べき乗則モデル

これは2パラメータモデルであり、次の式によって表されます。





このモデルは、べき乗則関係を使用して粘度を表現します。指数nによって、この関係の特性が決定されます。

n < 1 ずり減粘または擬似塑性

n > 1 ずり増粘または膨張性

n = 1 ニュートン

ほとんどのポリマーでは、指数nは1未満です。この指数が1未満の場合は、せん断速度が増大するほどポリマーの粘度は低下します。この挙動はずり減粘と呼ばれます。反対に、この指数が1より大きい場合は、せん断速度が増大するほど粘度は高まります。この挙動はずり増粘と呼ばれます。次の図では、粘度が指数関数として示されています(コンシステンシ = 1.05e+04)。



べき乗則モデルの問題点の1つは、指数が1未満の場合は、せん断速度がゼロに近づくと、粘度が無限大に近づくことです。この問題は、HyperXtrudeでZeroShearRateLimitを定義することで解決されます。一般に、この値は、モデルの係数を決定するために使用される実験データに基づいて設定します。例えば、ZeroShearRateLimitを10.0に設定した場合、流れ場の有効せん断速度がこのZeroShearRateLimit値を下回ると常に、HyperXtrudeはこの値を使用して粘度を計算します。次の図では、コンシステンシが1.05e+04で指数が0.34のべき乗則モデルに対するこの現象を示しています。



これに加えて、材料データの温度依存性が原因でいくつかの追加のパラメータが生じます。これらの変数については、温度依存性をご参照ください。

シンタックス

ポリマー ポリマー名 {
  ConstituveModel = "PowerLaw"
  Density = ρ
  SpecificHeat = Cp (T)
  Conductivity = K (T)
  CoeffOfThermalExpansion = βT
  VolumetricHEatSource = Qvol
  Consistency = A
  Exponent = n
  ZeroShearRate = γ0
  TemperatureDependence = "None" }

パラメータの説明

パラメータ 概要 Units データタイプ 条件 標準値
ConstitutiveModel 使用されるモデルを記述します。 None String 必須 "PowerLaw"
Density ポリマーの密度 kg/m^3 Constant 必須 995.0
SpecificHeat 定圧比熱 J/kg/K Constant/F(T) 必須 2000.0
COnductivity 熱伝導率 W/m/K Constant/F(T) 必須 0.167
CoeffOfThermalExpansion 温度変化に応じた体積変化を示します。 1/K Constant 必須 1.0e-05
VolumetricHeatSource 電気加熱のような方法によってボリューム内で発生 / 除去された熱 W/m^3 Constant 必須 0.0
Consistency べき乗則モデルのパラメータの1つ。n=1の場合は、これは粘度と同じです。 pa s^n Constant 必須 1.0e+04
Exponent べき乗則指数であり、せん断速度に対する粘度の依存性を定義します。 None Constant 必須 0.66
ZeroShearRateLimit 前述のとおり 1/s Constant 必須 0.01
TemperatureDependence 温度依存性をご参照ください。 None String 必須 "Exp(-Beta(DeltaT))"
ReferenceTemperature 初期化手順でデータが計算される温度。 K Constant TDが"None"でない場合にのみ必須 533
FreezeTemeprature 流れがなくなる温度です。この温度を下回ると、材料の流れは発生しなくなります。 K Constant TDが"None"でない場合にのみ必須 350
ActivationEnergy Arrheniusモデルで必要なパラメータ。 J/mol Constant TDがExp(Q/RT)である場合にのみ必須 16628
UniversalGasConstant 状態方程式PV = nRTからのパラメータであり、Rは一般気体定数です。 J/mol/K Constant TDがExp(Q/RT)である場合にのみ必須 8.314
TemperatureSensitivity Q/Rと同じ物理的意味を持つ導出パラメータ。 K Constant TDがExp(Tb/T)である場合にのみ必須 2000 K
WLFConstant 1 WLFモデルの定数C1 None Constant TDがWLFである場合にのみ必須 17.44
WLFConstant2 WLFモデルの定数C2。これはDeltaTと似ているため、値はKおよび摂氏で同じです。 K Constant TDがWLFである場合にのみ必須 51.6
GlassTransitionTemperature この温度を下回ると、ポリマー分子は動かなくなります(凝固)。この用語には複数の定義があります。 K Constant TDがWLFである場合にのみ必須 320
Beta 関係Exp(-Beta(DeltaT))内のパラメータ None Constant TDがExp(-Beta(DeltaT))である場合にのみ必須 0.005

F(T) - 温度関数。TABLE1関数またはTCL関数として指定できます。

TD - TemperatureDependence