スタディドメインの境界とモデル化方法
概要
有限要素法によって問題を解析するには以下の処理が必要です:
- 計算ドメインの境界の指定。これは、このドメインの限界または境界を定義することです。
- 境界条件の指定。これは、計算ドメインの境界での状態変数(電位)の値を定義することです。
アプリケーションの特殊性
電気伝導アプリケーションでは導電性パートのみがモデル化され、空気は考慮されません。したがって、導電性領域に隣接する空気領域を記述する必要はありません。
モデル化方法(3D)
導電性領域に隣接する空気領域を記述する必要はありませんが、後で詳述する理由により、空気領域を表現することはできます。電気伝導アプリケーションでは、このような領域を非アクティブと見なす必要があります(これらの領域で解く必要がある方程式はありません)。
スタディドメインでの磁束密度の計算:
導電性領域を流れる電流によって生成される磁束密度Bは、結果のポスト処理段階で計算できます(ビオ-サバール法を使用した解析計算)。電流が流れている導体周囲の非導電性領域をFlux形状で表現していれば、その領域でこの計算を実行できます。
静磁気アプリケーションによるリンク:
電気伝導アプリケーションを使用して計算した後で、静磁気アプリケーションを使用して計算を続行するには、電気伝導アプリケーションによる計算の際に空気領域が表示されている必要があります。
無限ボックスを使用したスタディドメインの境界
無限ボックス(IB)手法を使用している場合は、無限ボックスに対して境界条件がFluxによって自動的に割り当てられます(無限位置での電位は、ユーザーが設定した基準電位です)。
無限ボックスを使用しないスタディドメインの境界
無限ボックス(IB)手法を使用しない場合は、非材料とした領域を使用して、ユーザー側で計算ドメインの境界に対する境界条件を設定します。提示される境界条件として、法線方向の電界と接線方向の電界があります。
実用的な見地からすると、境界条件を割り当てるには“境界領域”を作成する必要があります。この境界領域は、3D問題では、計算ドメインの境界を表すボリュームの境界上にあるフェイス領域であり、2D問題では、計算ドメインの境界を表すフェイスの境界上にあるライン領域です。
境界領域がない場合は、デフォルトの境界条件が適用されます。この場合、境界に対して電界は接線方向になります。
対称性と周期性
スタディドメインに対称性を割り当てる場合は、対称性のタイプを指定する必要があります。形状コンテキストで定義した対称面に対して、電界を接線方向または法線方向にすることができます。
スタディドメインに周期性を割り当てる場合は、周期性のタイプを指定する必要があります。形状コンテキストで定義した周期性の面に周期条件や非周期条件を適用できます。
一般的な事例
導電性媒質周囲の空気領域が関係する電気伝導問題の一般的な事例を次の図に示します。
:調査対象デバイスの主要パートを表す領域(3Dのボリューム領域および2Dのサーフェス領域):ソースを表す領域(3Dのフェイス領域および2Dのライン領域)