OS-T:6010 S-Nアプローチを用いた多軸疲労解析(損傷計算)

多軸疲労解析では、OptiStructは応力テンソルを直接使って損傷を計算します。

多軸疲労解析理論は、応力が平面応力状態にあるという仮定に基づきます。すなわち、OptiStructでの多軸疲労解析では、構造の自由表面のみが着目されます。

ソリッド要素については、シェルスキンがOptiStructによって自動的に生成され、シェル要素はそのまま使用されます。多軸疲労解析の機能群は、FATPARMバルクデータエントリでMAXLFAT=YESを設定することによりアクティブになります。

またS-Nアプローチの場合、引張り亀裂とせん断亀裂によって生じる損傷をチェックするために、GoodmanおよびFindleyモデルが使用されます。

本チュートリアルの実行には、optistruct.zipに含まれる下記のファイル群が必要です。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。

ctrlarm.femload1.csvload2.csv

または

本チュートリアルで使用されるモデルファイル群のコピーは、<install_directory>/tutorials/hwsolvers/optistructで入手できます。

本チュートリアルでは、図 1に示すような、ブレーキ力と鉛直力を受けるコントロールアームが用いられます。2つの荷重の時刻歴は 1 Hzで 2545秒間図 2図 3に示すように得られており、これが使われます。亀裂は常に表面から始まるため、 表皮のシェルメッシュがソリッド要素を覆って置かれています。これにより、計算精度も良くなります。

多軸の挙動を組み込むために、追加のパラメータが導入されます。

rd2070a_control_arm
図 1. 疲労解析に用いるコントロールアームモデル

rd2070a_load_time
図 2. 鉛直力の荷重時刻歴

rd2070a_vertical_force
図 3. ブレーキ力の荷重時刻歴

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したctrlarm.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。
    疲労解析のセットアップの大筋は、以下のステップで得られます。


    図 4. 疲労のセットアップ – 多軸SN

モデルのセットアップ

TABFAT荷重コレクターの定義

荷重順序の定義の最初のステップはTABFATカードの定義です。このカードは荷重履歴を示します。
  1. Viewメニュー内のUtilityメニューが選択されていることを確認します。View > Browsers > HyperMesh > Utilityをクリックします。
  2. ブラウザのModel タブの横にあるUtilityメニューをクリックします。ToolsセクションでTABLE Createをクリックします。
  3. OptionsをImport tableに設定します。
  4. TablesをTABFATに設定します。
  5. Nextをクリックします。
  6. 荷重ファイルをブラウズします。
  7. Open the XY data Fileダイアログボックスで、Files of type filterをCSV (*.csv)に設定します。
  8. optistruct.zipファイルから自身の作業ディレクトリに保存したload1.csvファイルを開きます。
  9. Nameにtable1を指定して新規テーブルを作成します。
  10. Applyをクリックし、テーブルを保存します。
    TABFATカードイメージの荷重コレクターtable1が生成されます。
  11. 2番目の荷重ファイルload2.csvをブラウズします。
  12. Nameにtable2を指定して新規テーブルを作成します。
  13. Applyをクリックし、テーブルを保存します。
    TABFATカードイメージの荷重コレクターtable2が生成されます。
  14. CancelでImport TABFATウィンドウを終了します。
    Modelブラウザ内のLoad Collectorの下にテーブルが現れます。
    注: DACフォーマットのファイルはHyperGraphで簡単に読み込むことが可能で、HyperMeshで読めるCSVフォーマットに変換できます。

FATLOAD荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにFATLOAD1と入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、FATLOADを選択します。
  5. TID(テーブルID)に、荷重コレクターのリストからtable1を選択します。
  6. LCID(荷重ケースID)に、荷重ステップのリストからSUBCASE1を選択します。
  7. LDM(荷重の大きさ)を1に設定します。
  8. Scaleを3.0に設定します。
  9. もう1つの荷重コレクターFATLOAD2についても、FATLOADカードイメージでtable2SUBCASE2を指定して、同じプロセスを繰り返します。
  10. LDMを1に、Scaleを3.0に設定します。

FATEVNT荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにFATEVENTと入力します。
  3. Card Imageに、FATEVNTを選択します。
  4. FATEVNT_NUM_FLOADに2と入力します。
  5. Data欄の横のTableアイコンtable_pencilをクリックし、ポップアップウィンドウでFLOAD(1)にFATLOAD1を、FLOAD(2)にFATLOAD2を選択します。

FATSEQ荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにFATSEQと入力します。
  3. Card Imageに、FATSEQを選択します。
  4. FID(疲労イベント定義)にFATEVENTを選択します。
    疲労解析のためのイベントのシーケンスの定義が完了しました。次に疲労パラメータが定義されます。

疲労パラメータの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにfatparamと入力します。
  3. Card Imageに、FATPARMを選択します。
  4. TYPEがSNに設定されていることを確認します。
  5. 多軸手法について、MAXLFATをYesに設定します。
  6. STRESSUをMPA (Stress Units)に設定します。
  7. RAINFLOW RTYPEをLOADに設定します。

疲労材料特性の定義

疲労解析の材料カーブはMAT1カードで定義できます。

  1. Modelブラウザで、材料MAT1をクリックします。
    エンティティエディターが開きます。
  2. エンティティエディターで、MATFATをSNに設定します。
  3. UTS (ultimate tensile stress)を600に設定します。
  4. SNに以下を設定します(これらの値は材料のSN曲線より得られます):
    SRI1
    1903.0
    B1
    -0.123
    NC1
    1e6
    B2
    0.0
    FL
    0.0
    SE
    0.0

PFAT荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにpfatと入力します。
  3. Card Imageに、PFATを選択します。
  4. LAYER を TOPに設定します。
  5. FINISHをNONEに設定します。
  6. TRTMENTをNONEに設定します。
  7. Kfを1.0に設定します。

FATDEF荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにfatdefと入力します。
  3. Card ImageをFATDEFに設定します。
  4. PTYPE エンティティエディターで、PSOLIDをアクティブにします。
  5. FATDEF_PSOLID_NUMIDSを2に編集します。モデルには、モデル内で定義された2つのソリッドプロパティが含まれています。
  6. Data欄の横にあるTableアイコンtable_pencilをクリックし、ポップアウトウィンドウでPID(1)にPSOLID_2、PFATID(1)にpfat、PID(2)にPSOLID_5、PFATID(1)にpfatを選択します。
  7. Closeをクリックします。

疲労荷重ステップの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  2. NameにFatigueと入力します。
  3. Analysis typeをfatigueに設定します。
  4. FATDEFにfatdefを選択します。
  5. FATPARMにfatparamを選択します。
  6. FATSEQにfatseqを選択します。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルに入ります。
  2. input file欄に続くsave asをクリックします。
    Save Asダイアログが開きます。
  3. File nameに名称ctrlarm_fatigue.femを入力します。
  4. Saveをクリックします。
  5. OptiStructをクリックし、解析をサブミットします。

結果の確認

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。HyperViewにモデルと結果が正しく読み込まれたことを示すメッセージウィンドウが現われます。
  2. Resultsタブに移動します。
  3. Load CaseをSubcase 3 - fatigueに変更します。
  4. ResultsツールバーでresultsContour-16をクリックし、Contour panelを開きます。
  5. Result typeをにセットし、Applyをクリックして要素コンターを表示させます。
  6. 図 5. 要素寿命の結果:最初の要素が壊れるまで4500サイクル