エネルギーとパワー(機械システム)

概要

本項では、運転中の機械系の蓄積エネルギーと散逸パワーについて説明します。

パワー: 定義(留意事項)

F(トルクG)によって発生する瞬時パワーは、力(トルクの)と速度の瞬時値との積です。

(並進運動)、(回転運動)

作用力について

機械システムに作用する力は次のように分類できます:

  • 位置エネルギーから生じる保存力(次の項を参照)
  • 次のような非保存力:
    • 外部からのシステム操作による力。これによって機械エネルギーが増減します。
    • 拘束に起因する力。液体媒質中を物体が運動するときに発生する摩擦力など、他の系との接触に伴う力。物体の運動に逆らう方向に作用する力によって、機械エネルギーが減少し、損失になります。

弾性位置エネルギー: 定義

機械系の機械的位置エネルギーは、以下の要素によって系に保持されるエネルギーです:

  • 系の位置(重力による位置エネルギー)
  • 系の形状(弾性位置エネルギー*)
注: *ばねを縮めてから解放すると元の形状へ急速に回復するので、その力によって物体を移動できます。ばねの圧縮では、ばねに対して仕事が実行されるので弾性位置エネルギーが蓄積され、別の形で解放されます。

例:

重力が作用している質量mを弾性定数kのばねで吊した系があるとします。

系の位置エネルギーは、次のエネルギーの合計となります:

  • 重力による位置エネルギー: mgx
  • 弾性位置エネルギー: kx2 /2

蓄積エネルギー

この例では、弾性位置エネルギーとして蓄積される機械エネルギーが検討対象です。これは次のように表現できます。

(並進運動)、(回転運動)

散逸パワー

エネルギーの散逸につながる力またはトルクは、拘束(摩擦力 / トルク)によって発生する力またはトルクです。

(並進運動)、(回転運動)