静電容量マトリックスの計算

概要

ここでは、静電容量の計算と静電容量マトリックスについて説明します。方程式についての簡単な留意事項を示した後、次の2つの方法について説明します:

  • 電力バランスを計算する従来の方法。N.(N+1)/2の有限要素計算が必要となります。

  • NxNマトリックスの逆行列が必要となるオリジナルの方法。ただし、必要なのは、N個の有限要素計算のみです。

原理

N個の導体が存在する場合、各導体の静電容量(Cii)と、さまざまな導体間の相互作用に相当する“相互”静電容量(Cij)を特定する必要があります。さらに、N個の導体のNxN個の係数を求める必要があります。幸いにも、導体jに対する導体iの相互作用は、導体iに対するjの相互作用に等しいため、計算する必要のある未知の係数は半分になります。したがって、求める未知の係数の数はN.(N+1)/2です。

有限要素ドメインのエネルギー(W)は以下で定義されます:

コンポーネントの電荷(Qi)は以下で定義されます:

ガウスの定理

ガウスの定理は、面積分から電荷を計算します(導体を含む任意のサーフェス):

この積分は、電束密度の法線成分の線形積分を使用して、2D平面で容易に計算できます。この曲線の積分値に長さを乗算することで、クーロン単位の電荷が直接求まります。

エネルギーによる方法

最初の方法は、エネルギー計算に基づきます。設定ごとにエネルギーが計算され、マトリックス係数を特定できます。その後、N.(N+1)/2個の設定を計算する必要があります。

  • ステップ1:Vi = 1; Vjiではなくj)= 0

    Cii = 2W / Vi2

  • ステップ2:Vi = 1 ; Vj = -1 ; Vkijではなくk)= 0

    Cij = (0.5).(Cii +Cjj)-Wij

浮遊電位による方法

この方法で必要な計算はN回のみです。一方で、NxNマトリックスの逆行列を求めることができる必要があります。

この原理は、すべての導体に浮遊条件を設定し、1つずつすべてに一定の同じ電位(Q0)を印加するというものです。

この条件は、パラメトリック計算によって容易に満たされます。この計算では、ライン領域で定義される各導体が、ゼロ電荷に割り当てられます。計算内では、すべての電荷が、基準値としてゼロ値、2番目の値として電荷Q0でパラメータ化されます。計算はモノパラメトリックであるため、N個の計算が行われます。

ポスト処理で、各導体についてVi値を取得する必要があります。したがって、マトリックスが、各計算で求められたN個のViの値で定義されます。その逆行列にQ0を乗算すると、静電容量マトリックスが求まります。

注: Q0が1nCの場合、静電容量のマトリックスはそのままnFの単位になります。
注: 浮動境界条件の導体の電荷はnullです。