PEEC回路のアンペア電流モデル
概要
PEECの手法で強磁性材料を考慮するには、アンペア電流によるモデリングを等価回路に変換する必要があります。
この変換を以下に示します。
原理
アンペア電流モデルをPEEC手法に変換するには、ボリュームタイプとサーフェスタイプの両方の人為的な電流による効果を等価なR-L-M図に慎重に追加します。
ボリューム電流による効果
PEEC手法では導体のすべての基本部分で電流の方向が同じである必要があります。また、人為的なボリューム電流と電気伝導電流の計算式を慎重に修正すれば、これらの電流の方向は同じであることから、等価なR-L-M図は必ず有効になります。
特に次のことがいえます:
- 部分的な抵抗は、人為的なボリューム電流の影響を受けません。この電流には巨視的な電気導体に対する効果がないためです。
- 人為的な電流による磁気ベクトルポテンシャルの増加を考慮するには、次のように強磁性導体による部分的なインダクタンス(自己インダクタンスと相互インダクタンス)に比透磁率µrを乗算する必要があります:
は、透磁率をµ0とした同じ導体で生成される磁気ベクトルポテンシャルです。
磁性導体内部を循環する電流に対応する相互インダクタンスにのみµrを乗算する必要がある点に注意します。
逆に、非磁性導体内部を循環する電流に対応する相互インダクタンスは磁性導体に影響するので、そのような相互インダクタンスは変更しないようにする必要があります。したがって、インダクタンス行列は正方のままですが、必ずしも対称ではありません。
サーフェス電流による効果
人為的なサーフェス電流を考慮するには、PEECメッシュを補足的に細分化する必要があります。人為的なサーフェス電流の経路が事前にはわからないからです。
このような細分化は人為的なサーフェス電流を表現しているので、厚みを0として磁性導体の外側フェイスにのみ適用されます。この原理を下の図に示します。
サーフェス要素のPEECモデルは、次のような特徴を持つ、制御された等価電流源で構成されます:
- この電流源を制御する量は、PEECボリューム要素の部分的なインダクタンス内部を循環する電流です。実際、この電流源は人為的なボリューム電流を閉じる役割を果たす必要があります。
- これらの制御量は、PEECによる細分化の形状に関連しています。この計算の数学プロセスはかなり複雑なので、本書では詳しく取り上げません。
- この等価電流源は、隣接するボリューム細分化のPEECモデルと並列に接続されています。