legendラジオボタンを切り替え、範囲を-12043に設定します。
  10. をクリックして、Colormap NameをRainbow Uniformに設定します。


    図 28.
  11. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  12. Postブラウザで、すべてのパートと流れ境界を非表示にします。
  13. Animationツールバーで再生ボタンをクリックします。


    図 29.
  14. File > Export > Resultsに移動して、圧力コンターのアニメーションを保存します。

要約

このチュートリアルでは、遠心送風機でのスライディングメッシュによる過渡シミュレーションを設定して解析するための基本的なワークフローを体験しました。まず、メッシュをインポートし、ケースが設定された後、AcuSolveを使用して解を生成しました。次に、Plotツールを使用して送風機の運動量を計算し、HyperWorks CFDポストを使用して切断面上の圧力のコンタープロットを作成しました。