Crossモデル
Crossモデルは、以下の方程式で表されます。このモデルには、consistency A、exponent n、reference shear stress t*の3つのパラメータがあります。コンシステンシは、算出された粘度に対する温度の影響を取り入れるよう、温度依存関数a_Tを使用して修正されます。


このモデルは、べき乗則関係を使用して粘度を表現します。係数(A alpha_T/tau*)は、方程式における時定数に似ています。使用される指数値に応じて、モデルの特性は変わります。
n < 1 ずり減粘または擬似塑性
n > 1 ずり増粘または膨張性
n = 1 ニュートン
ほとんどのポリマーでは、指数nは1未満です。この指数が1未満の場合は、せん断速度が増大するほどポリマーの粘度は低下します。この挙動はずり減粘と呼ばれます。反対に、この指数が1より大きい場合は、せん断速度が増大するほど粘度は高まります。この挙動はずり増粘と呼ばれます。この概念の詳細については、べき乗則モデルの項をご参照ください。
シンタックス
データパケットポリマーのシンタックスは次のとおりです:
| ポリマー | ポリマー名 | { |
| ConstitutiveModel = | "Cross" | |
| Density = | ρ | |
| SpecificHeat = | Cp (T) | |
| Conductivity = | K (T) | |
| CoeffOfThermalExpansion | βT | |
| Volumetric Heat Source = | Qvol | |
| TimeConstant = | Α | |
| Exponent = | n | |
| ZeroShearRateLimit = | γ0 | |
| ReferenceShearStress = | τ∗ | |
| TemperatureDependence = | "None" } |
パラメータの説明
| パラメータ | 概要 | Units | データタイプ | 条件 | 標準値 |
|---|---|---|---|---|---|
| ConstitutiveModel | 使用されるモデルを記述します。 | None | String | 必須 | "Cross" |
| Density | ポリマーの密度 | kg/m^3 | Constant | 必須 | 995.0 |
| SpeicficHeat | 定圧比熱 | J/kg/K | Constant/F(T) | 必須 | 2000.0 |
| Conductivity | 熱伝導率 | W/m・k | Constant/F(T) | 必須 | 0.167 |
| CoeffOfThermalExpansion | 温度変化に応じた体積変化を示します。 | 1/K | Constant | 必須 | 1.0e-05 |
| VolumetricHeatSource | 電気加熱のような方法によってボリューム内で発生 / 除去された熱 | W/m^3 | Constant | 必須 | 0.0 |
| Exponent | べき乗則指数であり、せん断速度に対する粘度の依存性を定義します。 | None | Constant | 必須 | 0.66 |
| ReferenceShearStress | Crossモデルのパラメータの1つ。 | Pa | Constant | 必須 | 75000 |
| ZeroShearRateLimit | せん断速度の切り捨て限界を定義します。べき乗則モデルをご参照ください。 | 1/s | Constant | 必須 | 0.01 |
| TemperatureDependence | 温度依存性をご参照ください。 | None | String | 必須 | "WLF" |
| ReferenceTemeprature | 初期化手順でデータが計算される温度。 | K | Constant | TDが"None"でない場合にのみ必須 | 533 |
| FreezeTemperature | 流れがなくなる温度です。この温度を下回ると、材料の流れは発生しなくなります。 | K | Constant | TDが"None"でない場合にのみ必須 | 350 |
| ActivationEnergy | Arrheniusモデルで必要なパラメータ。 | J/mol | Constant | TDがExp(Q/RT)である場合にのみ必須 | 16628 |
| UniversalGasConstant | 状態方程式PV = nRTからのパラメータであり、Rは一般気体定数です。 | J/mol/K | Constant | TDがExp(Q/RT)である場合にのみ必須 | 8.314 |
| TemperatureSensititvy | Q/Rと同じ物理的意味を持つ導出パラメータ。 | K | Constant | TDがExp(Tb/T)である場合にのみ必須 | 2000 K |
| WLFConstant1 | WLFモデルの定数C1 | None | Constant | TDがWLFである場合にのみ必須 | 17.44 |
| WLFConstant2 | WLFモデルの定数C2。これはDeltaTと似ているため、値はKおよび摂氏で同じです。 | K | Constant | TDがWLFである場合にのみ必須 | 51.6 |
| GlassTransitionTemperature | この温度を下回ると、ポリマー分子は動かなくなります(凝固)。この用語には複数の定義があります。 | K | Constant | TDがWLFである場合にのみ必須 | 320 |
| Beta | 関係Exp(-Beta(DeltaT))内のパラメータ | None | Constant | TDがExp(-Beta(DeltaT))である場合にのみ必須 | 0.005 |