空間定義と時間定義
概要
力計算は、形状サポートに対して実施され、最終的にユーザーが定義した時間間隔で実施されます。
振動音響ソフトウェアや機械系ソフトウェアとの互換性が必要な場合や作業時間の短縮が必要な場合に、形状を再構築するツールと時間的複製のツールを使用できます。
3D形状の再構築(自動)
機械系ソフトウェアは3Dを基本としています。そのため、初期のFlux形状が何であっても、Fluxからエクスポートするすべてのファイルでは結果が3Dで表現されます。
エクスポート時にFluxによって実行される形状の再構築は次のとおりです:
- 2Dプロジェクトは、3Dで再構築されます(エクスポート時にユーザーが指定した数の要素を深度方向に使用)
- Fluxメッシュに対する計算では、対称性と周期性を備えたモデルが、完全なデバイスが得られるように再構築されます(オプション)
時間的複製: プレゼンテーション
力の計算ボックスでは、時間周期性があるデバイスで時間的複製のオプションを選択できます。特にモーターで効果的なオプションです。この複製では、定義した時間間隔にわたって計算した力を全周期に配分します。これによって、機械的周期全体にわたる値が自動的に得られます。
その利点は次のとおりです:
- 力を迅速に計算できる
- 機械的周期全体を対象にプロジェクトを解析する必要がない
時間的複製: 実践
機械周期の1/n*に相当する時間間隔を選択するためのオプションが用意されています。
*n: 電気モーターの磁極対の数pの倍数である整数。2p以上を指定する必要があります。
時間的複製: 警告
- 警告1: 時間間隔の開始点と終了点が一致している必要があります。たとえば、周期が0.06秒の場合は次のようになります。
- 複製部分がない0.01~0.07秒の間隔
- 0.01~0.025秒の間隔では上記の間隔を4回複製
- 警告2: 数値を初期化する都合上、力の計算の最初のステップとして、解析シナリオの計算の最初のステップを使用しないようにする必要があります。
時間的複製: 検証
結果の精度は、選択した時間間隔に左右されます。周期全体を表現できるnで周期の1/nを定義していない場合は、正しい結果が得られません。
時間間隔を導入し、時間的複製の実行を選択していれば、計算ボックスでは、以下を比較することによって、計算を実行する前にその精度を検証できます:
- 実際の機械的周波数
- 選択した時間間隔を使用して計算した機械的周波数
複製の回数も示されます。この値は必ず整数です。ソフトウェアで時間的複製が適用されるかどうかを伝えるメッセージが表示されます。
例
下の図は、計算ボックスでの計算の時間間隔に関する部分を表しています。この例では、機械が1,000rpmで回転するため、機械周期は0.06秒になります。この機械には磁極対が2つあるので、時間間隔として1/2p周期以上、つまり1/4周期以上を選択できます(この例では1/4周期を使用)。
時間ステップ(周波数解析)
Fluxの過渡アプリケーションでは、解析シナリオで時間間隔と時間ステップをユーザーが選択します。また、力計算ボックスでは、1周期(信号複製を使用する場合はその一部)に相当する時間間隔を選択します。
周波数解析の場合は、解析する高調波の数に基づいて時間ステップを定義する必要があります。
以下に示すプログラムにあるように、力計算ボックスで指定した時間ステップの数から高調波の数が推測されます。
N_step: number of time steps in the time interval of the computation box
N_harm: number of harmonics
Initialization: N_harm=2
While (N_step-1)/2 >= N_harm:
N_harm=N_harm*2
したがって、N_harmは2^nの形式になります(nは整数)。
取得したN_harmは、すべてのスペクトル(負の周波数と正の周波数)の高調波の数を表します。
物理的用途では、スペクトルの正の部分のみが考慮されます。
N_harm=N_harm/2
この値は、計算後の編集時に力計算ボックスに表示されます。次のスクリーンショットは、この様子を示しています。
ステップ数に基づいて計算した高調波の数を求める前のプログラムで得られた値を以下の表に示します。
ステップの数 | 計算された高調波の数 |
---|---|
6~8 | 2 |
9~16 | 4 |
17~32 | 8 |
33~64 | 16 |
65~128 | 32 |
129~256 | 64 |
257~512 | 128 |
513~1024 | 256 |
高調波の周波数ステップは、f=1/T=1/(dt*(N_step-1))で定義します。
ここで、dtは時間ステップ、Tは周期です。
1次高調波の周波数は0Hz(直流成分に相当)です。