全体量

説明

全体量は、計算ドメインの全体または一部で局所量を積分して得られる量です。

全体量は測定可能な量を表していることが普通で、解析対象とするデバイスのパフォーマンスに重要な意味を持ちます。したがって、各種解析では全体量が検討の中心となります。

物理アプリケーションの観点から見た全体量

物理アプリケーションの観点から見た全体量は、現在の物理アプリケーションに応じて異なります。*

磁気アプリケーションで重要な全体量には、磁力、磁気トルク、磁気エネルギー、コイルを通る磁束などがあります。

電気アプリケーションで重要な全体量には、電界、静電気力、電気エネルギーなどがあります。

熱アプリケーションでは、熱流束などが重要な全体量になります。

注: * 本書の第3部では、§アクティブな物理アプリケーションに関する章に、各物理アプリケーションで利用可能な全体量の詳しい一覧を挙げています。

数学的な観点から見た全体量

数学的な観点から見た全体量は、スカラーまたはベクトルの実数量または複素量です。

有限要素解析の観点から見た全体量

有限要素解析の観点から見た全体量は、計算ドメインの全体または一部で局所量を積分して得られる量です。

すべてのメッシュ化領域で、量が要素単位で積分されます。要素ごとに複数の積分ポイントが考慮されます。ここでは、少ない計算量で高い精度が得られるガウス法を使用します。

有限要素解析に求められる精度は、局所量と全体量とでは異なります。一般的に、全体量の概算は局所量よりも高い精度で実行できます。