半導体コンポーネント: ダイオードのモデル

ダイオード: 挙動

ダイオードの挙動と動作は、次の電流対電圧特性から推定できます:

ID=f(UD).

この特性を次の図の右側に示します。

線形近似

多くの場合、近似手法でダイオードを検討するほうが容易です。したがって、次の表に示す簡潔なモデルが用意されています。

(1) (2)
(3) (4)

FluxのRon-Roffモデル

ダイオード向けにFluxで用意されている最も簡潔なモデルはRon-Roffモデルです。このモデルは上記の表にあるモデル2に関連しています。

このモデルによるID = f (UD)特性の定義に必要な量は次のとおりです:

  • オン状態での抵抗値Ron: この抵抗値は十分に低いことが必要で、一般的には0.1Ωのオーダーです。
  • オフ状態での抵抗値Roff: この抵抗値は十分に高いことが必要で、一般的には10,000Ωのオーダーです。

モデル4を使用してダイオードを表現するには、Fluxコンポーネントのダイオードと電圧源を並置する必要があります。

指数近似

次の指数関数を使用すると、ダイオードの電流対電圧特性をより正確にモデル化できます。

ここで:

  • UPNはPN接合の両端電圧
  • UTは熱力学的電圧(温度電圧*)
  • ISは飽和電流
注:

*温度電圧は式を使用して計算できます。

ここで:

  • kはボルツマン定数(k=1.38×1023J/K)
  • Tはコンポーネントの絶対温度
  • λは経験的定数(0.5≤λ≤1)
  • qは電子の電気素量(q=1.6×1019C)

等価回路図とU(I)特性

次の図の等価回路図を考慮すると、ダイオードの端子間電圧UDは次のような電圧の和になります。

UD=URserial+UJunctionPN

電圧対電流特性UD = f (ID)は、の関係で表現されます。

Fluxの指数モデル

Fluxでダイオード向けに用意されているモデルである指数モデルは、上記で示したモデルに相当します。

温度電圧UTの測定は容易ではないので、Flux 3Dではこの指数モデルにしきい値電圧(ニー電圧VF0)を使用します。

UTVF0ISの関係は次のとおりです。

このモデルを使用したダイオードの定義に必要なパラメータを次の図に示します。

これらの値は次のとおりです:

  • ニー順方向電圧:VF0(V)

  • 外因性抵抗:RS(Ω)(バルク抵抗)

  • 飽和電流:IS(A)

これら3つのパラメータには、その代表値であるVF0=0.7V、RS=0.1Ω、IS=10-6Aがデフォルトで用意されています。

注: Fluxでは逆方向降伏電圧を使用しません。