Fluxで可能なシミュレーション

概要

これまでの説明を考慮すると、Fluxでは何をシミュレートでき、そのシミュレーションはどのように実行されるのでしょうか。

磁性状態とFluxアプリケーション

Fluxソフトウェアでは、各“磁性状態”がそれぞれの物理アプリケーションに対応しています。

一般に磁気アプリケーションは、以下によって生じる磁気現象を調査します:

  • 電流(定常、可変、正弦波)
  • 磁石

使用可能な物理的アプリケーションとして、Magnetostatic、Transient MagneticおよびSteady state AC Magneticの3つのアプリケーションがあります。これらのアプリケーションの主な特性を下の表に示します。

適用分野

磁界の

発生源

アプリケーションが考慮する対象
Magneto Static

定常電流

(定常状態)

磁石  
Transient Magnetic

可変電流

(可変状態 /

過渡状態)

磁石
  • 誘導電流(渦電流)
  • 表皮効果 / 近接効果
Steady state AC Magnetic

正弦波電流

(定常状態)

! 磁石禁止 !

調査対象デバイスの例を以下に示します:

  • 粒子加速器、分光器またはMRI磁石、磁気読み取りヘッド、磁気シールド、磁気分離用デバイス用の永久磁石を伴う構造
  • 磁気軸受、電磁石、接触器
  • 回転機械、マイクロモーター、トランス
  • 誘導加熱デバイスなど

アプリケーションの選択

さまざまな側面を調査するために、各Flux磁気アプリケーションを使用したスタディを、1つのデバイスに対して1つ実行できます。

適用分野 調査する側面

Magneto

Static

静的スタディ: 磁界分布、材料の飽和磁化レベル
Transient Magnetic 時間スタディ: 電力供給、短絡などによって生じる電流変化の磁界への影響(回転機械、トランスなど)
Steady state AC Magnetic 定常状態ACスタディ: 正弦波定常状態の磁界(回転機械、トランスなど)

電気回路との連成

電気デバイスの解析を、複雑な電力供給によって制限できます。これにより、デバイスの端子での電圧や電流の値を取得するのが難しくなる場合があります。

電気方程式を直接磁界計算のソフトウェアに導入することで、“回路連成”により導体とその電源回路間の相互依存関係をモデル化できます。これは、磁界-回路連成(または回路方程式との連成)と呼ばれます。

Transient MagneticおよびSteady state AC Magneticアプリケーションとの“回路連成”を使用できます。

運動連成

Flux運動モジュールでは、機械力(ばね、摩擦、重力などによる)で決まるデバイス内の移動パートのスタディが可能です。これは、磁気機械連成(または運動連成を使用したスタディ)を指しています。