ガイドラインと推奨慣例

品質基準ファイル

  • ”Target element size”を定義した場合、”Minimal height”または”Minimal normalized height”を使用することを推奨します。この2つは、四角形要素の品質には影響を与えません。Minimal heightを使用することで、単独要素使用時の三角形要素の品質を下げます。更に、”Shortest edge”を使用することで、ひし形のような四角形要素が作成される可能性があります。これは、特殊な種類のメッシュにのみ有用です。
  • ”Target element size”に続き重要な意味を持つのが”Min Size”と”Max Size”です。これらは、最終的なメッシュ形状に最も大きな影響を与えます。
    • ”Min Size”は、”Target element size”の値と比較して極端に大きい値は設定しないでください。推奨される値はTarget element sizeの33%です。上限値としては、Target element sizeの40%-50%までは許容されます。推奨されるMin Sizeより大きい値は、メッシュフローを崩すほどの極度なクリーンアップが行われる原因となる可能性があります。
    • ”Max Size”に小さすぎる値を設定しないでください。”Target element size”の175%が適正です。
    • ”Min Size”と”Max Size”の値幅が小さすぎるとメッシュの品質向上の可能性が限られてしまいます。
  • Warpage”の値は、20°-25°が推奨されます。15°は、メッシュ作成を過度に制約する厳しすぎる値です。15°以下の値を使う場合、パラメータファイルの設定によっては、形状から離れてしまう節点を持つ四角形要素が作成されたり、2つの三角形要素に分割されたりする可能性があります。
  • Skew、Min Angle、およびMax Angleは互いに依存します。Jacobianの値もまた要素形状に影響を与えます。Jacobianの値が小さい要素は、たとえば、角度に問題があります。コーナーポイントにおけるJacobianの計算は、より厳密な設定です。
  • Taperは、直交性に使用します。これは、同じ角度結果を制御します。また、Jacobianも影響を与えます。Taperは、この値について要件として満たすべき値を持つソルバーにおいて最も有用です。
  • 三角形要素の数を減らす処理は、”criterion % of Trias”が有効になっていなくてもBatchMesherによって自動的に行われます。したがって、この値を変更しても、BatchMesherの最初の結果との間に大きな違いは出ません。
  • 各種基準値を変更する際には、常に注意深く検討する必要があります。多くの基準値が独立しているため、過度に制約を与える値は、メッシュフローに悪い影響を与え、メッシュが形状から逸脱する可能性があります。

パラメーターファイル

中立面抽出
  • 板厚が均一でリブやT-結合を含まないパートの中立面作成には、skin offsetの使用を推奨します。この方法は、このようなモデルにおいて最も早く効率的です。
形状クリーンアップ - その他のオプション
  • ”Flat feature suppression level” は“low” に、”Feature character size”は“element size(elemsize)”に設定することを推奨します。
  • ”Suppress edges by proximity”の値は、節点の移動トレランスを考慮して最小要素サイズより小さい値にします。
ビード / ボス - ビードオプション
  • Suppress beads with height <の値は、モデリング要件に依存します。一般的に、この値はターゲット要素サイズの20%程度に設定しますが、基準値の最小要素サイズを超えることはありません。
フィレット - サーフェスフィレット認識
  • 以下の式は、フィレット形状パラメータとメッシュの分割数がどのように関連しているかを定義します。
    W = R α ;   W c h = 2 R sin α 2 ;   S = 2 R sin α 2 N ;   D = R ( 1 cos α 2 N ) ;
    W
    フィレットの円弧長さ
    R
    フィレットの半径
    α
    フィレットの円弧角度(ラジアン)
    Wch
    フィレットの弦長さ
    S
    フィレットにおける要素サイズ
    N
    フィレットにおける要素密度
    D
    Chordal deviation
  • Minimize transitionsオプションの使用を強く推奨します。ただし、まれに、非常にゆがみの大きい要素の列が作成されることがあります。これは、フィレットがフィレットサイドに複数の不規則な固定ポイントを含む場合、または、これらのエッジの複数交差がある場合に起こることがあります。このような場合、このオプションを無効にすることで、結果のメッシュの品質が上がることがあります。
  • Remove edge fillet with radius <の上限は最小要素サイズとターゲット要素サイズの間の値を推奨します。
フランジ - フランジ認識
  • フランジ幅全体において最小2つの要素を使用することを推奨します。要素の実際の数は、minおよびmax element sizeとaspect ratioの制約により内部的に決まります。
  • ”maximum flange width”の適正な上限は、(N + 1.5) * ”element size”です。ここで、Nは、フランジに使用される要素数です。また、適正な下限は、min element sizeの2倍です。
穴2Dと穴3D - サーフェス穴認識
  • より良いメッシュフローのため、要素数は偶数を指定します。通常、この値は、望ましいmin element sizeおよびmax element sizeに応じて設定します。推奨はしませんが、min element sizeおよびmax element sizeの規約に反する要素サイズを設定することは許容されます。ワッシャー付きの穴に対しては、autoの設定は推奨されません。
    • 要素サイズSの計算には次式が使用されます。ここで、与えられた穴の半径R、穴周りの要素数Nです。

      S = 2 R sin ( 180 N )

      たとえば、半径2.5 mmの穴に対し、穴周りに6要素を作成すると、メッシュサイズは2.5 mmとなります。

    • 穴周りの最小要素サイズより小さい要素を持たないためには、削除する穴の半径しきい値> = 0.708*”min element size”を使用してください。
  • ワッシャー付きの穴での矛盾した設定は、要素作成の失敗や外側ワッシャー周りの要素長さがターゲットのメッシュサイズと極端に異なる長さとなることの原因となります。これは、メッシュフローや穴周りのメッシュの移行に悪い影響を与えることになります。
    • ワッシャー付きの穴に対して6より少ない要素数を指定することは推奨しません。
    • 可能な限り、# elemsにはminimalモード、washerにはautoモードを使用することを推奨します。これは最も自由度のある設定です。これらの設定において、外側のワッシャー要素サイズは、ターゲット要素サイズに近くなり、ワッシャー要素は、品質基準値に準じます。ただし、許容可能な品質の要素を作成することができない場合や外側ワッシャー周りの要素サイズがターゲットの要素サイズと大きく異なる場合は、ワッシャーは作成されません。最後の手段として、よりよい品質のワッシャーを作成するためにワッシャー部分に要素を奇数個作成することがあります。
    • 穴周りの要素の数を指定する場合やワッシャーに対して固定の数の要素または円周方向の分割数を指定する場合、”aspect ratio”、”min/max size”、”Jacobian”などの要素品質基準値を考慮し、上記の式を使用してワッシャー外側の要素サイズを検討します。
    • 問題のある要素を含むワッシャーや外側の要素サイズがターゲットの要素サイズと異なるワッシャーを作成することはできます。これは、指定した数または半径方向の分割数でワッシャーを定義することで実現されます。外側円周まわりの要素サイズが、ターゲットの要素サイズより140%大きい、または60%小さいと予想される場合、# elemsにexactモードを指定します。また、Priorityがhighに設定されている場合、ワッシャー要素が要素品質を向上させるために修正されることはありません。Priorityがnormalに設定されている場合、ワッシャー節点は品質を上げるために移動されます。
  • ”Attempt to maintain narrow slots rounded ends using >= 6 elements”オプションは、本当に必要な場合のみ使用します。このオプションにより、小さい領域へのメッシュがメッシュフローに悪い影響を与える可能性がより多くなります。
穴2Dと穴3D - ソリッド穴認識
  • これは、ソリッド穴の認識には一般的に時間がかかるため、シェル形状のみのモデルに対しては、無効にしてください。
  • 穴周りの要素数は偶数を指定し、min element size基準の適用を試み、要素サイズがターゲットの要素サイズに可能な限り近くなるように試みます。
ロゴ - ロゴオプション
  • 複雑な文字のロゴを削除したい場合、Concavity factorの値には2.0が推奨されます。シンプルな形状のロゴの場合、1.0または0.0の値の使用が可能です。この場合、必要なフィーチャーが削除される危険を少なくするため、Suppress beads with height <の値を超えない値をand height <に設定します。
メッシングに関する一般的な考慮事項
  • 多くのアプリケーションにおいて、Create mesh with element typeにmixedタイプを使用することが推奨されます。
    注: ”quad”タイプが指定された場合、特別なアルゴリズムが使用され、これによりメッシュフローに悪い影響を与え、好ましくないメッシュパターンが作成される可能性があります。たとえば、3つの三角形要素が1つの節点を共有するなど。
    • mesh flowオプションのalignとsizeの両方の使用を強く推奨します。これによる悪い影響は最小限にとどまります。
  • ”All the feature edges kept after geometry cleanup”は、メッシング中およびメッシングクリーンアップ後に考慮されます。問題のある要素の節点のみ、節点の移動を制御するパラメータで定義されている範囲内(共有エッジまたはフリーエッジ内)で移動されます。
  • Apply optimized smoothingに使用されるオプションは、メッシュ後の要素クリーンアップ操作のすべての機能に影響します。across edgesモードは、デフォルト設定で、この使用を強く推奨します。これは、メッシュの修正において一番多くの自由度を与えます。その他のオプションは、以下の理由から品質に問題のある要素が作成される比率が上がります:
    • 形状クリーンアップとフィーチャー除去はすべての問題において実行することはできません。
    • Across edgesモードは、以下の順番でクリーンアップを試みます:
      • サーフェスエッジに沿ってのみ節点を移動。
      • non-featureエッジに沿ってのみ節点を移動。
  • 問題のある要素の残りは、主要なフィーチャーエッジを含むフィーチャーエッジの拘束節点の小さな移動によって修正することができます。ただし、ユーザー指定の保持エッジはこれらの移動から除外されます。各種のCorrect featuresパラメータは、これらの移動を制御します。
    • Move nodes across shared edges, max dist <には、ターゲット要素サイズの10%が推奨されます。
    • Move nodes across free edges, max dist <には、ターゲット要素サイズの5%が推奨されます。
  • ねじれた四角形要素を修正する場合は、Offset nodes from surfs, max dist <とDivide quads into triasオプションの使用が推奨されます。
    • 推奨されるオフセット距離の値はターゲット要素サイズの10%です。
    • どちらのオプションも有効な場合、ねじれ要素は、最初に形状に対して垂直な節点移動により修正が試みられ、続いて残りの問題のある要素を分割することで修正が試みられます。
  • 要素クリーンアップ時の”Feature angle”の角度は20-30が推奨されます。低い値は、より良いフィーチャー表現が期待されますが、15より低い値は問題のある要素の数を大幅に増やす可能性があります。