線形ギャップ

線形ギャップは、Nastranのシミュレーションで使用される最もシンプルな接触形式です。

線形ギャップは、穴ベアリング、ヒール-トー間のインタラクション、フィッティング接触など、大規模クラスの問題を解決できます。線形には、摩擦、大変位、および材料の非線形性は含まれません。CGAP接触要素(FEM環境で定義された節点-節点間)は、線形静解析(SOL101)と非線形解析(SOL106)の両方で実行されます。

線形ギャップは、単純な接触(圧縮)力のみに対応しています。MPCを使用してギャップが定義されます。変位とMPC力を使用して、各ギャップが“溶接されている”のか“フリー状態”なのかを特定します。
  • 変位基準: 貫通なし(MPC変位が0以上)
  • MPCFORCE基準: 圧縮力のみ(MPC力が0以下)
解が収束するのは、MPCの貫通がなく(ギャップたわみが0.0以上)、かつ引張力がない場合です。反復手順(CDITERによって拘束された変位の反復技法)を使用して、変位とMPC力に基づいてモデルが解析されます。下の図は、CGAPがモデル化されている例を示しています。


図 1.

ギャップ変位の式は次のように記述できます。

Uygap = Uyopening – Uyclosing + Uyinitial

MPCフォーマットで並べ替え、Uyclosingを従属(初)項として設定すると、次のようになります。

Uyclosing – Uyopening + Uygap – Uyinitial = 0

線形ギャップに使用するNastranのコマンドは以下のとおりです:

SPOINT(スカラーポイント定義)を使用してUgapとUinitを定義します:

SPOINT 55 155

SUPORTエントリは、剛体モーションの参照自由度を指定し、SPOINT 55(Ugap)を繰り返し計算用のRセット内に配置します:

SUPORT 55 0

SPCは、適用する単点拘束セットを選択し、初期ギャップ開口 = .05(Uinit)を定義します:

SPC 101106 155 0 .05

MPCエントリ:(運動方程式:Uy3 – Uy2 + Ugap – Uinit = 0)

$ SID G1 C1 A1 G2 C2 A2

MPC 101106 3 2 1.0 2 2 -1.0

$ G3 C3 A3 G4 C4 A4

55 0 1.0 155 0 -1.0

関連するMSC/Nastranのバルクデータエントリは次のとおりです:
  • PARAM, CDITER(整数): 開 / 閉状態を特定するための反復計算の最大回数
  • PARAM, CDPRT(yes/no): 制約違反の反復履歴を出力します。
  • PARAM, CDPCH(yes/no): 最終解を得るため、DMIG, CDSHUTエントリをpunchファイル出力します。
  • DMIG, CDSHUT: ギャップの初期開 / 閉状態の入力ベクトル(デフォルト = すべて閉)


図 2.