境界条件

SimSolidに用意されている各種境界条件。

各解析タイプで使用できる境界条件の詳細については解析に使用できる境界条件をご参照ください。

拘束条件

静的解析では、モデルを十分に拘束して、すべての剛体のモーションが除去されるようにする必要があります。剛体のモーションは、3本の主要ジオメトリ軸(X、Y、Z)方向の並進運動とこれらの軸を中心とした回転運動として定義できます。次の拘束タイプを使用できます:
完全拘束
すべての方向への並進変位を強制的にゼロにします。モデルにある1つ以上のフェイスに適用されます。
スライダー拘束
サーフェスの法線方向の変位を強制的にゼロにします。サーフェスの接線方向の変位は拘束されません。スライダーサポートを使用して対称面を定義できます。
ヒンジ拘束
ヒンジ拘束を使用すると、円筒フェイスの中心線を軸としてパートが自由に回転できますが、円筒の半径方向と軸方向の運動は拘束されます。全体が円筒形状または部分的に円筒形状のフェイスにのみヒンジ拘束を適用できます。凹形状と凸形状の円筒フェイスが可能です。
ばねサポート
ばねサポートを使用すると、サポートに対してグローバルのX軸、Y軸、Z軸の各方向に一般的な剛性値を適用できます。必要に応じて、これらの値を体積支持係数で指定できます。広く使用されているいくつかの材料の係数が用意されています。このような材料として、コンクリート、木材、硬質ゴム、緩い土、締め固め土、鉄道パラストなどがあります。
一般的な拘束

荷重条件

圧力
圧力荷重は単位面積あたりの力であり、パートフェイスに垂直な方向に作用します。圧力は一定であると見なされます。
力 / 変位
力と規定変位の両方を1つのダイアログで定義します。力はモデルに対する荷重として指定します。指定した値は、選択したすべてのパートフェイスに適用される合力と解釈されます。荷重と規定変位は、グローバルのX軸、Y軸、Z軸の方向にのみ指定できます。
重力荷重
重力とは、アセンブリを構成するパートのボリューム全体に均一に分布したボディ荷重です。重力荷重を適用するには、その重力荷重のX方向成分、Y方向成分、Z方向成分をダイアログで指定します。符号の選択では、負数が座標と逆の方向を指す点に注意します。たとえば、Y軸方向に下向きの重力をシミュレーションするには、ダイアログのY欄に“-1”を入力します。必要に応じて、重力に対する乗算値を指定できます。この値によって重力をスケーリングすると、重力より大きい慣性力をボディ全体に適用する手段とすることができます。デフォルトは標準の1G重力荷重です。1回の解析で適用できる重力荷重は1つのみです。アセンブリから除去されていないすべてのパートに重力荷重が作用します。
慣性荷重
慣性荷重とは、パートのグループまたはアセンブリ全体に均一に分布したボディ荷重です。SIMSOLIDクラウドにおける慣性荷重は、並進慣性荷重または回転慣性荷重です。
  • 並進慣性荷重: グローバルのXYZ参照フレームの中に配置し、指定方向の加速度で指定します。重力荷重が存在すれば、並進慣性荷重は重力荷重に重畳されます。
  • 回転慣性荷重: 回転軸を基準として適用します。円筒の曲線エッジを選択して回転軸を配置します。必要に応じ、Flip axisボタンを使用して軸の方向を変更します。ボールと矢印をドラッグすると原点を目的の位置近くに配置でき、ダイアログのテキスト値でその位置を微調整できます。荷重を配置した後、軸方向加速度(α)、角速度(ω)、または角加速度(ε)に目的の値を指定し、OKを選択してダイアログを閉じます。
注: 慣性荷重は、指定方向とは逆の方向に作用します。たとえば、+X方向への加速によって、-X方向に力が発生します。指定方向に力が発生する重力荷重とは、この点で異なります。参考値を挙げると、海抜0mにおける重力の一般的な値は9.81m/s^2または386.09 in/s^2です。
慣性リリーフ

拘束されていないことから剛体として移動できる構造にアクティブな荷重を突然適用する状況で、慣性リリーフを使用して変形と応力をシミュレーションします。この構造は、並進加速度と回転加速度によって移動を開始します。

主な応用例として、飛行中の航空機や宇宙空間の衛星があります。

拘束されていない構造の解析問題に対する解は、ダランベールの原理に基づいています。この原理によれば、構造の加速度から得られる架空の慣性荷重とアクティブな荷重が相補関係にあれば、その構造は静的平衡状態にあります。したがって、慣性リリーフの解析では、適用した力と架空の慣性力が正確に釣り合うように架空の慣性力を計算し、構造のボリューム全体に分布するようにします。

SimSolidで慣性リリーフを解析するときは、構造の剛体運動を排除するような拘束を別途適用する必要はありません。アクティブな荷重だけを指定すれば、以降は自動的に解析が実行されます。

リモート荷重
リモート荷重を使用して、単一のリモート点に適用した荷重と統計的に等価な分布荷重を、選択したフェイス群に適用します。統計的に等価とは、適用したけん引力によってモデルに発生する効果が、選択した点に力またはモーメントを適用したときにモデルに発生する効果と同じになるということです。モデルに曲げやねじれなどのモーメント荷重を適用するには、リモート荷重が唯一の手段です。リモート荷重を適用するには、まずリモート点の座標を入力します。画面上のドラッグ操作でリモート点をおよその位置に配置し、ダイアログのテキスト欄を使用して位置の値を微調整します。次に、力またはモーメントの各方向成分をダイアログで入力します。
熱荷重
熱解析の結果を使用することも、温度変化が原因の変形と応力をスタディするアセンブリのすべてのパートまたは特定のパートに均一な温度を適用することもできます。
軸受荷重
軸受荷重は、回転部の領域またはフェイスに適用する不均一な圧力荷重です。この荷重は方向と拡がり角(10~180°)で指定します。回転部のフェイスは凹型でも凸型でもかまいません。このフェイス上で選択したポイントが、最初の荷重方向を示します。Load direction欄とSpread angle欄を使用すると、軸受荷重を詳しく調整できます。軸受荷重はフェイスの1つの側面にのみ適用されるので、ピンによって穴に荷重が伝達される様子を正確に表現できます。
静水圧
静水圧とは、釣り合い状態にある流体中の指定のポイントで、重力に起因して流体によって作用する圧力として定義した値です。静水圧は流体表面からの深さに比例して増加します。深さに伴って増加する流体の重量によって、上方から下方に力が作用するからです。
分布質量
選択した複数のフェイスにわたって分布した質量を適用するために使用できます。合計質量または面積あたりの質量を使用して分布質量を適用できます。
ボルトとナットの締め付け
ボルトとナットの締め付け荷重を使用してプリテンションをシミュレーションします。
体積の膨張 / 収縮
これは、アセンブリ内のシーム溶接とその他のパートに膨張と収縮を適用するために使用できます。
温度
1つまたは複数のパートフェイスのグループに関する一定の固定温度変化を指定します。
熱流速
単位時間あたりに指定のサーフェスを通じて伝達される熱エネルギーの流れの速さを指定します。発熱率はワットの単位で与えられます。ワットは1秒あたりのジュール値です。熱流束は単位面積あたりのワット数です。たとえば、SI単位ではW/m^2です。
体積熱
指定したパート体積内部での生成熱量(熱源の場合)または吸収熱量(ヒートシンクの場合)を指定します。ボリュームの発熱量が正の値の場合は、そのボリュームが熱源であることを示し、負の値の場合はヒートシンクであることを示します。体積熱は単位体積あたりのワット数で表します。たとえば、W/m^3となります。
対流
指定したフェイス群の対流係数と環境温度を指定します。環境温度はバルク流体の温度を指定し、解析中は一定であると見なされます。バルク流体(浮遊または移動している液体または気体)とモデルのサーフェス間での熱伝達係数を設定します。熱伝達係数は、モデルのサーフェスとバルク流体間の単位温度差によって単位面積に発生する発熱率に等しくなります。対流係数の単位はW/(m^2⋅K)です。