Flux内の運動モデル
概要
ここでは、Fluxで使用可能な主な運動モデルである、“マルチスタティック”モデル、“適用速度”モデル、“連成荷重”モデルについて説明します。
これら3つのモデルについて、以下で簡単に説明してから、例を紹介します。
上記の他に、適用位置とマルチフィジックス位置という2つの運動モデルも使用されますが、これらについては本書では説明していません。
マルチスタティック運動モデル
マルチスタティック運動モデルでは、デバイスの移動パートは移動していません。
移動パートと固定パートの任意のさまざまな相対位置について、電磁場の計算が行われます。このモデルでは、一連のMagneto Static*計算が実行され、動力学方程式は考慮されません。このモデルは、移動パートの位置が変動パラメータであるパラメータ化されたスタディと等価です。
適用速度運動モデル
強制速度運動モデルでは、移動パートは固定パートを基準にして一定速度で移動していると見なされます。
移動パートに対して適用される速度によって定義されるさまざまな位置について、電磁場の計算が行われます。上記の運動モデル(マルチスタティック)と同様に、動力学方程式は考慮されません。
適用速度運動モデルでは、使用される物理アプリケーションはTransient Magnetic物理アプリケーションです。この場合、マクスウェル方程式では電磁場()の時間依存性が考慮されます。
重要な注意事項
電磁場源が一定で(電流源が一定、永久磁石など)、結合回路がない場合、適用速度モデルとマルチスタティックモデルでは同じ結果が得られます。
その一方で、次の状況では、これら2つのモデルの結果は異なります:
- 経時変化する電流源: 変動する電流源(Fluxプロジェクト内で直接、または回路連成を通じて変動)
- 導電性領域(渦電流の発生場所)など
連成荷重運動モデル
連成荷重運動モデルでは、移動パートによって、調査対象デバイスの機械荷重を表す外部デバイスが駆動されます。
これは、磁気-機械連成(すなわち問題の磁気側面と運動側面の両方)が考慮されるモデルです。
使用される物理アプリケーションはTransient Magneticアプリケーションです。解析動作の原理については、§ 方程式 / 再メッシュ化の手法をご参照ください。
マルチフィジックス位置の運動モデル
移動メカニカルセットは[マルチフィジック位置]タイプにすることができます。この場合、I/O変数ANGPOS_name_of_mechanical_set (たとえば、回転しているメカニカルセットROTORの場合はANGPOS_ROTOR)によって位置が重畳されます。この変数は、メカニカルセットを作成すると自動的に作成されます。これは、FluxとActivateソフトウェア間の連成シミュレーションなどに向けた機能です。これによって、機械的方程式の解析をActivate側で管理できるようになるので、機械的方程式をより柔軟に定義できます。