ACU-T:5001 送風機 - 過渡(スライディングメッシュ)

前提条件

このチュートリアルでは、スライディングメッシュ手法を使用した遠心送風機の非定常解析の設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このチュートリアルを実行するには、ACU-T:5000 送風機 - 定常(回転フレーム)をすでに完了し、作業ディレクトリにその解が保存されている必要があります。ここでは、HyperMeshAcuSolve、およびHyperViewをある程度使い慣れていることを前提としています。

このチュートリアルを実行する前に、ここをクリックしてチュートリアルモデルをダウンロードしてください。 ACU-T5001_BlowerTransient.hm をHyperMesh_tutorial_inputs.zipから抽出します。

HyperMeshデータベース(.hmファイル)には、メッシュ済みのジオメトリが含まれているため、このチュートリアルには、ジオメトリのインポートとメッシュ生成に関する手順は含まれません。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、図 1で図示しています。解は、定常状態と非定常という2つの構成部分に分けられます。定常状態解が最初に計算された後、メッシュ上に投影され、過渡シミュレーションの初期状態として使用されます。この問題の定常状態解を得るための手順については、チュートリアルACU-T:5000 送風機 - 定常(回転フレーム)を参照してください。過渡解が計算されたら、HyperViewを使用して結果をポスト処理します。


図 1.

HyperMeshモデルデータベースを開く

  1. HyperMeshを起動し、AcuSolveのユーザープロファイルを読み込みます。
    User ProfilesからAcuSolveを選択する方法については、HyperMeshの入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご参照ください。
  2. 標準ツールバーのOpen Modelアイコン をクリックします。
    Open Modelダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルACU-T5001_BlowerTransient.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
    Save Model Asダイアログが開きます。
  5. 名前をBlowerTransientとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてBlowerTransientと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

定常状態シミュレーションの実行

この手順では、用意されているモデルファイルを使用して定常状態シミュレーションを実行し、過渡シミュレーションで必要な節点初期状態ファイルを作成します。
  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. オプション: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。
  5. 解析が収束した後、AcuTailウィンドウとAcuProbeウィンドウを閉じます。また、Solver job launcherタブとAcuSolve Controlタブも閉じます。
  6. WindowsのスタートメニューからStart > Altair <version> > AcuSolve Cmd PromptをクリックしてAcuSolveコマンドプロンプトを起動します。
  7. コマンドプロンプトでcdコマンドを使用して、ディレクトリを作業ディレクトリに変更します。
  8. コマンドacuProj -crd HYPERMESH.DIR\Blower_Transient.crd -run 1を入力してEnterキーを押します。
  9. 作業ディレクトリに、Blower_Transient.pres.nicBlower_Transient.vel.nicBlower_Transient.eddy.nicという新しいファイルが格納されていることを確認します。
  10. これらのファイルをHYPERMESH.DIRディレクトリに移動します。

非定常解析パラメータの設定

この手順では、非定常シミュレーション全体に適用されるシミュレーションパラメータを設定します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

  1. Solverブラウザ01.Globalを展開してPROBLEM_DESCRIPTIONをクリックします。
  2. Analysis typeをTransientに変更します。
  3. Turbulence modelをSpalart Allmarasに設定します。
  4. Mesh typeをFully Specifiedに設定します。


    図 2.

ソルバー設定

  1. Solverブラウザ01.Globalの下の02.SOLVER_SETTINGSをクリックします。
  2. Max time stepsを0に設定し、Enterキーを押します。
  3. Final timeを0.12に設定します。
  4. Initial time incrementを0.00111に設定します。
  5. Max stagger iterationsを2に変更します。
  6. Relaxation factorを0に変更します。


    図 3.

節点出力頻度の設定

  1. Solverブラウザ17.Outputを展開してNODAL_OUTPUTをクリックします。
  2. Time step frequencyを1に設定します。
  3. Output initial condition欄をOnにします。


    図 4.
  4. モデルを保存します。

メッシュモーションの定義と境界条件の設定

メッシュモーションの作成

  1. Solverブラウザ06.Mesh_Motionを右クリックしてCreateを選択します。
  2. エンティティエディターで、メッシュモーションの名前をImpeller_Motionに変更します。
  3. TypeをRotationに設定します。
  4. Rotation centerとして(0, 0, 0.05)と入力します。
  5. Angular velocity-Zを-157.08rad/secに設定します。


    図 5.

境界条件の修正

  1. Solverブラウザで、11.Volumes > FLUIDを展開します。
  2. エンティティエディターFluid_Impeller.をクリックします。
    1. Reference frameをUnspecifiedに設定します。
    2. Mesh motionをImpeller_Motionに設定します。


    図 6.

節点初期状態の指定

  1. Solverブラウザ01.Globalを展開して03.NODAL_INITIAL_CONDITIONをクリックします。
  2. エンティティエディターのPressure タブで、
    1. TypeをNodal Valuesに設定します。
    2. Select nodes byをNIC fileに変更します。
    3. NIC file欄のファイルを開くためのアイコンをクリックし、作業ディレクトリ内にあるHYPERMESH.DIRフォルダに移動します。Blower_Transient.pres.nicファイルを選択します。


    図 7.
  3. Velocity欄とEddy viscosity欄について、上記の手順を繰り返します。Blower_Transient.vel.nicファイルとBlower_Transient.eddy.nicファイルをそれぞれ選択します。
  4. モデルを保存します。

解析計算

この手順では、HyperMeshからAcuSolveを直接起動して解析を完了します。
  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. オプション: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. Output time stepsがAllに設定されているのを確認します。これは、AcuSolveは、節点出力頻度で指定されたすべての時間ステップにおいて解を書き込むことを意味します。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 8.
    解析が開始されたら、AcuSolve Controlタブが開きます。また、AcuTailウィンドウとAcuProbeウィンドウも自動的に開き、ここで解析の進行状況をモニターできます。

HyperViewによる結果のポスト処理

解析が収束した後、AcuProbeウィンドウとAcuTailウィンドウを閉じます。HyperMeshウィンドウに移動し、AcuSolve Controlタブを閉じます。

HyperViewのオープンとモデルおよび結果の読み込み

  1. HyperMeshのメインメニュー領域で、Applications > HyperViewを順にクリックします。
    HyperViewウィンドウを読み込むと、デフォルトでLoad model and resultsパネルが開きます。このパネルが表示されない場合は、File > Open > Modelの順にクリックします。
  2. Load model and resultsパネルで、Load modelの隣にある をクリックします。
  3. Load Model Fileダイアログで、作業ディレクトリに移動して、ポスト処理する解析実行のAcuSolve .Logファイルを選択します。この例で選択するファイルは、BlowerTransient.2.Logです。
  4. Openをクリックします。
  5. パネル領域Applyをクリックしてモデルと結果を読み込みます。
    読み込むと、モデルが形状で色分けされます。

圧力アニメーションの作成

この手順では、まずZ軸上の断面上に圧力コンターを作成します。次に、この圧力コンターのアニメーションを作成します。
  1. ResultsツールバーでをクリックしてContourパネルを開きます。
  2. パネル領域で、Result typeをPressure (s)に変更します。
  3. Applyをクリックし速度コンターを表示します。.
  4. パネル領域のDisplayタブで、Discrete colorオプションをオフにします。


    図 9.
  5. Legendタブをクリックし、Edit Legendをクリックします。ダイアログで、TypeをDynamic scaleに、Numeric formatをFixedに変更し、OKをクリックします。


    図 10.


    図 11.
  6. Displayツールバーで をクリックして、Section Cutパネルを開きます。
  7. パネル領域Addをクリックします。
  8. Define planeセクションで、平面をZ-Axisに設定し、Applyをクリックします。
  9. BaseのZ座標を0.05に設定し、Enterを押します。
  10. Display optionsセクションで、Cross sectionオプションを有効にします。
  11. Girdline...をクリックします。ダイアログで、Show Grid Lineオプションのチェックをはずし、OKをクリックします。


    図 12.
  12. Standard Viewsツールバーの をクリックすることで、xy平面を正面から見た表示にします。


    図 13.
  13. Animationツールバーから、Animation controlsアイコンをクリックします。


    図 14.
  14. パネル領域で、スライダーをドラッグしてMax Frame Rateを15フレーム / 秒に設定します。
  15. Start/Pause Animation アイコンをクリックして、速度のアニメーションを再生します。


    図 15.

流線の作成

  1. Displayツールバーで をクリックして、Section Cutパネルを開きます。
  2. パネル領域で、Section 1チェックボックスをオフにします。
    これにより、切断面の表示がオフになり、モデル全体が表示されます。
  3. Resultsブラウザで、Componentsのリストを拡張表示し、InletOutletAUTO Fluid_Main wallAUTO Fluid_Impeller wallを除くすべてのコンポーネントをオフにします。


    図 16.
  4. 要素表示モードをTransparent Elements and Feature Linesに変更します。


    図 17.
  5. モデルを回転して、表示されているすべてのコンポーネントがよく見えるようにします。
  6. Contourパネルに移動して、Result typeをVelocity (v)に変更し、その下のドロップダウンメニューをMagに設定します。
  7. Applyをクリックして速度をプロットします。


    図 18.
  8. ResultsツールバーでをクリックしてStreamlinesパネルを開きます。
  9. パネル領域で、Addをクリックし、Rake typeをAreaに変更します。
  10. Componentエンティティコレクターをクリックし、By IDを選択します。
  11. Select by IDダイアログで、Component IDの値欄に6を入力し、OKをクリックします。
  12. パネル領域で、Integration modeをBothに変更します。
  13. Number of seedsを50に設定します。
  14. Draw as tubeチェックボックスをオンにし、Create Streamlinesをクリックして流線を作成します。


    図 19.
    これにより、シードのある入口サーフェスを起点とし、ファンの羽根のサーフェス領域全体に分散され、出口で終了する流線が生成されます。


    図 20.
  15. パネル領域で、Tracersタブをクリックします。
  16. PuleをEndlessに変更します。
  17. 他のデフォルト値はそのままにして、Createをクリックし、トレーサーを生成します。


    図 21.


    図 22.

要約

このチュートリアルでは、スライディングメッシュ手法を使用して、遠心送風機の過渡シミュレーションを設定して解析する方法を知ることができました。まず、メッシュが生成されたジオメトリをインポートし、定常状態シミュレーションを実行しました。次に、AcuProjツールを使用した過渡シミュレーションの開始点として定常状態結果を使用して節点初期状態を指定し、移動座標系手法の代わりにスライディングメッシュ手法を使用して過渡シミュレーションを解析しました。過渡解が計算された後、HyperViewを起動して、圧力コンターと流線のアニメーションを作成しました。