一方向導体: 断面のメッシュ化

メッシュ化のタイプ

Unidirectional Conductorsの断面をメッシュ化するためのモードがいくつか用意されています。

これは次のように分類できます:

  • 手動モード: 要素の分布をユーザー側で選択します。

  • 自動モード: 周波数に応じてソフトウェア側で要素の分布が固定設定されます。

これらのモードを次の表に挙げます。以降でそれぞれのモードについて詳しく説明します。

手動離散化 説明
均一

均一分布

(要素のサイズが同一)

形状* 形状分布(周辺の要素ほどサイズが減少)
注: *Geometric Tubeから得られた、矩形断面を持つUnidirectional Conductorsの場合のみ
「自動」離散化 説明

基準になる値:

基準周波数

メッシュ化の適応基準:

プロジェクトの基準周波数

シミュレーションの品質要件を

損なうことなく、メッシュ数を削減

基準になる値:

指定の周波数*

メッシュ化の適応基準:

導体に関連する指定の周波数

この指定の周波数と基準周波数が等しい場合は、導体を自動的にメッシュ化

注: *Geometric Tubeから得られたUnidirectional Conductorsの場合のみ

均一メッシュ化

Geometric Tubeから得られた導体または同化によって一般的な形状記述から得られた導体では、この手法が同じ方法では実施されません。また、次の表に示すように、Geometric Tubesの導体断面は、矩形、不規則な中実形状、または不規則な中空形状とすることができます。したがって、ユーザーから見て必要なパラメータ設定は、これらのケースごとに異なります。

導体 説明
断面が矩形のジオメトリックチューブ
  1. 断面の2辺のどちらを細分化するかに応じて、PEEC要素の数nmをユーザーが指定する必要があります。
  2. n行、m列で規則的なメッシュがソフトウェアによって作成されるので、メッシュを構成する要素のサイズはすべて同一になります。

不規則な中実形状の断面および同化による一般的な形状記述を持つジオメトリックチューブ
  1. 断面の2辺のどちらを細分化するかに応じて、PEEC要素の数nmをユーザーが指定する必要があります。
  2. この断面を囲む矩形は、外形を構成するポイントで決まる副間隔で細分化されます。
  3. 各副間隔は、nパラメータとmパラメータで指定された要素の最大サイズを超えないように、不規則にメッシュ化されます。
  4. 形状の輪郭を正確にたどることができるように、エッジ上で高精度化する手法が自動的に適用されます。

したがって、大域的に見たメッシュは不均一になります。

不規則な中空形状の断面を持つジオメトリックチューブ
  1. 外形のどの境界を細分化するかに応じて、まずPEEC要素の最大幅を指定する必要があります。
  2. つづいて、どの層の厚みを細分化するかに応じてPEEC要素数の特定を求められます。このデフォルト値は3です。
  3. まず、断面の角部分でメッシュが生成されます。2方向のメッシュ数は、ステップ2でユーザーが指定した値によって決まります。
  4. 次に、ステップ1でユーザーが選択した最大幅を超えないように、外形の各辺が均一にメッシュ化されます。

形状メッシュ化

このメッシュ化手法は、Geometric Tubeから得られた矩形導体でのみ使用でき、主に高周波域で効率的です。

Tube Conductorの断面のメッシュ化で形状メッシュを選択する場合は、次の値を指定する必要があります:

  • 外形の2辺(幅と高さ)のどちらを細分化するかに応じたPEEC要素の数nとm
  • 幅方向の要素密度Kと高さ方向の要素密度H。この値は隣接する2要素のサイズ間の関係を表していて、正の値とする必要があります。

すべての要素のサイズはFlux PEECソフトウェアによって自動的に決まります。基本的な要素のサイズ(幅L方向のサイズaおよび高さT方向のサイズb)は次の式で計算されます:

bの値は、これらの式でLTKH、nをmにそれぞれ置き換えることで同様に計算できます。

形状メッシュの例を次の図に示します。

密度の値が1である場合は目的の方向で均一メッシュが選択されている点に注目してください。

電磁界の散乱現象を正しくモデル化するには、要素のサイズabを確実に表皮深さ程度にすることがユーザーの見地から妥当といえます。そのためには、次の手順が必要です:

  1. 要素の数nとして所望の値を選択します(3、4、5、6など)。
  2. 次の式を使用してKの最適値を計算します。

δは、§アプリケーションの選択と定義にある式で推定できる表皮深さです。

周波数に応じた自動メッシュ化

この手法は、最高品質の結果を使用すると同時に、メッシュの数を最小限にしていることから、最も効率的であると考えられます。

Geometric Tubeから得られた導体の場合、プロジェクトの基準周波数またはユーザーが選択した別の周波数を、Flux PEECソフトウェアで考慮する周波数とすることができます。どちらの周波数でもメッシュのアルゴリズムは同一です。

断面が矩形、不規則な中実形状、不規則な中空形状である場合、この手法は、上記の導体と同じようには適用されません。

一方、一般的な形状記述から同化によって得られた導体では、基準周波数に従った自動メッシュ化のみを使用できます。

それぞれのケースを次の表にまとめています。

導体 説明
断面が矩形のジオメトリックチューブ

断面の2方向の要素数はソフトウェアによって設定されます。その値は、表皮深さ(および暗黙的に周波数)に依存し、必ず5以下です。その詳細を次の表に示します。

の場合 の場合
要素の均一分布 要素の形状分布

要素のサイズを求める式:

係数Kを求める式:

各値は次のとおりです:

  • Ent(x)xよりも大きい最初の整数
  • δ: 検討対象の周波数における表皮深さ
  • L: 断面の2つのサイズのいずれか
不規則な中実形状の断面および同化による一般的な形状記述を持つジオメトリックチューブ

表皮深さ(および暗黙的に周波数)に応じて、ソフトウェアは次のようにメッシュ要素の配置処理に移行します:

  1. この断面を囲む矩形は、外形のポイントの座標で決まる副間隔で細分化されます。
  2. 外形の輪郭線をまたぐメッシュは、その輪郭線が対角線方向にメッシュと交差するように細分化されます。
  3. 形状の輪郭線を正確にたどることができるように、また表皮効果が考慮されるように、エッジに高精度化の手法が適用されます。その結果、2つほどのメッシュで表皮深さがモデル化されます。
  4. 表皮深さに取り込まれず、マージできる寸法のメッシュは、メッシュの総数を削減するためにマージされます。

不規則な中空形状の断面を持つジオメトリックチューブ

ここで使用されるアルゴリズムは、不規則な中空形状の断面の均一メッシュで使用されるアルゴリズムにきわめて似ています。相違点は次のとおりです。

形状の境界を細分化して得られるPEEC要素の最大幅は、ユーザーが選択する値ではありません。この値はソフトウェアによって自動的に選択され、基準周波数で計算した表皮深さに相当します。