熱現象についての注意

概要

本項では、熱現象についての一般的な情報(物理原理の留意事項)といくつかの有用な定義を示します。

熱平衡

環境で熱交換をしないが温度の異なる2つのボディが接触する場合、平衡状態に達するまで熱が交換されます。この状態は、2つのボディの均一で時間に依存しない温度場で特徴付けられます。

より一般的には、システムの任意のポイントで熱流束がゼロの場合、システムは熱平衡の状態です。任意のポイントでの温度勾配がゼロで、温度場は時間および空間に無関係となります。

熱の非平衡

内部熱源を含むシステム、または外部熱源に接触しているシステムでは、熱伝達が存在します。そのようなシステムは、非平衡の状態です。

熱伝達

熱伝達は、熱交換とも呼ばれ、以下によって実現されます:

  • 熱伝導:

    このタイプの熱交換では、物質の輸送なしに、温度勾配の存在により熱伝達が特定されます。熱流束はこの勾配に沿った方向になります。ソリッドボディでは、このタイプの熱伝達のみが可能です。

  • 熱対流:

    熱対流現象は、流体と固体を分離するサーフェス上、または2つの流体の混合内の熱伝達を前提とします。巨視的な物質の輸送は、熱対流による熱伝達と関連しています。

  • 熱放射:

    加熱体は、電磁放射によりエネルギーを放出します。“熱放射”とよばれるこの現象の特殊性の1つは、真空での熱伝播が可能であることです。

さまざまな熱状態

非平衡の状態は次のように分類できます:

  • 定常熱状態:

    システムのさまざまなポイントでの温度が時間に依存せず、熱状態は“定常”です。この場合、システムのボリュームでの温度の非均一性という意味において、非平衡の状態は内部熱源によるものです。熱の定常状態において、内部熱源によって生成される熱量は、システムの外面を貫く熱流束に等しくなります。

  • 過渡熱状態:

    過渡熱状態は、最初の熱源の熱量の変化による初期定常状態または平衡状態からシステムの別の定常状態または平衡状態への発展に対応します。温度場は時間に依存します。これは、初期温度場と熱源の熱量の新しい値によって異なります。温度の時間変動は、過渡状態の際に減少します。

  • 可変熱状態:

    可変熱状態では、熱源の熱量の値は、時間に依存します。その結果、温度場は時間と空間に依存します。

過渡状態を、可変状態と混同しないでください。可変状態では、熱源の熱量の値が時間と共に変化します。