チュートリアル:ソリッドプロファイル押出

ソリッドプロファイル押出解析を設定および実行し、データのポスト処理を行います。

このレッスンでは、Inspire Extrudeインターフェースと以下の方法について学習します。
  • ダイス形状のインポート
  • ソリッドプロファイル押出解析の設定
  • HyperXtrudeソルバーの起動
  • 結果のポスト処理
与えられるデータ
  • ここでは、ソリッドコンポーネントを含むクリーンなCADモデルを前提としています。
  • データファイルは、<インストールディレクトリ>\Altair\2022\InspireExtrudeMetal2022.1\tutorial_models\extrudemetal\tutorial-1 の下のtutorial_modelsフォルダーにあります。
モデルの詳細
  • モデルにはマンドレルとダイスのキャップが含まれます。


  • このダイスアセンブリを通して、2つのソリッドプロファイルが押し出されます。


ダイスソリッドのインポート

  1. Inspire Extrudeを検索するため、スタートをクリックします。または、ダブルクリックしてデスクトップ上のショートカットからInspire Extrudeを起動します。
  2. 形状、3D_Die_Benchmark_2009.stpを、ファイルメニューから、または、ファイルをInspire Extrudeにドラッグしてインポートします。.
  3. Extrusionリボンをクリックします。
  4. 向きツールをクリックし、モデルを配置します。

    プロファイルが+Z方向に出てくるようにダイスの向きを設定する必要があります。
    ビレットに接触するダイスフェイスの中心は、X=0、Y=0、Z=0です。

  5. ダイスの出口サーフェスを選択してこのモデルを配置します。
    注: ダイスの出口サーフェスは、プロファイルがダイスを出る場所です。


流動ボリュームの抽出

ダイス内でアルミニウムがどのように変形するのかをシミュレートするには、アルミニウムと接触するダイスサーフェスによって作成されるボリュームを抽出する必要があります。

  1. 流動ボリュームアイコンをクリックします。


  2. クリックしてドラッグし、次の図に示すすべてのダイスソリッドを選択するようにダイス形状を囲む四角形を描きます。


  3. 左マウスボタンを放すと流動ボリュームが自動的に抽出されます。


流動ボリュームの精緻化

  1. 流動ボリュームソリッドを選択します。


    (このケースのように)複数のソリッドがある場合は、Ctrlを使用することで複数のソリッドを選択できます。
  2. Hを押して、選択された流動ボリュームソリッドを非表示にします。


  3. 削除するソリッドを囲む四角形を描いてこれらを選択し、Deleteを押します。


    この例では、スクリューピンのすべての穴とフロー領域に属さないその他のソリッドが削除されます。

流動ボリュームの結合

  1. CTRLを押したまま、次の図に示す各フローソリッドをクリックします。

  2. 選択したいずれかのソリッドを右クリックし、オーガナイズ > 流動ボリュームの順にクリックします。

流動ボリュームの2つの別個の部分が、同一のFlowVolume部分の一部になります。

ベアリング領域の抽出

  1. ベアリングの開始領域にズームインします。


  2. ベアリングアイコンをクリックします。


  3. ベアリングの開始サーフェスを選択します。


プログラムによって自動的に形状がスキャンされ、リリーフ領域が破棄されて、ベアリングおよびプロファイルソリッドが作成されます。
注: ベアリングが抽出されると、ベアリングおよびプロファイルソリッドの長さを指定するよう求められます。デフォルト値のままにして先に進むことができます。プロファイル領域はベアリング領域の3~5倍です。


注: プロファイルのたわみを捕捉するには、プロファイルをモデルに含めます。

流動ボリュームの編成

結果の表示および解釈を向上させるため、手動の切り取り操作を使用するか、事前定義したコンポーネントの長さを入力することで、ソリッドをさまざまなコンポーネントに編成できます。このチュートリアルでは、後者を使用します。これにより、より少ない要素数で品質のよいメッシュを作成できるようになります。

  1. Z方向の流動ボリューム長を確認します。
    この例では36.5mmです。ここではフィーダーと小さなポケットを作成します。


  2. Organize volumes based on lengthアイコンをクリックします。

  3. 表示される小さなウィンドウで、コンポーネントの長さを指定し、OKをクリックします。


Inspire Extrudeは自動的に、指定したコンポーネントの長さに基づいて流動ボリュームの長さを切り取り、これらをそれぞれのコンポーネントに編成します。


ビレットの作成

ビレットを作成するには、形状を指定します。

  1. Create Billetアイコンをクリックします。


  2. 表示される小さなウィンドウで、ビレット寸法とコンテナ寸法を指定しEnterを押します。


  3. Escを押して、このパネルを抜けます。
ビレットが作成され、寸法が決定されます計算は据込後のビレットで開始されるため、ビレットはコンテナーの直径に基づいた据込後の長さで作成されます。


材料の選択

  1. 材料アイコンをクリックします。


  2. Aluminum_Alloys > 6000_Series > AA6063の順に対象加工物の合金を選択します。


    注:

    検索ボックスをクリックするか、合金の名前を入力することにより、直接材料を検索できます。

  3. 合金名を右クリックし、Selectをクリックします。


    選択した合金がSelected Materialsペインに追加されます。


    注: この材料を選択解除するには、右クリックして選択解除をクリックします。
  4. OKをクリックしてMaterial Databaseを閉じます。
  5. ファイル > 名前をつけて保存をクリックして、目的の場所にモデルを保存します。
    注: 古い / 既存のモデルファイルとの競合を避けるため、モデルファイルは常に新しく作成したフォルダに保存することをお勧めします。

処理パラメータの指定とシミュレート

  1. Submit job for analysisアイコンをクリックして、シミュレーションを実行します。


  2. 表示されるAnalysis Parametersウィンドウで、以下に示すように値を入力します。


  3. 実行 ボタンをクリックします。
実行が正常に開始されると、シミュレーションのステータスをモニターできるようになります。
ジョブのサブミット後のステータス


メッシング完了後のステータス


ソルバーでジョブが実行されているときのステータス


OUTファイルの確認

ポスト処理の目的は、ソルバーにより生成された結果を解釈し、これをダイスの性能の理解や設計の検証または改善に利用することです。

注: ソルバーにより生成された結果は次の重要な2つのファイルに格納されます。
  • OUTファイル。これは、入力データの検証に役立ち、結果の簡単な概要を提供するASCIIファイルです。
  • H3Dファイル。これは、詳細な結果が含まれるバイナリファイルです。
  1. 入力データを検証します。
    *.outファイルの次のセクションを確認します:
    • 解析の収束
    • 質量バランステーブル
    • 最小 / 最大速度テーブル
    • 力バランステーブル
    • エネルギーバランステーブル
    • 解析の概要
  2. Extrusion Ratioが正しいことを確認します。
    これは出口面積に対する入口面積の比です。これにより、押出で材料がどれだけ変形するのかについて、全体的な程度がわかります。
    Extrusion Ratioの値が正確ではない場合は、モデルの入口境界および出口境界を調べて検証し、修正します。


  3. 押し出されたプロファイルのWall Thicknessを確認します。
    このダイスの場合、壁の厚みは3.5mmから4.2mmまで変化します。
  4. 解析情報を確認します。
    Extrusion Typeが直接であるのか間接であるのか、および解析タイプが定常であるのか非定常であるのかを確認します。


  5. Model Unitsセクションで単位系を確認します。
  6. メッシュサイズや採用された要素のタイプを含むModel Informationを確認します。
    ツール材料はSolid Materialと示され、押し出される材料はFluid Materialと示されています。
  7. Mesh Update Parametersを確認します。
    自由表面の計算が実行されたかどうかをチェックし、Free Surface Start位置など関連するパラメータを確認します。


  8. Container Diameter、Billet Length、Extrusion SpeedなどのProcess Parametersを確認します。
  9. Material Propertiesを確認します。
    粘度モデルと関連する構成モデルデータを確認します。
    粘度の温度依存性がどのように考慮されるのかを確認します。
  10. Energy Equation Dataを確認します。
    エネルギーに変換される仕事(%)では、粘性消散が考慮されます。
  11. 解析で使用される参照数量を確認します。


  12. 数値解析で使用されるさまざまなパラメータを確認します。
    ソルバーで使用される緩和パラメータに注目してください。
    解析変数に使用される収束基準に注目してください。
  13. Norm of Change in Solutionを確認します。
    変化のノルムは最初は振動する場合がありますが、すべての解析コンポーネント(速度、圧力、温度)について、最初の数回の反復の後に着実に減少します。
    この解析では、すべての変数についてNorm of Change in Solutionの値がトレランス(0.001)未満の場合、“収束”と見なされます。
    収束速度が遅い場合、または振動している場合は、メッシュが粗すぎることを示しています。


  14. Mass Balanceが、質量の収束が保証される1%未満であることを確認します。
    Mass Fluxテーブルには、各境界における質量流量が示されています。
    正の値は境界から入る材料を示し、負の値は境界から出る材料を示します。


  15. 各境界面を通過して入る / 出る材料の平均速度を確認します。これらの条件を満たさない場合は、境界条件を確認します。
    ソリッド壁での速度は、ほぼゼロでなければなりません。
    対称面での速度は、ゼロと等しくなければなりません。
    自由表面の境界での速度は、小さくなければなりません(押出速度よりも数桁以上小さい数値)。


  16. 押出方向のプロファイル出口速度が他の方向の速度よりかなり大きいことを確認します。
    押出方向以外の方向の速度は、プロファイルのたわみの可能性を示しています。
    ソリッド壁での速度は、ほぼゼロでなければなりません。


  17. Forces on Boundariesテーブルを確認します。
    正の値はサーフェスにかかる力を示し、正の値は応答を示します。
    1. 力バランスエラーが許容範囲内(5%以内)であることを確認します。
    2. 入口での平均圧力が許容範囲内であることを確認します。
    これらの条件を満たさない場合は、境界条件および材料プロパティを確認します。


  18. Heat Flux Across Boundariesテーブルを確認します。
    正の値はシステムに入るエネルギーを示し、負の値は境界から出るエネルギーを示します。
    また、このテーブルには各境界面での平均温度も含まれています。
    1. エネルギーバランスが5%未満であることを確認します。
      このモデルでは、この値は5%未満となっています。これは、非常に優れたエネルギーバランスであることを示しています。
    2. 平均温度が許容範囲内であることを確認します。
      ここでは、すべての壁が断熱されているため、粘性消散によって温度が少し上昇しています。
    これらの条件を満たさない場合は、境界条件および材料プロパティを確認します。


  19. 変形中に生じる熱の量が機械的仕事量とほぼ等しい(5%以内)ことを確認します。
    これは、入口面での圧力、流入速度、入口面の面積、および熱に変換される仕事量の割合から計算できます。
    P = 264.73 MPa = 264.73 e+6 Pa
    V = 5 mm/s = 0.005 m/s
    A = 20064.03 mm^2 = 2.006e-2 m^2
    変換率 = 90%
    生成される熱 = 264.73e+6 x 0.005 x 2.006e-2 x 0.9 = 23902.12W = 23.9 kW
    熱バランステーブルの粘性消散の値 = 21.88 kW
    差異は5%未満です。

シミュレーション結果の表示

解析エクスプローラを使用して、結果を表示します。

このデータにより、押出の際に材料がどのように変形し、流れるのかが詳細にわかります。このデータを使用して、ダイス出口での流れの不均衡を検出できます。ポートホールやポケットなどのダイス領域での材料の流れを理解することは、ダイスの性能を向上させるための再設計の際に役立ちます。

ラム端部での圧力により、ビレットを押すのに必要な押出力が与えられます。このデータでは、結果として得られるダイスサーフェス上の押出荷重についての情報も提供され、これを使用してツールたわみを予測できます。

温度分布を理解することは、正常な押出を行うための鍵となります。材料の流動応力は温度とひずみ速度に大きく依存します。また、粒子サイズなどの主な材料特性は温度に依存します。応力仕事によりダイス内で過度な加熱が発生した箇所を特定するには、温度データを使用します。サーフェス品質およびその他の材料特性を特定するには、プロファイル領域内の温度分布を使用します。

中空プロファイルの場合、ソルバーはシーム溶接の位置と強度を計算します。

  1. さまざまな結果タイプをクリックし、解析出力を変更します。


  2. 結果スライダー上の矢印をクリックしてドラッグすることにより、指定した値より大きな結果が得られたモデル上の領域がマスクされるように結果をフィルターします。
    結果タイプの凡例の色を変更するには、凡例色の横のアイコンをクリックし、凡例色を選択します。
    結果スライダーの上限と下限を変更するには、その限度をクリックし、新しい値を入力します。リセットボタンをクリックすると、デフォルトの値に戻すことができます。
  3. 選択した結果のアニメーションを表示するには、再生ボタンをクリックします。アニメーションの速度を変更するには、アイコンをクリックします。
  4. アイコンをクリックして、アニメーションスケールウィンドウを開きます。一般に、変位のスケールは小さくてはっきりと確認できないため、デフォルトでは自動スケーリングが有効になります。
    スケーリングファクターを変更するには、チェックボックスをオフにして、別の値を入力します。

  5. 表示の下のアイコンにより、その解析のモデリングウィンドウで何を表示するかを決定します。初期形状を非表示にするには、アイコンをクリックします。
    デフォルトでは、結果に初期形状が参照用として表示されます。
  6. 荷重とサポートを非表示にするには、アイコンをクリックします。
    デフォルトでは、結果に荷重とサポートが表示されます。
  7. 参照用として変形形状を表示するには、アイコンをクリックします。
  8. コンターをグラデーション表示せず、非表示にするには、アイコンをクリックします。
    コンターに関する追加オプションを表示するには、アイコンをクリックします。結果コンターをアニメーション表示するには、アニメーションでの結果補間を選択します。グラデーションコンターを選択すると、コンターのグラデーション表示と非グラデーション表示が切り替わります。